( ^ω^)が競技運転士になったようです

33: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU [第5話 決着!] : 2006/11/30(木) 17:48:47 O
  
ブーンの車両(クルマ)の運転席は、昭和30年台に造られたとは思えないほどの最新設備を備えていた。
 計器類はすべてLEDバックライトを備え、何故かワンマン運転用装備まである。
 特筆すべきは速度計。
 アナログメーターの中にデジタル数字を表示させるという少し変わったものだ。
 現在速度は122km。
 それでも振動はほとんど感じない。
ξ゚听)ξ「まるで空飛ぶ円盤に乗ってるみたい……。」
( ^ω^)「乗り心地やスピードを両立させるため、台車とかの足周りのセッティングは常に最新のものにしてるんだお。」
ξ゚听)ξ「そうなんだ。」
( ^ω^)「……だけど振り子制御装置は邪道だと思うから、それだけはつけてないお。」
ξ゚ー゚)ξ「こだわりがあるんだね。」



36: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/11/30(木) 20:04:24 O
  
( ^ω^)「振り子制御でコーナーを高速で曲がっても、達成感がないんだお。」
ξ゚听)ξ「ふ〜ん。そうなんだ。」
( ^ω^)「この感覚は、実際に運転している人でないとわからないお。」
 ……ブーンの感じてる世界ってどんなのだろう……。
 ふと、そんな考えが頭をよぎる。
( ^ω^)「……ところでツン。怖くないのかお?」
ξ゚听)ξ「え?何が?」
 思わず疑問が口から飛び出たけど、感じてた謎は一瞬で氷解する。
 ……速度計はいつの間にか138kmを計測していた。
 確かここのあたりはカーブも多く、おまけに上り坂の傾斜もキツくなる頃だから、並のジェットコースターよりも速度が出ているのは確かだ。
 おまけにジェットコースターみたいに安全が保証されてる訳でもない。
 万一脱線した場合は、大ケガで済めば万々歳だろう。
 だけど私は恐怖心を感じていなかった。
ξ゚ー゚)ξ「VIPの赤き流星が運転してる車両(クルマ)に乗ってて、何が怖いの?」
( ^ω^)「……………。」
ξ゚听)ξ「まぁ、そのVIPの赤き流星の運転士がブーンだというのには薄ら寒いものを覚えるけど。」
( ^ω^)「ヒドスwwwwwwwwwwww」
ξ゚ー゚)ξ「大丈夫、私はブーンの腕を信じてるから。だから一刻も早く、ニダーが乗る車両(クルマ)を追い抜いちゃいなさい!」
( ^ω^)「把握したお!!」
 ブーンは左手に握ってるマスコンのレバーをさらに内側に回す。
 ……というより、何段階あるのよ、これ……。
 下手しなくても、新幹線ぐらいの速度を叩き出しそうな気がしてならない。



37: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/11/30(木) 20:31:48 O
  
既に今北を通過してるし、このあたりから駅間距離は長くなる。
 だけど、ついさっき今北を通過したはずなのにもう三魚の駅が見えてくる。
 三魚駅は対岸式ホームが1面あるだけの、各駅停車しか停車しない駅である。
 しかし、急カーブに沿うように設けられたホームは、素人考えながらヒヤリとする要素だ。
 だけどブーンはブレーキハンドルに手こそ掛けているものの、減速するために回すコトはしない。
ξ;゚听)ξ(あんなコト言っておいてなんだけど、今の状態はさすがに怖いなぁ……。)
( ^ω^)「ツン、少し揺れると思うからしっかり口を閉じて、どこかにつかまってて欲しいお。」
 ブーンの言葉を受けて口を閉じ、ブーンの座ってるシートにつかまる。
 7000系の運転席は、あくまで運転士が乗り込むだけのシートとスペースしか用意されておらず、私はブーンの座ってるシートの背もたれの後ろから状況を見ているに過ぎない。
 だけど、それでも私にとっては充分過ぎた。
 ……どさくさに紛れてブーンに密着するチャンスでもある訳だし。
 だけどブーンは真剣そのもので車両(クルマ)を運転してる訳だから安易に抱きついたりしたら迷惑だってわかってる。
 ……でもせめて……。
 ギュッ。
 私はブーンの座ってるシートの背もたれ部分に腕を通す。
 ブーンの背中の体温と、シートの背もたれに移った体温が心地いい。
 やがて、少し激しい横Gが私達の体を支配する。
 正面の窓から見えるのは、三魚駅のホームの上り側ホーム……電車はドリフトをしていた。
 そのまま三魚駅を通過。次の帆乃望野駅を通過したら、ヒルクライム(と勝手に命名。だって、路線で言えば下りだけど、文字通り山を登るんだし、ありまえだよね。)のゴール、帆乃望野高原駅だ。



