从 ゚∀从高岡は科学者のようです
- 29: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:02:17.32 ID:/puRLbaK0
- 第五話「カウントダウン」
( ,,゚Д゚)「さあ、さっさと降りてきてもらおうか」
川 ゚ -゚)「ギコ、もう相手には戦う意思はないみたいだ。もう少し軟らかく言えないのか?」
(*゚ー゚)「油断大敵…………」
( ,,゚Д゚)「だそうだぜ、博士?」
川 ゚ -゚)「むぅ………君らも言うようになったな……」
从 -∀从「………………………」
川 ゚ -゚)「どうした高岡、降りれないなら手伝おうか?」
(;,,゚Д゚)「そんなんじゃねえと思うが………」
('A`)「こういう時はそっとしておくべきじゃないか?」
川 ゚ -゚)「おーい、高岡ー?」
(;'A`)「人の話聞いてないっすね………」
从 -∀从「………………………」
- 31: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:05:51.65 ID:/puRLbaK0
- ( □д□ )「自爆モード起動……カウントダウンニ入リマス…………」
川;゚ -゚)「高岡……何をした」
从 ゚∀从「こいつにはな、半径1kmは軽く飛ばす自作の花火が積んであるんだ、凄いだろ?
どうせ死ぬならてめえらごと道連れしようと思って乗せたってわけだよ」
ミルナ号を修理する際に取り付けた装置。
そう自爆装置だ。
これなら任務を果たしながら死ぬことが出来る。まさに最高、そしてくそったれた装置だ。
ミルナ号はご丁寧に数えながら、カウントダウンを刻んでいく。
( □д□ )「296…………295…………294…………」
川;゚ -゚)「くそ、ヴィップレンジャー、街の市民を避難させろ!」
(;,,゚Д゚)「把握した!」
ξ;゚听)ξ「早く行きましょう!」
(;'A`) 「だ、だけどこのスーツの力を使っても、市民と一緒に1km以上避難するのは無茶がある!」
川;゚ -゚)「なら私が自爆装置を解除させる!皆は皆の出来ることをするんだ、急げ!!」
ヴィップレンジャー共はそれぞれ別の方向を走ってどこかへ行ってしまった。
どこに隠してあったのか、工具を取り出しミルナ号のハッチをこじ開けようとする。
自爆モードに入ったため、ミルナ号は動かすことは出来ない。
画面を見ても残り時間しか表示されていない。それに発動してから1分は経った。
- 33: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:08:10.03 ID:/puRLbaK0
- 川;゚ -゚)「くっ!ネジのしまりがきつすぎる!」
当たり前だ、専用の工具を使ってしめきったんだ。
そんな小さいドライバーじゃこじ開けれるわけがない。
从 ゚∀从「おいおい解除させるって言ってから1分経っちまったぜ
逃げたほうがよくねーの?」
今から逃げたってどうせ逃げ切れず、爆発にまぎれてハイ終了さ。
もう生きることを諦めたせいか、恐怖すら生まれない。代わりに余裕が生まれているぐらいだ。
从 ゚∀从「それに周りを見ろよ。残ってるのはだせえピンク男と情けない緑チビだけだぜ?」
ほんの間を空けてから女は口を開いてこう言い出した。
川 ゚ -゚)「他の皆は自分たちしか出来ない任務を果たしにいったんだ。
そうだろう、ジョルジュ?しぃ?」
( ゚∀゚)「もちろん!」
(*゚ー゚)「うん……!」
ピンク服の男は突然ミルナ号に近寄り、おもむろに取っ手に手を入れ、足を本体にかけた。
無駄だってのにまだ諦めないのか、このバカ共は?
