( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです

7: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:31:05.31 ID:ckO98Afy0
  
第一話『討伐隊』


いつのペットボトルだろう?

青紫色の液体を見て彼は思った。
乱雑な部屋には半分くらいまで中身の減ったペットボトルがゴロゴロと転がっている。

中にはマリモのような気持ち悪い塊がプカプカと浮いていた。
朝日に照らされて透き通ったそれは、どことなく神秘さを醸し出す。

マリモは見て楽しむものだ、だったらこれも似たようなものじゃないか。
マリモなんかよりもよっぽど早い速度で大きくなっていくだろう、色は茶色だが。


観賞用にと机の上に置いて、改めて乱雑な部屋をガサガサと漁る。

ようやく発見した靴下を広げると、ひどく汚れていた。
洗って畳んでそのまま放置していたのに汚れるとは理不尽なものだ、そう思いながら男は靴下を裏返した。
……うん、許容範囲だと己に言い聞かせる。

そのまま靴下に足を通すと、数週間と洗われていないだろうシャツに腕を通した。
秋の涼しい風が吹き付けるだろう外へ、緊張しながらも足を踏み出した。



8: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:32:24.68 ID:ckO98Afy0
  
( ^ω^)「太陽が眩しいお……」

いや、天気は曇りだが。
天気は曇りなのだが……一日中部屋に閉じこもっている彼にとっては瞼がチクチクと痛かった。
一日中部屋に閉じこもっている理由はみなまで聞くな、彼こそは自他共に認める、今を羽ばたく絶望の代名詞であるニートだからだ。

時間に余裕があればネット、エロゲ、読書を繰り返す日々。
世情に対し無関心な彼にとっては欲求もひどく少ない、食事は面倒だからと食べない時だってある。

(;^ω^)「久しぶりに外に出ると他人が嫌になるお……全てが敵に見えるお」

そんな四面楚歌の状況では、目線で視姦されているかのような錯覚に陥る。
被害妄想甚だしいわけだが……うん、中々悪くないかも知れない。
彼は自身の新たな性癖を発見した。


外に出るなど夜にコンビニに行く時くらい、朝から出かけるなど実に数ヶ月ぶりだ。
そう、今日は同じニート引きこもり仲間と会う日なのだ。



9: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:33:23.49 ID:ckO98Afy0
  
コンビニでパンを買うと、食べながら歩く。
食べ歩きというのは奇異な目で見られがちだが、そうやって自分を隔離した。
道行く人、一般人と自分とを完璧に分け隔てたのだ。

約束の公園にいくと、ベンチに腰掛けながら携帯をいじった。
周りを見渡す気にもならなかったのだ、待ち人に到着のメールを送って携帯でネット。

そうこうしていると、声をかけられる。

('A`) 「よおブーン」

( ^ω^)「ドクオ、久しぶりだお」

ブーンと呼ばれた青年は、如何せんその重い腰を上げようとしない。
ドクオと呼ばれた青年は、特にそれを咎める事もしなかった。

('A`) 「こんな所で話するのもなんだし、漫喫にでも行かね?」

( ^ω^)「漫喫も人多くて嫌だお、奴等は視線で僕を辱めるお。ドクオの家がいいお」

('A`) 「おま……相当なヒッキーだな。恥ずかしくないのか?」

( ^ω^)「五十歩百歩だお」


分かりきっていた事かとドクオは首を振り、ブーンは半ば強制的に彼の家に乗り込む事に決めた。



11: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:34:30.59 ID:ckO98Afy0
  
一方、物陰でその二人を覗く影があった。

川 ゚ -゚)「ジョルジュ、ターゲットが移動を開始した。捕まえるか?」

( ゚∀゚)「……仕掛けるか? クーに判断は委ねる」

川 ゚ -゚)「把握、仕掛けよう」

男と女は軽く話を済ませると、そのままブーンとドクオを尾行した。
公園から出て人通りが少なくなっただろう、そこで静かに二人に近付いた。

そして黒い大きな袋に二人を入れると、入り口を縛り付ける。
あまりに手馴れた素早い行動に、二人はなす術無く捕まった。

(;^ω^)『おおおおおお!?』

('A`) 『何これ、拉致?』

二人の声は袋の中に響くばかりで外には漏れない。

川 ゚ -゚)「捕捉完了」

( ゚∀゚)「ちょろいもんだぜ」

ドタバタと暴れる荷物を気にとめることも無く、任務完了と粋がる。
そして手っ取り早く岐路につこうとした。



12: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:35:38.14 ID:ckO98Afy0
  
しかしそんな二人をさすがに不審に思ったか、偶然通りかかった警察が銃を構えて声をかける。
かなりの警戒色を示していた。
間違ってもサンタクロースじゃないだろう、慌てんぼうのそれでも限度がある。