39: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/11/30(木) 21:11:53 O
  
勝機なら、十分にあった。
 ニダーの駆る485系3000番台のテールランプがようやく、まだだいぶ距離があるけど見えてくる。
 今まで相当ノロノロと走っていたのか、それともブーンが速過ぎるのか。
 いずれにせよ残り距離、あと20kmほど。
ξ><)ξ(お願い、勝利の女神様。いるならブーンに微笑んで!)
 内心でそんな風に祈る。
 帆乃望野と帆乃望野高原の間には、島型の成合という無人駅があるけど、駅間が長いために通過列車用の線路が外側に上下線に設けてある。
 そこはほぼ直線だし、ここを通過すると葛折りのカーブが連続する、このコースでおそらく一番の難所となる地帯に突入する。
 成合駅を通過するあたりから、目に見えて485系3000番台のテールランプがこちらに近付いてくるのがわかる。
 カーブを曲がるごとに、トンネルを1つくぐるごとに、その差は縮まっていく。
『(……ザッ)くッ……!あのデッドセクション区間でリタイアしなかったのは、正直計算外だったニダ!だけどこの葛折り区間、いくらお前でもバカみたいな高速走行はできまい。ウリの勝利ニダ!!』
 ニダーとしては、今の無線で揺さぶりをかけたつもりなのだろう。
 だけど現実としては、ブーンの車両(クルマ)からは、ニダーの車両(クルマ)のテールランプの位置が徐々に近づきつつある状態だ。
 カーブを曲がるごとに、トンネルを抜けるごとに、その差は目に見えて縮まっていく。
 そしてついにブーンの車両(クルマ)が、ニダーの485系3000番台の最後尾車両に鼻先を重ねる!
 だけどその時には既に、帆乃望野高原駅のホームが目視できる位置に来ていた。
(; ^ω^)「くッ……、あと一息足りなかったお!!」
 ブーンはブレーキハンドルを非常位置の手前まで回す。
 ニダーの車両(クルマ)も9両編成の停止位置に止めるべく、車両(クルマ)を制動させてる最中だった。



42: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/11/30(木) 22:40:41 O
  
まず、ニダーの駆る車両(クルマ)が動きを止め(生意気にもしっかりと停止位置守ってるの)、ブーンが数秒遅れて車両(クルマ)を止める(ブーンも当然停止位置からはみ出てない)。
( ^ω^)「惜しかったお。相手の油断がなければ負けてたのはブーンの方だったお。」
 ブーンが額に浮かんだ汗をハンドタオルで拭う(そのハンドタオルがモナーの顔AAがプリントされていて「日本はNullpo」と描かれているのはご愛嬌)。
ξ゚ー゚)ξ「なら、ダウンヒルではブーンがちぎっちゃえばいいのよ。先行なんだし。」
( ^ω^)「元からそのつもりだお。」
 ブーンはそう言うと乗務員室のドアを開く。
 ちょうどニダーも乗務員室から出てきて、何故か必要ないのに走って先程まで最後尾車両だった車両に向かう。
 ……いや、必要ないというのはあくまでも普通に考えた場合。
 あんな卑劣な真似をした奴が、律儀にルールを守るだろうか?
ξ;゚听)ξ「まさかあいつ、先行後攻入れ替えないでスタートするつもりなんじゃ……!?」
<ヽ`∀´>「もうルールもへったくれもないニダ。先に丹生即に戻った方が勝者だニダ!」
ξ#゚听)ξ「あっ!!」
 私が声を上げた時には、時既に遅し。
 ニダーは最後尾車両の運転席に乗り込み、そのまま車両(クルマ)を発進させる!!
ξ#゚听)ξ「卑怯者!!」
 私は無線機に向けてお腹の底から叫ぶ!
『(……ザッ)なんとでも言うニダ!勝てば官軍だニダよ!!』
 なりふり構わないニダーに、正直殺意が沸いた。
 けどそれ以上に、そこまでしないと勝てないほどの腕しかないんだなという、醒めた自分もいた。
 だけどこんなの当然フェアじゃないッ!!
ξ#゚听)ξ「ブーン!!ボーッとしてないで、早く追い掛けなさい!!」



