( ^ω^)ブーン系にも奇妙な物語のようです

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:07:49.74 ID:LfHZrTcY0
地球のある山奥に自然と一切調和していなさそうな家に住む男がいた。名はモララー。
見た目は年齢より若いが、それでももう髪の大半が白髪となっている。
彼は昔、定理の証明を行い結果として失敗に終わったがとある賞を獲得するまでに至り有名となった。
彼は今、発明家として生きている。

( ・∀・)「やれやれ、ついに出来たな」

もう誰も彼のことを思い出す人間はいないだろうが、そんなことはお構いなしに生きている。
彼は今、とんでもないものを作り出した。
新型兵器なんて比ではないもの。人間なら誰もが憧れる機械。
そう、タイムマシンだ。

(;・∀・)「……調子に乗って二個作っちゃった……」

そして天才ではあるが、彼のネジは一本外れている。


作り終えたと同時に、彼は脱力感に襲われた。言うなれば睡魔だ。
これを作るにあたって、彼はここ数カ月まともに眠っていないのだ。
三日三晩起きていることは当たり前、時には一週間眠たさに気付かずに起きていたこともあった。
朝日が昇るが、とりあえず寝よう。彼が布団に潜り込み、そして夢を見るまでそう時間がかからなかった。



94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:09:56.48 ID:LfHZrTcY0



( ・∀・)ブリッジを封鎖するようです



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:12:37.77 ID:LfHZrTcY0
彼は三日間眠ったままでいた。
目覚めたときにはタイムマシンのことなんて考えてはいなかった。
ただ尿意と空腹の二つを感じ、そのどちらを先に解決するか迷った末、トイレへと向かう。

( ・∀・)「……何でタイムマシンなんて作ったんだろう……」

便座に座りながら、自分がタイムマシンを作ったことを思い出す。
しかし、彼が作ったのにはそれなりの理由や経緯があったわけではない。
ただ興味本位で考え没頭し、作ってしまっただけにすぎない。

彼はもう地位や名誉はいらないと思っている。
だから何か大げさに発表しようとは思わない。
また、私事に使う気もない。
そこまでして改ざんしたい過去があるわけではない。

作ってしまった後の夢を喪失したやるせなさを感じ、すっかり意気消沈してしまった。
タイムマシンは作れないものであってほしかったのだろう。
そんな中でも彼は本能のままに食を作る。
だが今の彼に作れるものは、卵をかき混るスクランブルエッグ程度しかなかった。



96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:17:11.98 ID:LfHZrTcY0
彼はテレビを付けた。山奥だろうが彼にとって電波を受信をさせることはたやすい。
受信料を払わなければならない番組でもこんなところにわざわざ来る人はいない。
味気なく、少し腐った卵を食べながら、そんな番組を見ていた。

('、`*川「こんにちは。十二時四十五分になりました。ニュースの時間です」

食卓テーブルに椅子が一つ。彼の目の前には大きなスクリーンがある。
そして、それがテレビの放映をやってはいたが見向きをするそぶりはなかった。
始めは、政治的なニュースばかりをやっていた。彼にとっては一番興味のないニュースである。
そしてそんなニュースも終わり、自分の気をひくものはないかと、顔をあげテレビをまじまじと見る。

('、`*川「一昨日の夕方に起きた『ゴールデンブリッジ』の崩壊による救助により二十一歳無色の男性が助かり……」

彼が寝ている間に橋が崩壊したなどなかなか起きない事故が国内で起きていた。
橋が崩壊するなんて極稀な事、もちろん彼の目をひいた。

('、`*川「この事故により正午現在死者三十三名、行方不明者六十九名と今世紀最大ともいえる……」

( ・∀・)「物騒だな」

('、`*川「現在この橋を造った会社による調査が進められていますが、未だに原因は不明とのこと……」

なかなか面白い話だと思いながら、他に同じような番組はやっていないかとチャンネルを回す。
彼がこの事故に関わる話を見つけるのは簡単だった。それほど多くの番組がこの件のことを報道していたのだ。



