从 ゚∀从高岡は科学者のようです

  
41: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/07(佐賀県警察) 23:53:34.97 ID:4qWyhv3y0
  
第三話「覚悟と決断」

見事銀行を襲ったセントジョッカー達を殲滅したヴィップレンジャー
その光景をビルの屋上から、1人の体格のいい男が銀行を見下ろしていた。


/ ,' 3「ふむ……やはり改造戦闘員だけでは荷が重かったようじゃな
    どれ、久々にわしの出番のようじゃな。のうショボン」

にこやかにこっちを振り向いた初老の男、新巻スカルチノフ将軍。
鈍い銀色の光を放つ甲冑をまとい、多くの戦闘員部隊を仕切る男。
背中に背負っている重量感漂う刀で、あいつらを切り刻むつもりだろう
だけどそうはいかない。今回は私がやらねばならない任務だから。



  
43: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/07(佐賀県警察) 23:55:10.36 ID:4qWyhv3y0
  
(´・ω・`)「将軍、その件ですが」

/ ,' 3「なんじゃ、折角久々に運動しようとしてる老人の邪魔をするのか?」

(´・ω・`)「むしろ将軍にはこれから行う余興を見ていただきたくて彼女を連れてきました」

/ ,' 3「む?」

从 ゚∀从「お久しぶりでございます、新巻将軍」

/ ,' 3「ほほぅ、君は確か……ミルナの娘だったな。暫く見ない間にこんなに大きくなっていたとはなぁ……」

从 ゚∀从「先代である父の仇を討つために参った無礼を、心よりお許しいただきとうございます」

堅苦しい台詞を吐きながら私はひざまずいた。一応形だけでも挨拶しないとな。



  
46: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/07(佐賀県警察) 23:58:56.35 ID:4qWyhv3y0
  
/ ,' 3「そう硬くならんでもいい。普段どおりに喋りなさい」

从 ゚∀从「しかし、それでは……」

/ ,' 3「むしろ上の喋り方では作者がつらいから程ほどにしておきなさい」

从 ゚∀从「把握した」

(´・ω・`)「一気に口調変わったな」

从 ゚∀从「黙れ、前頭葉掻き混ぜるぞ。このしょぼくれ」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

やっぱいつもの口調がいいな、うん。



  
47: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:00:09.29 ID:J0x1XVSI0
  
/ ,' 3「これこれ、喧嘩するのもそれぐらいにしなさい」

从 ゚∀从「もう堅苦しいの抜きで喋らせてもらうぜじいさん」

(;´・ω・`)「ちょwwwww将軍に向かって無礼全快wwwww」

/ ,' 3「まぁ許そう」

(;´・ω・`)「しかも許すんっすかwwwww」

/ ,' 3「うっさい、ぶち殺すぞ」

(;´・ω・`)「差別ヒドスwwwwwwwwwwサーセンwwwwww」

なかなかいいじいさんだって事はわかった。

そして続けざまに質問を投げてきた。

/ ,' 3「それにしても君が奴らを倒せるほどの力があると言うのかね?
    ヴィップレンジャーは改造戦闘員セントジョッカー軍団を251部隊殲滅させてきた程の力だぞ?」

(´・ω・`)「また殺られたんですか?」

/ ,' 3「今日のメニューはジョッカーの蜂の巣グリルじゃったよ」

(´・ω・`)「また募集しなおしか………時給どれだけ上げてもなかなか来ないのに……」



  
48: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:02:43.11 ID:J0x1XVSI0
  
人員不足でショボンがため息を漏らしながら嘆いているが、そんなのはどうでもいい。

………だが正直言えば不安でいっぱいだ。
父ですら敗れたほどの強さだというのに、いまだに私は父を超えたことすら実感できないままでいる。
徹夜で完成させた「あいつ」で挑んだとしても、勝てる自信が沸いてこない……。
どうすればいい、どうすれば自信を持てる、どうすればやつらに勝てる………。