49: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/12/02(土) 16:17:50 O
  
( ^ω^)「別に構わないお。むしろハンデだお。」
 ブーンがシートに座ったまま背伸びをしながらそんなコトを言う。
ξ#゚听)ξ「なんで!?万一ブーンが負けちゃったら私とクーさんはあのエラばった男の嫁に強制的にされちゃうのよ!?」
( ^ω^)「わかってるお。だから負けるつもりはないし、勝つための走りをするお。」
ξ#゚听)ξ「だったら……!」
 さらに怒鳴ろうとした時、ブーンが鍵のようなものを差し出す。
( ^ω^)「運転席に入る鍵だお。ツン、先に行ってて欲しいお。」
ξ;゚听)ξ「え、あ……うん。」
 見事に怒気を抜かれてしまった。
ξ゚听)ξ「じゃあ、先行ってるね。」
( ^ω^)「すぐに行くお。」
 私は運転台のスライド式ドアを開け、タラップをゆっくりと降りていく。
ξ゚听)ξ「わぁ……。」
 ホームに降りた途端、思わずそんな感嘆の声を上げていた。
 街の方ではあまり色づいてなかった紅葉が、車両(クルマ)のライトに照らされ、赤や黄色のコントラストを映し出していた。
ξ゚听)ξ「……綺麗。」
 その光景に、しばし目を奪われる。
 競技運転士って、こんな光景をいつでも見てるんだと思ったら、すごくうらやましいなって思う。
 もう少し寒くなったら、きっとこのあたりは雪化粧をして、また違う雰囲気をつくりだすんだろうな。
( ^ω^)「お?まだいたのかお、ツン。」
ξ゚听)ξ「あっ、ごめんね。すぐ向こうに行くね。」
( ^ω^)「じゃあブーンは一応損傷のチェックしてから行くお。」
 そう言ってブーンはホームから線路に飛び降りる。
 さて、私も行かなきゃ。
 小走りで反対側の運転台に向かい、運転台に登るためのタラップに手を掛けたとき、あるコトに気付く。
ξ;゚听)ξ「あ……私、今日スカートだ……。」
 ……もしかしてブーン、そのコト気にかけて私を先に行かせてくれたんじゃ……。
ξ゚ー゚)ξ(事故、ってコトにしてスカートの中見るコトだってできたのに、意外と真面目なんだ。)
 そんな風に思うと、ついつい笑みがこぼれた。



50: ほんわか名無しさん :2006/12/02(土) 17:04:38 O
  
運転台に入り、しばらくするとブーンもスライドドアを開いて入ってくる。
( ^ω^)「待たせたお。」
ξ゚听)ξ「それほど待ってないわよ。ほら、早く準備しなさい。」
( ^ω^)「わかったお。」
 シートに腰を下ろし、ブレーキハンドルを定位置にはめ、ライトを尾灯から前照灯に切り替えると足下のペダルを踏む。
 ボーッ、という電子音っぽい警笛を慣らすと同時にマスコンノッチをいきなり全開にする。
 ガタン!という軽い衝撃がしたかと思うと、車両(クルマ)は一気にスピードを上げる。
 速度計の針は、あっという間に真ん中付近を差し、デジタル表示計もパッパッと数字の値を上げていく。
 1分もしないうちに、速度は150kmをマークしていた。
 景色は飛ぶように流れていき、テクニカル区間だというのにそれを感じさせない運転でコーナーを次々とクリアーしていく。
( ^ω^)「ツン、ホントに怖くないのかお?」
ξ゚ー゚)ξ「スリルがあって面白いわよ。ジェットコースターなんて目じゃないわね。」
 逆に、もうジェットコースターなんかじゃ物足りなさを覚えちゃうかも。
( ^ω^)「……そっか。きっとツンは競技運転士としての資質があるんだお。」
 成合、帆乃望野、三魚をあっという間に通過し、今北に到着する寸前で、ついにニダーの駆る車両(クルマ)のテールランプが視界に飛び込んでくる。
『(……ザッ)も……もう追いつかれたニダか!?有り得ないニダ!!』
 無線からニダーの驚愕した声が発せられる。
ξ゚ー゚)ξ「この勝負、ブーンの勝ちね!」
 だって、いくら今北〜北是間のデッドセクション区間があるとはいっても、上り車線だけ。
 そして、今北トンネルの下り車線で、その差はほぼなくなった。
 完全にブーンがニダーの駆る車両(クルマ)を射程距離に置いたのだ。