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:20:56.92 ID:LfHZrTcY0
( ^^ω)『世の中!狂ってんだよ!狂ってんだよ!』

J( 'ー`)し 『たけしは、本当にいい子だったんです。それなのに、どうして……』

从 ∀从『この日、彼とつまらない事で喧嘩して……あの日に戻れるなら戻りたい』

( <●><●>)『久しぶりに休暇が取れたから家族と一緒に遊ぶ予定で。どうして自分だけ助かってるのか』

このような事が話がいくつもいくつも流れる。
彼は感極まってスクリーンが見えなくなるほど涙が出てきてしまい、もう見れないとチャンネルを回す。



98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:24:13.84 ID:LfHZrTcY0
( ´∀`)「間近で見ていましたが、本当にCGのようにすごかったモナ」

川 ゚ -゚)「……」

( ´∀`)「遊園地のジェットコースターやお化け屋敷から聞こえる以上の悲鳴が聞こえたモナ」

川 ゚ -゚)「……」

( ´∀`)「この時グロい夢でも見ているんじゃないかってくらいだったモナ」

川 ゚ -゚)「……」

( ´∀`)「今予言するモナ。これは地球からのメッセージだと思うモナ。環境破壊を止めろという……」

川 ゚ -゚)「もう一切このテレビ局には出られませんよ?」

(;´∀`)「……いや、でもこの橋が壊れる前に不思議な事が起きたんだモナ」

川 ゚ -゚)「またその話ですか」

(;´∀`)「それほど凄いことだったモナ。百人強の死者が出たことよりこちらの方が凄いことだったモナ!」

川 ゚ -゚)「いきなりですが、一旦CM入ります」

彼にでもわかるほど妙な番組ならしい。涙はもう消えていて、不機嫌そうにまたチャンネルを回す。



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:26:15.97 ID:LfHZrTcY0
その橋は吊り橋で観光名所の一つだったこと。
崩壊したのは全部ではなく、上り方面の道路が壊れた。
壊れた原因は未だに不明だということ。
下では河が流れていてそこから落ちれば普通は即死だということ。

また、橋を造ったのは今北産業という何故か産業会社で

『橋崩壊
 それは おじさんの きんのたま!
 ゆうこうに かつようして くれ!』
と、意味不明な言動を繰り返し、原因は未だに不明とのこと。

彼は不意に立ち上がった。

( ・∀・)「発明とは人の役に立たせるものだ! 今こそその成果を発揮しないで何になる!」



102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:32:37.14 ID:LfHZrTcY0
食べ終わった後の皿もコップのそのまま、すぐさま彼は過去へと行く準備をする。
もう誰も見ていないスクリーンでは先ほどと一変してアロマグッズの特集をしていた。
さっきの無表情な顔をしていたキャスターも一変して楽しそうに相槌を打っていた。

彼は持てる限りのお金を持ち、できる限りの身なりを整え、体臭はしないだろうかと体を嗅ぎ、
靴擦れするほど小さな靴を履き、準備万端、意気揚々とした素振りでタイムマシンに乗り込む。

過去へ行くには雷一発ほどの電力が何秒も必要になる。
放電の時間を無理に長くさせて何発もの雷から電力を取り、
その保持に成功したが、今は保持できた最大の電力の約半分を使うことになる。
そしてこれにより電力がほぼ完全に無くなるが、なんらためらいが無さそうだ。

彼が作ったタイムマシンというのは、誰もが分かるとおり過去へと行く機械だ。場所を指定し、過去へと向かう。
彼の考えでいくと過去へといけるのはタイムマシンの中だけで機械そのものは、消えてしまう。
タイムマシンの中は二畳ほどの大きさ。つまり、一度、二畳分の物質だけ過去へと持っていけるのだ。
しかし、これだとタイムパラドックスという矛盾が起こる。どうなるかはやってみないとわからない。