/ ,' 3「…………………………」

(´・ω・`)「…………やはりまだ覚悟ができてなかったみたいだね」

从 -∀从「…………………………」



  
50: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:05:18.02 ID:J0x1XVSI0
  

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話を持ちかけられたのはつい2日ほど前の事だった。

(´・ω・`)「今度の戦闘は、君が出てほしいんだ」

从 ゚∀从「……はぁ?何言ってんだおめえ。ついに狂ったか」

(´・ω・`)「これはマジ話だよ」

从 ゚∀从「mjd?」

(´・ω・`)「mjd」

从 ゚∀从「なんだって急にそんなことになったんだ」

(´・ω・`)「君の面接官だった戦闘部隊第2隊長のビロード君から聞いたよ、君は仇を討つために入社したんだってね」

从 ゚∀从「あのクソ野郎か……あとでピカチュウでひれ伏させるか……」

私は豚と余計なお喋りをする野郎は嫌いだ。
後でまっくろくろすけにしてやるか。

(´・ω・`)「そんなことしてる場合じゃないんじゃない?」



  
51: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:07:43.08 ID:J0x1XVSI0
  
从 ゚∀从「あぁ?」

(´・ω・`)「それだよ、それ」

ショボンが指差した方向には、いまだ半分しか組み込まれてない
「あいつ」のプログラムが映し出されているパソコン。
なるほど、そういうことか。

从 ゚∀从「考えておく、だから2日ぐらい時間をくれ」

(´・ω・`)「把握した。セントジョッカーズの軍資金強奪作戦にもあわせていただくから
       それまでには聞かせてくれ」

从 ゚∀从「…………………………」

(´・ω・`)「って既に作業開始……か。邪魔しちゃ悪いからゴミも持っていくね」

( ゚ω゚)「高岡………頼みごとg」

(´・ω・`)「はいはい邪魔しないの、行くよ豚。一応救護班のところで治療しないとね」

( ゚ω゚)「こいつを………頼んだ………お………」



  
52: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:09:45.35 ID:J0x1XVSI0
  
焦げた豚を引きずりながらショボンは私の部屋から出て行った。
豚が何を置いていったのか後で見るとして、今は「あいつ」を完成させないとな。
待ってろ、てめえに命を吹き込んでやるからな。
そして私はキーボードを再び打ち始めた。

作業をするなか、あいつの言葉を思い出しては葛藤していた。
任務に出向くべきか、他人に回すか……………。
そうして2日間が過ぎていった。


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55: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:11:50.84 ID:J0x1XVSI0
  
从 -∀从「…………………………」

(´・ω・`)「高岡、無理に決断しなくてもいい。
      この決断は命を失う覚悟も必要なものなんだ。若い君じゃまだ重すぎる」

わかってる。失う覚悟がいることはわかっている。
でも体がわかってくれない、死にたくないと言ってやがる。

/ ,' 3「君は本当に父にそっくりだな……」

从 -∀从「…………………………」

/ ,' 3「その臆病っぷりが特にな」

(´・ω・`)「!」

从 ゚∀从「!」

突然何を言い出すなこのじいさんは。
親父が臆病だと、そんなわけがない。いつだって親父は勝気で、前向きな人間だった。
実験で家を一軒ぶっ飛ばした時だって、ローンにも負けず親父は必死に前を向いて生きた。
それを臆病だと……。