(=゚ω゚)ノ「えーと、君たち? 警察だけど……その袋は何だい?
   最近魔女騒ぎで物騒だからね、一応確認させてもらってもいいかな?」

( ゚∀゚)「あー、悪いね。オレらこういう者でさ」

そう言ってジョルジュという男は手帳を警察に出した。


『魔女討伐隊 団員証』


(;=゚ω゚)ノ「あ、あなたたちがあの討伐隊……失礼しました!」

( ゚∀゚)「いやいや、お仕事ご苦労さん」

そう言ってジョルジュは警察の肩をポンと叩くと、その場を後にした。
女も軽く会釈してそれに続く。

(;=゚ω゚)ノ「政府の認めた魔女討伐機関……こんな所で会えるとは……」

あからさまに不審なその二人を驚愕の眼差しで見た。
傍から見ればさぞ奇妙な構図だったことだろう。



13: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:36:46.10 ID:ckO98Afy0
  
ジョルジュと女性はそのまま車に乗り込むと、十数分走らせる。
念入りに迂回路を通ると、とあるビルの地下駐車場に車を止めた。

( ゚∀゚)「さて、またここから運ぶのか……肩が凝るねぇ」

川 ゚ -゚)「あとで揉んでやろうか?」

( ゚∀゚)「むしろオレがオマエのおpp……」

女はジョルジュの方へ、銃を突き出して構えていた。
素早い動作だったが、男は驚いた素振りなどまったく見せていない。

川 ゚ -゚)「笑えない冗談は好かんな」

( ゚∀゚)「残念だなぁ、クーのツボは未だにわかんねえよ」

ジョルジュの諧謔を生真面目に突っ撥ねると、二人で人の入った黒い袋をトランクから運び出した。
袋の中身は抵抗する事が無意味とわかったのだろうか、暴れる事無くスムーズにことは進んだ。



14: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:38:04.33 ID:ckO98Afy0
  
そのまま地下の奥にある、広い物置にやってきた。
ここでようやくブーンとドクオの入った荷物が地面に下ろされる。
「いたっ」っと声がしたのは幻聴ということにしておこう。

( ゚∀゚)「ショボンさん、連れて来たぜ」

川 ゚ -゚)「2名滞り無く連行しました」

(´・ω・`)「うん、ありがとう。とりあえずその中から出してあげようか」

それを合図に、ジョルジュと女性はそれぞれの袋の口をナイフで切り破った。
袋から二人はようやく姿を表す。

( ^ω^)「……こんにちはですお、残念ながらブーンの家に身代金は要求するだけ無駄ですお。
   むしろお荷物の息子がいなくなって喜んでいる頃だお!」

('A`) 「……いい暗さだな、だが他人がこうも集まっていると嫌になる。
   ああ、拷問とか殺すなら痛くないのにしてくれ」

そこは薄暗く、いくつかの白熱灯が灯っているだけ……この二人には中々居心地の良い空間だった。
だがドクオは他人と一緒という事に不満を抱いているようだ、そもそも全員で5人しかいないのだが。

(;゚∀゚)「……」

川;゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「想像以上のダメダメっぷりだね、ある種才能だよ。
   ちなみにこれは身代金目当ての誘拐なんかじゃないから安心して欲しい」