51: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/12/02(土) 17:37:32 O
  
けど、当然ブーンの腕がいくら優れていようとも、一車線しかないトンネルの中で追い抜きはできない。
 だけどトンネルを抜けた後は、いくらでもパッシングポイントが存在するはず。
 それぐらいブーンは速かった。
 ……だけど……!
(; ゚ω゚);゚听)ξ「!!」
 なんと、トンネルを出た直後、ニダーは直線区間にも関わらずドリフト運転をしていた!!
『(……ザッ)ウェ━━━━━ッハッハ……!!これでは抜きたくても抜けないはずニダ!!ウリの勝利だニダ!!』
ξ#゚听)ξ「あ ん の 野 郎!!」
 悔しさと怒りで私は地団太を踏む。
( ^ω^)「見事に墓穴を掘ったようだお。」
ξ;゚听)ξ「へっ……?」
 ブーンの言葉に思わず間抜けな声が出る。
( ^ω^)「この先、しばらくはドリフトしても支障ない線形が続くお。だけどそれは美府まで。ツン、美府の駅構造覚えてるかお?」
ξ゚听)ξ「えッ?あ、えっと……丹生即線の島型ホームと、新居則線の島型ホームの2面構成……あっ!!」
 そうだ、島型ホームだから途中で上下線がホームによって全くの逆方向に別れる上に、4車線になるからそこでパッシング可能……。
 つまり、追いついた時点でブーンの勝利は約束されてるも同然なんだ!
 私達の乗る車両(クルマ)はドリフトしてるニダーの車両(クルマ)の先頭車両付近まで近付く。
 相手の運転席で、ニダーがこちらを指さしながら笑ったり、おちゃらけで挑発しているようだったけど、絶対勝てるという安心感があるためか、不思議と腹が立たなかった。



52: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/12/02(土) 17:59:51 O
  
やがて美府大橋のシルエットが見えてきて、横に似居則線の線路も、こちらに合流しようと迫ってくる。
 ニダーはやはりドリフトをやめない。
 バカすぎる……。
 私がため息をつくのと、ブーンが少しスピードを落とし、ニダーとの距離をとったのは同時だった。
『(……ザッ)どうしたニダ?ついて来ないニカ?勝負をあきらめるなんて男らしくないニダよ?』
( ^ω^)「あきらめてなんかいないお。」
『(……ザッ)ああ、そうか。ウリがドリフトしてて追い抜けないのをようやくその弱い頭で理解したニダね?申し訳なかったニダね。ウェ━━━━ッハッハ……。』
ξ;゚听)ξ(おめでたい頭してるわね……。)
 あきれて物が言えないというのは、このことなのだろうか。
『(……ザッ)花嫁衣装は、ウリが用意するから、あとはウリの胸に飛び込むだけで……。』
 ガタンッ!
 ニダーの車両(クルマ)があり得ない角度で傾いた!
 ちょうどホームの左右に伸びるレールとレールの幅が、車体の台車がある部分の幅を超えてしまったことにより、脱線してしまったらしい。
(; ^ω^)「ああなったら、一度電車用ジャッキで持ち上げてレールに戻すしかないお。間抜けな姿だお。」
 ブーンはそう呟きながら、似居則線のレールを使って美府駅を通過する。
 この瞬間、ブーンの勝利が確定した。