- 35: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:10:29.99 ID:/puRLbaK0
- 川 ゚ -゚)「ジョルジュ、頼むぞ」
( ゚∀゚)「任せとけって博士!」
力を入れたのか、徐々にミルナ号からギギギギと耳障りな音を立てている。
おいおいまさか力ずくでこじ開けようってか。どんなバカ力でも開けられるわけがない。
从 ゚∀从「だからさぁ、諦めろっつーの。どんだけ頑張って出来ることと出来ないことがあるんだよ
今更どんだけ頑張ろうが無駄無駄無駄ァ!ってわけさ、ヒャハハハハ!」
こいつらがこのままいれば確実に道連れに出来る。
それはありがたいが、無駄なことを諦めずにやるこいつらを見るとむかついて、つい口を開いてしまう。
すると長髪女がこっちに顔を向かせてきた。
从 ゚∀从「なんだ、何か言いたいことでもあるのか?」
説教ならまっぴらごめんだ。
そう思ったがこいつから予想外な言葉が飛んできた。
川 ゚ -゚)「信じていれば、奇跡はきっと起きるさ」
- 37: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:13:51.38 ID:/puRLbaK0
- はぁ?奇跡だ。何言ってんだおめえ、笑わせるな。
そう言おうとした瞬間だ。
( #゚∀゚)「うおおおおおおりゃああああああ!!!!」
ギギギギギギギィィィ…………
从;゚∀从「なっ?!」
コックピットから見下ろしてみるとハッチを捻じ曲げながら開けようとしている姿が見える。
いくらなんでも素手でこじ開けたような曲がり方じゃねーぞおい。
从;゚∀从「嘘だろおい………」
親父の機械が壊されていく怒りより、こいつらの行動力に呆気を取られているほう気持ちの方が大きかった。
从;゚∀从「なんでだよ……なんでそこまでするんだよてめえらは………」
ただ純粋に聞きたかった、なんで自分達の命を省みずにここまでするんだと。
いくらヴィップレンジャーだからって、ヒーローだからって、それまではただの人間だったんだろ………
なんでなんだよ…………………
( #゚∀゚)「そうだなぁ………俺は強いて言えばな」
ハッチをこじ開けながらピンク男が言ってきた。
強いて言えば何だ、答えろよ。
( #゚∀゚)「俺はな、誰かが泣いてる顔が大っ嫌いだからだ!!」
- 39: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:16:37.10 ID:/puRLbaK0
- 从;゚∀从「……はぁ?!」
あまりに期待していた言葉とは違っていたから思わず声に出して叫んでしまった。
从;゚∀从「他人の泣き顔が嫌だからって、犬死する気か!?」
( #゚∀゚)「いいや!犬死じゃないね!!」
从#゚∀从「わけわかんねーよてめえ!何が犬死じゃねーんだ!?」
( #゚∀゚)「俺がこうして頑張って………それで被害が少しでも収まって……」
もう中の機械が肉眼で見えるほど開いてた。
そしてハッチを完全に開けきるだろう。
( #゚∀゚)「そんでな………それで泣く人が少しでも……減るんだったらなぁ………」
俺は少なくとも犬死したって思わねぇよ!!」
从#゚∀从「ばかじゃねーのか?!思わねぇって、てめえの考えを押し付けてるだけじゃねーか!
てめえが死んだら、周りのクソ野郎共がてめえの姿を見て泣くに決まってるだろう!」
もう自分ですら何を言ってるのかわからなくなってきた。ただ単にこいつの気持ちを理解したかったに違いない。
横目で時間を確認したが、自爆まで2分を切っていた。
( #゚∀゚)「心配要らねぇよ………そん時はな!
『俺が死ぬからって泣くんじゃねーよ』って言ってやらぁああああああああああ!!!」
ガシャァァアン!