16: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:39:06.34 ID:ckO98Afy0
  
(´・ω・`)「えっと、とりあえず自己紹介から入ろうか。
   僕はショボン、一応この魔女討伐隊の長をしているよ」

( ゚∀゚)「オレはジョルジュ、一応副長だ」

川 ゚ -゚)「私はクー、同じく副長だ」

( ^ω^)「ぷっ、魔女とか言ってるお。僕達よりもいかれてますね」

('A`) 「何々? 新しいサバゲーですか? 構わないけど生きてる人誘拐したら犯罪だよ、それは分かるよね?」

川#゚ -゚)「殺しの許可をお願いします。今すぐに、跡形も無く姿・形・匂い・存在全て物理的に完全抹消します」

(´・ω・`)「まあまあ落ち着いて、僕も予想以上のダメっぷりに驚きを隠せないよ」

ショボンが止めると、クーは素直に従って構えた銃を下げた。
そして会話から逃げるように部屋から出て行く。

( ゚∀゚)「あーあ、怒らせた」

( ^ω^)「フラグ立てのコツは、まず相手に自分を意識させる事からはじまるお。
   何より好感度最悪からのスタートなんて今時珍しい話じゃないお」

('A`) 「ってか分岐マダー?」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」



17: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:40:12.43 ID:ckO98Afy0
  
(;゚∀゚)「とりあえずなんだ、魔女から話し進めないといけないのか?
   相当に前途多難だな……ってか魔女知らないことは無いだろオマエ等」

( ^ω^)「正直魔女よりもナースの方が萌える件」

('A`) 「バカだな、魔女はあのステッキで……ってのが魅力的なんだよ」

(;゚∀゚)「いいか、無視して話し進めるぞ。
   俗人なら当然知っていると思うんだが、最近ここいらで魔女が出るんだ。
   ちなみに本物の魔女で、既に何百人と被害者が出ている」

( ^ω^)「あー、2chで新ジャンル『魔女』が乱立してたのはそういう事かお」

('A`) 「本物の魔女か……それは大変おいしい話だ、ぜひ一度あのステッキで……」

(;゚∀゚)「そして先週ようやくそのうちの一人を倒す事が出来た」

(;^ω^)「リアル魔女ktkr! kwsk、kskkskksk!!!」

(;'A`) 「更新更新更新ッ、F5キーがぶっ壊れる!!」

( ゚∀゚)「魔女っつっても男だったが」

( ^ω^)「魔女キメェ」

('A`) 「Alt+F4」



19: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:41:30.87 ID:ckO98Afy0
  
( ゚∀゚)「犠牲者7名、10人編成で樹立したオレら討伐隊も魔女一人にここまでの犠牲者を出した。
   新たな魔女の相手をするために今、新メンバーを必要としているわけだ」

そう言ってジョルジュは二人を見る。
二人はしばらくフーンと言いた気だったが、次第に現状が理解できてきたようだった。
つまり、新しい魔女討伐のメンバーとしてブーンとドクオをこの場に連れて来た事に。

(;^ω^)「ちょっと待てお、そんな魔女退治によもやニートを使うなんて……」

(´・ω・`)「ニートだからだよ、いなくなっても社会的にも道徳的にも全然問題ないからね。
   分かったか社会のクズが」

('A`) 「あー、反論できんね」

(´・ω・`)「とりあえずここ一週間のネット時間を調べ、君たち二人は抜きん出て優秀な結果だったよ。
   そしてハックしてメールボックス調べたら二人が今日会うときた、運命だと思わないか?」