66: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/12/06(水) 21:47:59 O
  
丹生即駅のホームの最端に、十数人単位のギャラリーの山ができていた。
 中にはこちらに向けて手を振ってる人もいる。
 皆、ブーンの勝利を祝っているようだ。
 ブーンはホームに入線する際に、おなじみのミュージックホーンを奏でながらゆっくりと停止位置まで車両(クルマ)を持っていく。
 停止位置近くには、クーさんを始めとした顔見知りの人達が集まっていた。
川 ゚ -゚)「野郎どもは全員、回れ右をしろ。ツンさんが降りられないからな。」
 クーさんの命令で周囲にいた男性陣全員が私に背を向けた格好になった。
 それを見届けると私は運転台のドアをスライドさせて、タラップを一段一段ゆっくりと降りる。
川 ゚ -゚)「もうこちらを向いてもいいぞ。」
 そして、まず先にジョルジュ先生が私のところに来る。
( ゚∀゚)「よっ、お疲れさん。津出がいなかったら、今頃どうなってたかわからなかったな。」
ξ゚听)ξ「別に大したコトしてないわよ。ただ私はあんな形でブーンが負けるのが納得いかなかっただけだし。」
('A`)「けど、ツンさんのおかげで俺は自分が為すべきコトに気付かされた。それは間違いなく事実だぜ。」
 ドクオくんが手を差し伸べる。
ξ゚ー゚)ξ「ううん、ドクオくんこそ、ブーンの車両(クルマ)を押してくれてありがとう。」
(´・ω・`)「それなら、ボクも評価されていいよね。こうなるんじゃないかって予想して、ドッくんを着いて行かせたのはボクだし。」
ξ゚ー゚)ξ「うん、ショボンくんもありがとう。」
川 ゚ ー゚)「なら私は君をブーンと密室に二人きりにさせた立役者だな。」
ξ^ー^)ξ「うん、感謝してます!」
ξ///)ξ「……って、何を言わせるんですかッ!私とブーンは、そんなんじゃないんです( ><)」



67: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/12/06(水) 22:18:54 O
  
川 ゚ ー゚)「ふむ、私はただ密室で二人きりにさせたと言っただけなんだが、どんな風に誤解をしたら二人の関係を訊いているようになるのだ?」
ξ///)ξ「そっ……それは……。」
('A`)「こらこらクー。あんまりツンさんいじめるとブーンに怒られるぞ。」
ξ///)ξ「だから、そんなんじゃないんだったら〜〜!!!!!!111」
(; ^ω^)(……出るに出られない雰囲気だお……。)
 散々皆にからかわれていると、なにやらギャラリーがざわついてるのに気付く。
ギャラリー1「おっ、ニダーも戻ってきたようだぜ。」
ギャラリー2「……けど、なんかスピード出してないか?」
ギャラリー3「……おい、なんかブレーキをかける気配しないぜ!?まさかこのまま丹生即の駅を通過するつもりか!?」
ギャラリー4「バカな!?バトルの決着がついたら大人しくスタート地点に戻るのが競技運転士内の暗黙の了解だぜ!?競技運転士としての誇りはないのか!?」
 けたたましく警笛を鳴らしながら、ニダーの駆る485系3000番台が丹生即の駅を超高速で通過していく!!
『(……ザッ)バトルのやり直しを要求するニダ!今から海渡線経由で九永区(くえいく)駅までバトルするニダ!もし断るなら、この車両(クルマ)は返さないニダ。』
ξ#゚听)ξ「なッ……なんて卑怯な奴なの!?」
(#゚∀゚)「……さすがにこれはねーだろ……!」
(#'A`)「許せねぇな!バトルの結果に納得いかねぇからって自分の思い通りの結果になるまでこんなコトをやるつもりかよ!!」
川#゚ -゚)「……さすがの私すら怒りでどうにかなりそうだよ。」
(#´・ω・`)「……どうやらキツいお仕置きが必要みたいだね、彼は。」
 プシューッ!
 ブーンの車両(クルマ)の乗降ドアが開く。
(# ^ω^)「みんな、乗るお!!」