( ・∀・)「流石にちょっと怖いな……」

勢いでここまできたものの、やはり失敗することがあるのではと思い、臆する。
行きたい過去のいけなかったらどうしよう、変なところに着いたらどうしよう。
過去を目の前にして今まで考えてこなかった問題が次々と彼の頭に浮かんできたのだ。
しかしそれよりも強く大きく被害に会った人の事を思い浮かぶ。

( ・∀・)「いくか」



103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:35:35.20 ID:LfHZrTcY0
彼らは一体どのような人間だったのだろう。
たくさんの人々が泣きじゃくるほど悲しむほどの人たち。
なぜそんな人たちがこんな事故にあわなければならないのか。
このような人たちのためにこそ、こういった機械があるのだ。

このタイムマシンはタッチ式の画面があり、きれいな合金や樹脂といったものでできていて、
レバーやスイッチ、ボルトなどといったアナログチックなものはないような物だが、
一つだけ雰囲気作りにボタン式のスイッチがあった。
彼は、そのスイッチを強く押した――

不意に中が揺れだした。
当たり前のように明かりは消え、何も見えないままただこの震動が止まるのを待つだけだが揺れが一層強くなっていく。
目をつぶってただ、この揺れがおさまるのを待った。
彼にとって数分に感じただろうか。その揺れがおさまった。



105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:38:03.76 ID:LfHZrTcY0
(;・∀・)「失敗か?」

恐る恐るドアを開ける。眩しいと思えるほどの光が入ってこない。
開ければそこは真っ暗、ただ少しばかし金平糖より小さな点々の光が見える。
彼は異世界に飛ばされたのではないかと一瞬我を失った。
だが、すぐに我に返り携帯電話のような小型GPSを手に取った。

目を瞑ると止まっていたりする時計や、受話器から耳を話すとコールをしていなかったりする電話などといった、
そういった錯覚とはまた違うが、見られていないと思っていたかのように役目を果たしてなく、
未来の情報を提示していたそれが彼の手に取られた瞬間驚いたように場所と時間を変更し、その数秒後エラーの文字が出た。
場所は着く予定だった家から数キロも離れていない場所、時間は三日前の夜だったようだ。

電波や磁場、放射能その他さまざまなテストを簡単に行った。
機械も一緒に過去へ行くなどの想定の範囲外な事や多少の誤差はあったが、
彼の作ったタイムマシンは成功していたのだ。

だが彼はタイムマシンが成功したことに感動してはいなかった。
彼が感動するのはこの機械を使ったおかげで人助けができた瞬間。
そんな素振りで彼は明日に起こる橋の崩壊への準備をし始める。

彼は一旦家へと帰る。部屋は真っ暗。だが、そこにはぐっすりと眠っている彼がいるはずだ。
彼は明かりを付けて、少し眩しそうに顔をしかめて眠っている自分自身を遠くから眺めた。
眠っているのを起こされた記憶はないので、無理に自分を起こそうとするのはしなかった。



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:41:12.21 ID:LfHZrTcY0
そして次の日の夕方。まだその橋が崩壊する前。しかし、もう直前となっている最中、彼は一台のトラックに乗っていた。
ラッシュアワーとなり、下りはたくさんの車が固まっているが、彼のいる上りはゆっくりと進んでいる。
しかし、その上りも急に固まる。橋はまだ壊れてない。
橋の手前、一台のトラックが片側二車線を完全に遮ったからである。

彼は天才ではあるが、人生をうまく生きるにあたってのいろいろなものが欠けている。
学習力、適応力、察知力、記憶力、判断力、応用力、注意力、回避力、忍耐力、観察力、分析力、処理力。
だから、考え付いた行動はこうなってしまう。しかし、それはそれでよかったのかもしれない。
これよりももっといい案が考え付いたとしても、時間を過ぎれば意味がない。