( ゚∀゚)「最高のチャンス到来ってワケだ。
   あとオマエ等のパソコンウィルスだらけだよ、オレのノートン先生お怒りだったぜ?」

('A`) 「ノーガード戦法なんで」

( ^ω^)「どんなもんじゃーい!」

( ゚∀゚)「そもそもオマエ等の個人情報はある意味ウイルスよりタチが悪いよな、愚問だった」



20: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:42:34.34 ID:ckO98Afy0
  
(´・ω・`)「残念ながら君たちの親からも許可を得ているので、強制的にここで君たちには動いてもらうよ。
   断ったら殺す、家族ごと」

('A`) 「あー、別にどうでもいいわ」

(;^ω^)「断れない事知ってて言ってるお?」

( ゚∀゚)「そういうこった、よろしくな。ブーンにドクオ」

ジョルジュが差し出した手を、二人は掴む事をしなかった。
納得していないのか、それとも現状について来てないのか……。

( ^ω^)「そもそも魔女って何だお?」

( ゚∀゚)「魔女ってのはな、ある事象を……形の無いものの大きさをでかくできるんだ」

( ^ω^)「オマエ何言ってんだお」

(´・ω・`)「スカラーって分かるかな? ベクトルと違って、方向を持たない力や量……」

('A`) 「聞いたことあるな」

( ^ω^)「記憶にございません」

(´・ω・`)「厳密には違うけど、『高校で習う』スカラーの大きさを大きく出来るんだ。
   密度を上げる、力を強くする、物が堅くなる、温度を高くする……」



22: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:43:50.06 ID:ckO98Afy0
  
( ^ω^)「オマエ何言ってんだお」

('A`)「自分中卒ですが」

(´・ω・`)「とりあえず一度会ってもらうといいんだけどね、同時に死ぬ可能性も大いにあるけど」

(;^ω^)「出来れば一生会いたくないお……」

( ゚∀゚)「一応先週に殺した魔女の話だと、残るメンバーは6人だそうだ。
   男が4人、女が2人……こいつらを倒さない事には今までの生活の戻れないと思え」

('A`) 「相手一人殺すのに7人の犠牲、残り6人って事は……42人の犠牲か」

( ^ω^)「とりあえず僕らニートの力なんて人一人分で計算されるなんて恐れ多いお、
   僕とドクオで一般人半分くらいかお?」

('A`) 「そんなに過大評価すんなよ」

(;゚∀゚)「……」

本当にこの二人は魔女を知らないのだろう、そして甘く見ているのだろう。
そうでなくてはこうもふざけ合ってなどいられるはずも無い。
ジョルジュは怒りよりも先に、呆れるという感情が生まれた。



23: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:44:55.08 ID:ckO98Afy0
  
( ゚∀゚)「とりあえず、その魔女がここ数年突然の反乱を起こしてな、一斉の駆除が開始されたわけだ。
   今回の相手っていうのはその生き残りにあたる」

('A`) 「何で魔女ってのはそんないきなり反乱なんてしたんだ?」

( ゚∀゚)「魔女に聞いてくれ、オレらにゃ奴等の意図までは分からないし、発端に何があったかも知らない。
   ただ、奴等は感情に任せて自分勝手に殺戮を行う無法者ってことだけは確かだ。
   そしてオレらはそんな魔女から一般人を守る……ヒーローって所だ」

('A`) 「……ニートのね」

( ^ω^)「うは、新境地!」

(;゚∀゚)「……ふぅ」

ヤレヤレとジョルジュは肩を竦めた。
現状でこの二人に何を言っても無駄だと悟ったのだ。


大体の話を終えると、クーを呼んで改めて自己紹介をした。
そして、ブーンとドクオは討伐隊として動く事になった。



24: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:45:59.50 ID:ckO98Afy0
  


その頃、ジョルジュに討伐隊の証明をされた警察はその感動を露にしていた。
パッと見火事場泥棒と寸分と違わず『不審』という言葉だけでは生温い、
ヒーローに憧れる子供たちの夢を一撃で粉々に砕くような最悪のシーンに対面してしまったわけだが、それ以上に出会いの感動が大きかったのだ。

(;=゚ω゚)ノ「いやー、本当に討伐隊がいるとは……感動だなぁ、
   今時魔女に向かうなんて我々警察から見ても尊敬するよ……」

そんな事を口にしながら歩いていると、後ろから声をかけられる。

( ^Д^)「魔女が……どうかしたんですか?」

(;=゚ω゚)ノ「あー、いえいえ何でもないですよー。魔女が出るから物騒な世の中ですよねー」

( ^Д^)「プギャー、警官さんも魔女が怖いんですか?」

(;=゚ω゚)ノ「流石にね、あいつらは人間じゃない――」

瞬間、警官の前にいた男が消えた。


そして……警官は腹への激しい鈍痛を覚えた。



25: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:47:09.91 ID:ckO98Afy0
  


今はもう使われていないとある港倉庫、そこには数人の男女がいた。
木造の古ぼけたその壁からは、板の間を縫うように光が差し込める。
電気がついていないにも拘らず、意外にも明るみを帯びていた。

( ´_ゝ`)「なんだ、プギャーは遊びに行ったのか?」

(´<_`)「なんでもモナーが殺されたから、調子に乗らないように警察を何人か殺してくるそうだ」

( ´_ゝ`)「モナーか……魔女の恥さらしめ」

二人の男はパソコンを覗きながら会話していたた。
パソコンにはモナーという魔女が捕まった話題がニュースとして挙がっている。
電気の無いここでどうやってパソコンを使っているか、どうやってインターネットをしているかはまた別の話だ。