  
56: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:14:54.87 ID:J0x1XVSI0
  
/ ,' 3「臆病者の子供もやはり臆病者か。君は黙ってそこに突っ立っておれ
    わしがやつらを殺りにいこう」

(;´・ω・`)「しょ、将軍お待ちください。もう少しだけ時間を……」

/ ,' 3「ならん、こんな臆病者に任せたら犬死するだけじゃ」

从 ∀从「………臆………と……」

(´・ω・`)「高岡……どうした?」

/ ,' 3「なんじゃ、臆病者の声は聞き取りづらくて年寄りにはつらいわい」

从#゚∀从「誰が臆病者だと言ってるんだこのくそじじい!!」

そう叫びながら勢いよくじいさんの襟元を掴んだ。



  
57: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:17:07.24 ID:J0x1XVSI0
  
(;´・ω・`)「た、高岡!手を離せ、殺されるぞ!」

/ ,' 3「貴様ら親子のことを言ってるんだ、そんなこともわからんのかね?」

从#゚∀从「親父は臆病者なんかじゃない!いつだって前を向いて生きて
     どんな逆境だろうとめげずに生きてきたんだよ!」

/ ,' 3「……………………………」

从#゚∀从「親父は私の誇りだ、誰であろうと侮辱する奴は殺す!!」

(;´・ω・`)「高岡!落ち着け!」

从#゚∀从「はぁ……はぁ………」

そこから何秒経ったのだろうか、風の音しか聞こえない静寂が流れた。



  
59: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:19:02.26 ID:J0x1XVSI0
  
だがそれもほんのわずか、じいさんが口を開いた。

/ ,' 3「これだけの無礼を働いたのだ………」

徐々に湧き出てくるのが感じられる。
じいさんの……本気の殺意が。

/ ,' 3「生きて帰れると思っておるのかぁ!!」

思わず手を離しそうになった。なんてでけえ殺意だ。
距離をとった途端、じいさんの刀で私は真っ二つにされるかもしれない。
だがまだだ、こんな事で退いていたら

それこそやつらに勝てなくなってしまう。



  
60: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:21:40.86 ID:J0x1XVSI0
  
从#゚∀从「上等じゃねーか!殺れるもんなら殺ってみやがれ!!
      今更死ぬ事なんざ怖くもなんとも思わねーよ!!」

溢れんばかりのじいさんの殺意を浴びたせいか、私の口からは言葉を吐く事すら精一杯だった。
横目でショボンをチラ見してみたが

(´;ω;`)「ガタガタブルブル」

すっかり怯えてやがる。
てかお前に対して言ってるんじゃないんだから泣くなと。

/ ,' 3「……………………………」

また考え込んでるなこのじいさんは。
襟を持ってる手もそろそろ疲れてきた。

/ ,' 3「なんじゃ、最初からそう言いなさい」

从 ゚∀从「は?」



  
61: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:23:04.43 ID:J0x1XVSI0
  
一瞬何のことだったのかわからなく呆気に取られた。

从;゚∀从「な、なんだよ最初からそう言えって……」

/ ,' 3「若いのにもう自分の言った事を忘れたのか?
    それとも頭に血が昇って勢いで言ったのかね?」

从#゚∀从「な……勢いじゃねーよ!今更死ぬ事なんて怖く」

从 ゚∀从「!」

ようやく気づいた。
なんだ最初から決まっていたじゃねーか

死ぬ事なんて怖くないって。



  
62: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:24:56.22 ID:J0x1XVSI0
  
从 ゚∀从「じいさん………正直スマンカッタ……」

/ ,' 3「なに、気にすることはない。さぁ覚悟が決まったのであれば
    全力で父の仇を討ってきなさい。わしはここで見学させていただこう。よいなショボン?」

(´;ω;`)「は、はひぃ………」

/ ,' 3「いい年こいた大人がびびって泣くんじゃない、ほれティッシュ」

(´;ω;`)「ずびばぜん、じょうぐん……ズビビビビ」

从 ゚∀从「おい、じいさん」

/ ,' 3「なんじゃまだおったのか、もう行ったのかと思ってたわい」

从 ゚∀从「ありがとうよ、んじゃ行ってくるぜ!」

じいさんに言い残し、私はビルを降りはじめた。
もう迷いはない、今こそ地下においてきた「あいつ」を動かす時だ。

/ ,' 3「やれやれ、父に似てほんと手間のかかってせっかちで……勇敢な子じゃ」

(´・ω・`)「彼女ならもっといい科学者になれたのかもしれませんね」

/ ,' 3「そうじゃな………。さぁわしらは黙って見守ってやることにしよう」



  
64: ◆itxLAKN81Y :佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 00:26:25.48 ID:J0x1XVSI0
  
薄暗い地下の駐車場にあるなんともないマンホール。
それをバールのようなものでこじ開ける。
そして「あいつ」を止めてある場所へ向かった。
臭い場所だが、でかい「あいつ」を隠すにはもってこいの場所だ。
そして下水道を走ること3分、「あいつ」を止めた到着した。
待たせたな、こんな湿っていて臭い場所にお前を入れてしまって。
帰ったらサビてないか整備してやっからな。
さぁ行こうか。

从 ゚∀从「親父の仇を討ちになぁ!」

豪快なエンジン音とともに腕を振り上げ天井を破壊した。
やつらは事情聴取でまだいるだろう。
逃げられる前に片をつけないとな。

第三話 終



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