( ´∀`)「おーい。何やってるモナ」

( <●><●>)「故意でやった行動なのはわかってます」

彼は出来るだけたくさんのお金を過去へと持って行き、そのお金で中古のトラックを買う。
そうして、ここまで何とかたどりつきわざと事故を起こして通行できなくした。
事故といっても大それたものではない。何か煙が出るほどのことでもなく、
ただトラックが真横になって通行を妨げているだけにしか見えないのである。



109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:45:36.50 ID:LfHZrTcY0
(`Д)「はやくそこどけろぉ!」

ξ゚听)ξ「マジ迷惑なんですけどー」

( ∵)「……」

トラックを降りた彼に降りかかるのは罵声の嵐。
しゃべろうとした口は、あいただけで言葉を発せず、塞げもしない。

マト#・д・)メ「ここはどうぶつえんじゃないのか……」

(<●><●> )「まだ着かないんです。気長に待ってください」

マト#゚д゚)メ「朝からずっとそれ言ってんじゃねーか!」

実は彼はこの行動をとりたくはなかった。失敗する可能性が高いとみたからだ。
彼はこの行動をとりたくなかった理由の中に被害にあった人のモラルについて考えたからだ。
きっとこんな事故を起こしても誰かが助けてすぐに通れるようになってしまうのでは、と。

( ´∀`)「じゃまモナ。さっさとどかすモナ。それが無理ならトラックごと河へと落ちて欲しいモナ」

ξ#゚听)ξ「チョームカツク」



112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:52:58.68 ID:LfHZrTcY0
出来るだけそんな行動をとらないでほしい。彼は行動前にそう思っていた。

(’e’)「なぁなぁ、こんな時にだけど、お前味噌汁の上にご飯ぶっかけるよなぁ?」

(`Д)「おい! どーなってんだ!」

確かに彼の思っていた悪い方向へは行かなかった。

( ・∀・)「すいません。あの……」

( ´∀`)「おい、ジジイ。さっさとどうにかしろモナ」

マト#;д;)メ「いつになったら着くんだよ」

(<●><●> )「この人がどうにかしてからです。泣かないでください」

マト#;д;)メ「泣いてねぇよ。悲しいんだよ」

遠くのクラクションの音がヤジの音をかき消す。
彼の頭の中であの時に聞いた被害者遺族の言葉の数々がシャボン玉のように割れていった。



114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:55:58.46 ID:LfHZrTcY0
( ・∀・)「こんな変な事故を起こしちゃって……」

(’e’)「ご飯の上に味噌汁はやっぱりおかしいだろ」

ξ#゚听)ξ「早くしてよ!」

彼はもう耐えることができなくてついに言ってしまった。


( ・∀・)「実はこの橋、今崩壊するのです!」

しかし、静寂が訪れることもなくますます台風の目に向かい罵声が起こる。



116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 20:57:55.04 ID:LfHZrTcY0
(`Д)「それマジで言ったん?」

マト#゚д゚)メ「詭弁を吐くな詐欺師が!」

(*<●>・・<●>)=3「ハァハァ……いいんです。その調子で私にも罵ってください!」

マト#>д<)メ「ばかばかばか死んじゃえ」

(;・∀・)「……」

(’e’)「卵焼きにも醤油しか使わないしさ……」

(`Д)「ソースあんならすぐ出せ」

もう居た堪れない。彼はもう一度トラックに入る。説明するのも阿呆臭くなる。
彼は今更気づいたのだ。一時は自分が死んでも彼らを助けようとした。
それがどれほどの愚かな行為というものかを。



117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 21:00:20.03 ID:LfHZrTcY0
トラックはゆっくり、歩く程度に前へと進んでいく。
トラックから素早く降りた彼はそれを静かに見つめた。
トラックが河へとダイブするのを見送りながら彼は二度とタイムマシンを作らない決意をした。