(,,゚Д゚)「しかしプギャーの勝手さにはいい加減困るなゴルァ」

(*゚ー゚)「そうよねぇ、もうちょっと作戦とかさ、何か考えてもいいのに」

(´<_`)「言うだけ無駄だ」

( ´_ゝ`)「そう思う、反骨精神の塊みたいな奴だからな」

話していると、そこに一際甲高い声が響いた。

ξ#゚听)ξ「あーもう、アイツなんなのよプギャー!
   私にガキガキいつも言いながら勝手な行動ばっかりでさー!」



27: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:48:21.66 ID:ckO98Afy0
  
(,,゚Д゚)「ガキは事実だろ、最年少魔女なんていい響きだろゴルァ」

ξ#゚听)ξ「うっさいわね、どうせガキで力も全然強くないですよーだ!」

辺り構わず噛み付く彼女だったが、周りは慣れているのか歯牙にも掛けない。
宥める事もせずに、淡々と言葉を続けた。

( ´_ゝ`)「力が強くないのはプギャーも一緒だろ、モナーもだが」

(´<_`)「少なくともツンよりは強いがな」

(,,゚Д゚)「言ってやるな、プギャーは器用貧乏なだけだ」

ξ#゚听)ξ「私を弁護しろよ」

( ´_ゝ`)「確かにモナーに比べればプギャーはよほどマシだが」

(´<_`)「ツンはモナーよりさらに格下だがな」

ξ#゚听)ξ「うっさいわね、ほんとトサカくるわアンタたち!」

魔女の集まるその空間、その雰囲気は異質だった。
仲間を同情する者もいない、そんな関係だった。



28: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:49:30.74 ID:ckO98Afy0
  


自己紹介も手短に済ませたブーン達は、とりあえずその『基地』ともいえる地下施設を案内されていた。
ジョルジュとクーが歩いて直接教えてくれる。

遊技場に射撃場、お手洗いにお風呂。
例外なく壁は黒ずみ、苔臭さが漂った。
一通り紹介を終えると、最後にとある一室の扉を開けた。

( ゚∀゚)「そしてこれがオマエ達の部屋だ」

と紹介されたのは、20畳ほどのアスファルトで囲まれた一室。
用意されているのは布団だけと、まるで囚人用にしか思えない粗末っぷりだ。

( ^ω^)「これ何てアスベスト?」

( ゚∀゚)「ねーよ」

二人で使うにはなまじ広過ぎる空間が、孤独には慣れているとはいえブーンを焦燥させる。
何も無いのならいっそのこと3畳部屋に一人でも十分なのに。

何よりこの部屋で魔女と戦って死んでいった人達が生活していたんだろうと思うと、背筋が凍った。


そこで突然、基地全体に響くほど大きく無機質な電子音が鳴る。
ビクッと体が跳ねた。



29: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:50:46.21 ID:ckO98Afy0
  
   ピーッ ピーッ ピーッ......

(;^ω^)「放送禁止音が聞こえるんですが、大変卑猥です」

(;゚∀゚)「これは……行くぞ、魔女が出た」

(;^ω^)「ちょま、タイミングいとワルス」

('A`) 「おれ……この戦いから帰ったら結婚したいなぁ」

( ^ω^)「死亡フラグとみせかけて願望乙」

川 ゚ -゚)「オマエ達、いい加減マジで切れるぞ? 千昌夫のホクロの位置に風穴開けるぞ?」

('A`) 「俺Mじゃないんで勘弁して下さい」

ジョルジュとクーはすぐにも戦闘の準備を整える。
チョッキに袖を通すと、手榴弾(らしきもの)に銃、ナイフを懐にしまう。
映画のように黙々と銃機器を揃えて、数分とせずにも準備を終えた。



31: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:51:56.61 ID:ckO98Afy0
  
ポカーンとその様を見ているブーンとドクオは、準備を終えた二人に促され一際広い倉庫部屋へと連れて行かれる。
ブーン達が初めに連れて来られた場所だ、ショボンは動く事も無くまだそこにいた。

(´・ω・`)「うん、最高のタイミングで魔女が出てくれたみたいだね」

( ゚∀゚)「……そうですね」

ジョルジュの顔は若干強張っていた。

(´・ω・`)「とりあえずすぐに向かってくれ、新隊員に魔女を見せるチャンスでもあるしね」

( ゚∀゚)「なんとか死なないよう努めてきます」

(´・ω・`)「それは最低条件だよ」

おどけるショボンに対し、ジョルジュは笑って返す気にもなれなかった。
魔女と会えばただで済まない、普通なら死ぬのだから。
少なからず現世の思い出を頭に浮かべてしまうものだ。

( ゚∀゚)「それじゃあ、行こうか」

ジョルジュは指揮を取って、すぐにも駆け出した。

ブーンとドクオは……不運にも、早々に魔女と対面のチャンスを得た。



戻る第二話