68: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/12/06(水) 22:55:00 O
  
ブーンは、客席に私達が全員乗り込んだのを確認すると乗降ドアを閉めてすぐに走り出す!
 クーさん達は手近な席に座るみたいなので、私も座席につくコトにする。
 ちなみに車両(クルマ)の内装もブーンは手を加えているようで、元々は自分で背もたれの位置を前後に転換させる「転換クロスシート」という装備らしいけど、ブーンの車両(クルマ)はすべてリクライニングシートに変えられている。
 特筆すべきは、展望席との間に仕切りの壁があり、「グリーン車」という文字がプラスチックの両開き自動ドアに、グリーン車マークと一緒に書かれていた。
 扉の前に立ってみると、すんなりと開いたので私は扉の先に進む。
 展望席は床が一段低くなっていて、通路はなだらかなスロープになって一番前の座席まで続いていた。
 座席は座った時に頭に当たる部分の背もたれににクッションがついていて、弾力が気持ちいい。
 これなら移動中にわずかでも睡眠を取りたい人には快眠を提供できるかも。
 …………でも、この車両(クルマ)って営業運転してないよね?
 ……なんでこんなに無駄なコトを……。
 展望窓上部には、デジタル速度計が設置してあり、現在速度を表示している。
 私は一番前の右通路側の座席に座る。
 目の前いっぱいに広がるパノラマウィンドウは壮観の一言に尽きる。
 ……夜じゃなければね。
 そして小さな点にしか見えないけど、確実に視界に捉えられてる485系3000番台。
 ん?485系3000番台の前方にこちらに向かってくる4つの光点。
 485系3000番台が急ブレーキをかけたように大きく揺れる。
 ううん、実際に急ブレーキをかけて停止しようとしていた。
ξ゚听)ξ(どうしたんだろう?止まるんなら、それはありがたいんだけど……。)
 同時に私達の乗る7000系もゆっくりとスピードを落として、やがて485系3000番台の中程の車両の位置で停止する。



69: ぬるぽ ◆Qii/KpYmWU :2006/12/06(水) 23:29:50 O
  
停車と同時にドアが開けられる気配がして、みんな線路上に飛び降りていく。
 私も少し名残惜しい気持ちを振り払って座席を立ち、スカートを押さえながら線路に飛び降りる。
 485系3000番台の手前約50mぐらい先に、上下線に2台の電気機関車が停車して、道を塞いでいた。
( ´_ゝ`)「ううむ……グモをやってしまったな、弟者よ。」
(´<_` )「うむ。大丈夫だろうか?」
( ´_ゝ`)(´<_` )「ブレーキ管。」
 顔立ちがそっくりな男の人二人が懐中電灯で、赤い塗装に側面に白い斜めに傾いた文字で「EF65」と書かれた機関車の動力部を照らしていた。
<メヽ`Д´>「その前に轢いたウリの心配をするニダ!!」
川;゚ -゚);'A`);゚∀゚);´・ω・`)(どうして電車に轢かれて生きてるんだろう……。)
(´<_` )「兄者、どうやらブレーキ管は無事らしい。ほかのも問題なさそうだ。」
( ´_ゝ`)「そうか。流石に妹者のメンテがあれば、グモぐらいなんともないか。」
(´<_` )「ああ、流石だよな。俺らの妹なだけある。いい仕事してるよ。」
<メヽ`Д´>「ウリを無視するな!謝罪と賠しょ……。」
( ^ω^)「ルールを無視してる奴が言うセリフかお?」
 いつの間にか、ブーンがニダーの肩をつかんでいた。
<メヽ`A´;>「う……。」
 逃げようとするニダーを、ジョルジュ先生達が包囲し、そのままニダーを袋にしてしまう。
<メヾ´A`メメ>「ア……アイゴー……。」
(*´・ω・`)「さぁ、仕上げだ。」
(; ^ω^)「……ツンは見ちゃダメだお。」
ξつ凵シ)ξ「ひゃッ!?」
 アッ━━━━━━━━!!という普通じゃない声が夜空に響きわたる。
 ……一体なにをしたんだろう……?
 コワくて、訊けない……。



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