( ・∀・)「どうもご迷惑をおかけました。申し訳ありません」

( ∵)「……」

幾人か驚いた表情を見せたが彼に対する怒りの方が上だ。
彼はそれを腑に落ちない顔ととらえ、それがまた怒りに戻る前に今まで来た道を戻った。
もしまた怒りが起ろうがそのときには多分河の中だ。

ちょっとして彼の後ろから悲鳴が起こった。
だが、彼は振り向いて見ようとも聞こうともしなかった。



120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 21:08:15.13 ID:LfHZrTcY0
ただボーっと、ずっと変わらないペースで歩いていた。いつの間にか繁華街へ出ていた。
我に返ると強烈な睡魔が襲ってくる。タイムマシンのせいで起こった時差ボケだ。
開発中は何日も起きてはいられたがそれはまた別だ。
まだ有り余る金でビジネスホテルに泊まることにした。

ふっと大型ビジョンが目に入った。
橋が崩壊したニュースが流れている。

川 ゚ -゚)「また、セントジョーンズ賞を唯一この国で受賞したモララー氏の死亡が確認されています」

彼は驚いた。自分の名前呼ばれ、そして死亡者の一人に加えられているのだ。

川 ゚ -゚)「円周率は三によってバルキスの定理は完結すると解いたゆとりの法則は現在も数学界で使用されており……」

何故だ。今ここで生きているのは何なんだ。そう思っているが、体は一切動かない。
傍から見ればただ立ち尽くしているだけの老人だ。
あそこに映されている顔写真が彼の過去の顔だとはだれも気づかない。

川 ゚ -゚)「……現在救急隊員による必死の救助活動がおこなわれています」

いつのまにか彼が一番このビジョンに目をやっていた。



121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 21:11:02.59 ID:LfHZrTcY0
川 ゚ -゚)「今回、この局で良く出演されております環境問題でお馴染み、科学者のモナー氏が実際現場に」

( ´∀`)「凄かったモナ! あんなもの一切見れないと思うモナ!」

川 ゚ -゚)「最後まで言わせてください。モナー氏が実際現場に遭遇し」

( ´∀`)「もう言葉では絶対表せないモナ!」

川 ゚ -゚)「話聞け、このエセ科学者」

( ´∀`)「実は事故に遭う前にこのモララーに会ったんだモナ!」

川 ゚ -゚)「ほぅ」

( ´∀`)「彼はこの橋が崩壊すると予言したんだモナ。それで皆を止めようとした」

川 ゚ -゚)「それでそれで」

( ´∀`)「でも結局だぁれも聴こうとしないで、その橋を通ったモナ。だから彼は去ってしまったモナ」



122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 21:14:26.59 ID:LfHZrTcY0
彼もここまでは記憶にあった。
しかし、

( ´∀`)「なのに彼はもう一度橋の上に立っていたモナ」

どういうことかさっぱりわからない。
もし彼が死んでいるとしたら、ここにいる彼は何者なのか。
もし彼が生きているとしたら、発見された彼は何者なのか。

川 ゚ -゚)「そんな話誰も信じませんよ」

( ´∀`)「いやいや、本当モナ。多分これは環境問題のせいだとわかって予言したはずモナ」

川 ゚ -゚)「おい、仕事舐めてんのか」

彼は一気に目が覚めた。何時間も起きているのに、その中でいちばん目が覚めている。
どういうことかもう一度確かめたい。そう願った。
すると、彼はその願いがすぐにかなったかのようにあることを一瞬で思い出した。

タイムマシンが二つあることに。



126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 21:19:05.66 ID:LfHZrTcY0
もう一度過去に戻れば、それが理解できる。

ホテルに泊まるのに使うはずだったお金をタクシーに使った。
道順を教えないといけないのでやっぱり眠れないが、寝る気は元からさらさらなさそうだ。

( ・∀・)「さて、始めるか」

自宅に着けば一日前の彼が付けたままにしていた蛍光灯が出迎えてくれた。
少し強い光の中でもう一人の彼は夢を見ている。
明るい中で寝るのはあまり良くないだろうと思い、彼は蛍光灯を消した。