ハッチを止めていた金具が無理やり引きちぎられた音が鳴り響いた。
- 40: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:18:54.35 ID:/puRLbaK0
- 勢いよくハッチのふたを後ろへ放り投げ、すかさず長髪女と緑チビが自爆装置を探し出す。
ピンク男は力を使い果たしたのか、投げた体勢から後ろに倒れこんだ。
川 ゚ -゚)「よくやったジョルジュ。最高にかっこよかったぞ」
(;゚∀゚)「ハァハァ………mjd………?」
川 ゚ ー゚)「……あぁ」
(*゚ー゚)「ジョルジュさん、かっこよかったよ………」
(;゚∀゚)「ハァハァ………へへ、そいつはどういたしまし………て………」
その言葉を最後に、ピンク男は気を失ったみたいだ。
そして長髪女はついにミルナ号に搭載していた自爆装置を発見したみたいだ。
自爆装置自体は至って普通の作りだからドライバーで簡単に開けられるんだよな。
コードがある部分まで部品を解体したときは、もう既に1分も残ってなかった。
川 ゚ -゚)「コードは赤、青、黄、緑の4本。どれかを切れば解除成功、間違えたらあぼん………」
从 ゚∀从「………………………」
残る時間はあと二十秒。
もう考えるのも億劫だ。終わるなら早く終わらせてくれ…………。
- 43: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:21:22.11 ID:/puRLbaK0
- 川 ゚ -゚)「一か八か…………緑だ!」
(*゚ー゚)「………違う!赤だ、赤だよ博士!」
川 ゚ -゚)「しぃ………信じていいんだな………?」
(*゚ー゚)「うん!」
川 ゚ -゚)「なら君の言葉を信じよう……」
そう言って、長髪女は赤いコードがあるところにペンチを持っていく。
無駄に生き延びるか、全員揃ってあぼんか。
どっちに転ぶかはこいつら次第ってか…………まぁどうでもいいか。
そう思いながらふと上を見上げた。すがすがしいまでに青空が広がっていた。
こんなごちゃごちゃした街は狭苦しくて嫌いだったが、どんな場所で見上げても空だけは好きだった。
それにしても何ヶ月ぶり、いや何年ぶりに見上げたんだろう。
久々に見た空は凄く綺麗に思えた。
从 ゚∀从「………こんな綺麗な空、一度でいいから飛んでみたかったな………」
子供じみた台詞を吐きながら、ゆっくり目を閉じた。
川 ゚ -゚)「神よ………貴方に祈ったことなど今まで一度もなかった…………
だが……本当にいるのならば……奇跡を……起こしてくれ!」
パチン
- 44: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:23:29.45 ID:/puRLbaK0
神か……………………………
そんなのいたからって生きているって確証はないっつーの………
…………悪くない人生だったはずだ…………………
- 45: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:25:20.18 ID:/puRLbaK0
从 -∀从「……………………………」
- 47: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:27:41.36 ID:/puRLbaK0
从 ゚∀从「……………………………くそったれ」
どうやら生き延びたようだ。
下じゃ長髪女と緑チビが緊張の糸が抜けたせいか、座り込んでいた。
川;゚ -゚)「神よ………今この瞬間だけ………貴方に感謝しよう………」
(;゚ー゚)「よかった………本当によかった…………」
何がよかっただ、こっちはいい迷惑だ。
やっと覚悟を決めれたのに、やっと親父のところにいけると思ったのによぉ………
川 ゚ -゚)「さぁ、休んでる暇はない。市民の避難の必要はなくなったし
今度は戻す作業を手伝わなくては」
(*゚ー゚)「そうだね……そうだ、ジョルジュさんは?」
川 ゚ -゚)「ジョルジュなら休ませてやれ、相当疲れ果てているようだ」
( -∀-)「Zzz…………」
ピンク男はのん気に地面で寝そべっていびきをかきながら寝ている。
ほんと、さっきまでの姿とは大違いだな。
川 ゚ ー゚)「ふぅ、本当に能天気な奴だ」
敵が目の前にいるってのに寝るってどんな神経してるんだ全く。
- 48: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:29:49.10 ID:/puRLbaK0
- 从 ゚∀从「ほんと、呆れるほどのバカ共だなてめえらは………」
もはや復讐の事すらすら頭に残らないぐらい疲れた……
川 ゚ ー゚)「ハハハ、そうだな。私達はバカ共だな」
从 ゚∀从「フン、何あっさり認めてんだこの肉の塊が」
なんでだろうか
あれほどモヤモヤして重かった心が、少し軽くなってやがる………
生きてるからか?空を見たからか?
从 ゚∀从「まぁ、そんなのどうだっていいか…………」
- 50: ◆itxLAKN81Y :2006/11/14(火) 00:31:21.18 ID:/puRLbaK0
- 川 ゚ -゚)「では私は先に行っている。しぃはジョルジュを見ていてくれ」
(*゚ー゚)「わかった」
从 ゚∀从「ああ、そうだ。そこの長髪女」
川 ゚ -゚)「私の名前は長髪女ではない、親からクーという名前を授かっている」
从 ゚∀从「じゃあクー、後で話がある………VIP橋で待ってる……」
そう言い残し、エネルギーを使い果たしたミルナ号を置いて自らの脚でVIP橋へ向かった。
川 ゚ -゚)「わかった、少々時間がかかるかもしれないが、それでいいか?」
从 ゚∀从「把握した」
長髪女……クーならきっと知っているだろう………親父のことを………
第五話 終
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