彼の眼はすぐに暗闇に慣れた。
特にタイムマシンの外で行う仕事もなく、ただほぼ満タンになっている電力を確認するだけだ。
二つあるタイムマシンの右側に彼は乗り込んだ。
中へ入れば彼の瞳孔は縮小し、数秒もすれば程よい条件下で過去へ行く作業ができる。

死んだ人間たちがどのような人だったのかは理解できている。
たくさんの人々が泣きじゃくるほど悲しむほどの人たちではなかった。
そんな人たちがこんな事故にあわなければならない理由も理解できる。
ただ今は自分自身を確認するために、こういった機械があるのだ。

過去の時間を橋の崩壊する直前、場所を橋の手前にした。
前回の誤差を修正したので大きなミスが起こることはありえないだろうと彼は確信する。
死ぬことはないとわかって、彼は特に緊張もせずにボタンを押した。
これから起こる揺れも何もかも理解しているので怖くはない。



128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 21:22:08.83 ID:LfHZrTcY0
揺れが始って十数秒でおさまった。
彼が過去へと戻ってすぐに直した小型GPSを手に取る。
場所は橋の上、時間は……丁度彼がヤジを飛ばされている最中だった。

ドアを開けると明るい太陽が目に差し込んできた。
橋の上に車がなく無事に被害もなく過去に着いた。
彼は自分の後ろ姿を見つけ、まじまじとながめているとトラックを河に落とし始めた。
そして、彼の眼に映る彼は視界から立ち去って行った。

( ・∀・)「なんだ。やはり死んでいないじゃないか」

一台の車が、彼の前でとまる。



129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 21:23:44.16 ID:LfHZrTcY0
( ´∀`)「どうしたモナ? あれ? どうしてここにいるモナ」

( ・∀・)「どうやら生きてたみたいだ」

( ´∀`)「やっぱりおかしい人モナ。はやくその機械もどかしておかないと怒られると思うモナ」

( ・∀・)「そうだ。昔の自分に伝えないと……」

車が発進した。普通の人ならここで気づくだろう。この危機的状況に。
しかしやはり彼は気づかない。なぜなら大事なネジの一本が外れていたから。
こんな状況下で彼は過去の自分に自分は死んでなどいなかったと伝えようとしている。



130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 21:25:00.09 ID:LfHZrTcY0
しかし、もう伝えることはできないのだ。そうはさせない。
膨大なタイムパラドックスなんて起こさせるわけにはいかないのだ。
どうにか、橋を壊すだけのエネルギーで済みそうだ。

蓄えられた電力をほぼゼロにできた。これであの機械を消滅させなくても大丈夫になった。
あの家を壊し、タイムマシンを消すよりこの橋を壊す方が容易いのだ。
また、誰かにこの存在を伝えていなくてよかった。
これでこの宇宙までもを脅かすタイムマシンをまた作られるのはまだまだ先だろう。

彼は、彼に対する憎悪と一緒に沈んでしまった。
最後の最後までこんな風に死ぬなんて予想もできない阿呆だったみたいだ。



133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 21:28:02.70 ID:LfHZrTcY0
数日後の彼を不愉快にさせた番組はその後も幾人かの目にとまっていたようだ。

川 ゚ -゚)「モナー氏は急な用事が入ったため退席なされました。代わりにその手の事に本当にお詳しい……えっと」

( ∵)「ビコーズです」

川 ゚ -゚)「ビコーズさん、あなたの目から見てこれはどう思いますか?」

( ∵) 「まぁ環境問題がどうというよりはなんだかもう宇宙の問題が関係していそうな事故ですね」

川 ゚ -゚)「あー、そうですか。もう結構です、ありがとうございました」



その誰もが簡単に受け流してくれているであろう言い方をした。


全く、タイムマシンもそうあるべきだと思うのだが。




( ・∀・)ブリッジを封鎖するようです 終



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