( ^ω^)ブーンと猫と神様

30: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:37:47.91 ID:hgYoUsgd0
  
 
(,,゚Д゚)「何だ、ここは………ゴラァ………」
 
 
 
ギコが目を覚ますと、そこにはどこまでも続く草原と、限りなく青に近い澄み切った空が広がってしました。
 
 
 
(,,゚Д゚)「あぁ………俺は死んだのか………ゴラァ………」
 
「ギコや………ギコや………」
 
 
 
何やら後ろの方から声が聞こえてきました。



31: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:38:29.41 ID:hgYoUsgd0
  
 
(,,゚Д゚)「誰だゴラァ!!!」
 
( ´∀`)「こっちへおいでモナー」
 
 
 
後ろを振り向くと、そこには大きな背の高い木があり、その木の下に1人の老人が立っていました。
 
ギコはその老人の下へ走っていきました。
 
 
 
(,,゚Д゚)「誰だゴラァ!!!何で俺の名前を知ってるんだゴラァ!!!!」 
 
( ´∀`)「まぁまぁ、そんなに怪しまなくてもいいモナー。ワシは神様だモナー」
 
(,,゚Д゚)「神様ぁ!!??」



32: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:39:07.80 ID:hgYoUsgd0
  
 
白い布の服を身に纏った老人の髪の毛とヒゲは真っ白でとても長く、立派な樫の杖を持っており、いかにも神様のような風貌でした。
 
 
 
(,,゚Д゚)「その神様が一体、俺に何の用があるんだゴラァ!!!!」 
 
( ´∀`)「君にご褒美をあげようと思って呼んだんだモナー」
 
(,,゚Д゚)「ご褒美ぃ!!??」



34: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:40:27.71 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´∀`)「そうだモナー。ご褒美として願いを1つだけ叶えてあげるモナー」
 
(,,゚Д゚)「ご褒美ぃ!!??何だって俺にご褒美なんかくれてやるんだゴラァ!!!」
 
( ´∀`)「ワシは君の一生をずっと見てきたモナー。君は子供のいない夫婦に、まるでその夫婦の子供のように振舞って、寂しさを忘れさせてあげたモナー。ワシはそれを見て、とっても感動したモナー。だからご褒美として1つだけ願いをかなえてあげるモナー」
 
(,,゚Д゚)「本当か!!??それは本当なんだなゴラァ!!!」
 
( ´∀`)「本当だモナー。神様は嘘を付かないモナー」
 
(,,゚Д゚)「それなら俺を今すぐに生き返らせろ!!!生き返らせてお父さんととお母さんがいるところに連れて行けゴラァ!!!!」
 
 
 
ギコはまだ死にたくはありませんでした。
 
もっとお父さんとお母さんに甘えたいし、きっと2人も悲しんでいる。
 
そう思ったギコは神様にそう頼みました。



35: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:41:32.96 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´∀`)「いいモナよー。その願い叶えてあげるモナー。ただし、条件があるモナー」
 
(,,゚Д゚)「条件………」
 
 
 
神様はギコを生き返らせる代わりに、4つの条件を出しました。
 
1つ目は生前の姿では生き返らせることはできないということ。
 
2つ目はお父さんとお母さんの前で『ゴラァ!!』と鳴いてはいけない。
 
3つ目はお父さんのお腹の上に乗ったり、お父さんとお母さんに以前のように甘えてはいけないこと。
 
そして最後の4つ目はお父さんとお母さんにギコの生まれ変わりだと気付かれてはいけないこと。
 
 
 
( ´∀`)「どうモナか?この条件、飲むモナか?飲まないモナか?」
 
(,,゚Д゚)「………」



36: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:42:21.16 ID:hgYoUsgd0
  
 
(,,゚Д゚)「その条件、飲んだゴラァ!!!!!!!」
 
 
 
ギコに迷いは微塵もありませんでした。
 
自分のことはどうでもいい。
 
とにかく、お父さんとお母さんが寂しくないように、そばにいてあげなければ………。
 
ギコは強い決心の下、神様に返事をしました。 
 
 
 
( ´∀`)「よし、わかったモナー。それではさっそく、君を生き返させるモナー」
 
(,,゚Д゚)「ッッッッ!!!!????」
 
 
 
神様は持っていてた杖を振りかざすと、白くて眩しい光がギコを包み込みました。



37: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:43:22.02 ID:hgYoUsgd0
  
 
ミ,,-Д-彡「ゴ………ゴラァ………」
 
ミ;゚Д゚彡「ゴ、ゴラァ!!!???」
 
 
 
気が付くと、そこはお母さんが10年前に助けてくれた川原でした。
 
川の音、それに砂利の冷たい感触………どれも10年前と変わっていませんでした。
  
月明かりが照らす水鏡で自分の姿を見てみると、ギコの体は茶色で長い毛で覆われており、以前の面影はまったくありませんでした。
 
 
 
ミ,,゚Д゚彡「ゴラァ………」
 
 
 
ギコはとりあえず、お父さんとお母さんが住んでいる家へと向かいました。



39: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:44:50.45 ID:hgYoUsgd0
  
 
月明かりが照らす見慣れた薄暗い道をしばらく走り、10年間一緒に暮らした家に辿り着きました。
 
優しくて暖かい、そして懐かしい明かりが、暗い夜道を走ったギコの目に入り込んできました。
 
中からお父さんとお母さんの会話が聞こえてきます………。
 
 
 
( ´ω`)「ギコが死んで………もう半年かお………」
 
ξぅ−゚)ξ「そうね………早いわね………」
 
( ;ω;)「うぅ………ギコ………」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
 
 
窓からこっそり中の様子を伺うと、そこには今まで見たことのないお父さんとお母さんの悲しそうな表情がありました。
 
死んで半年………ギコは知らない間に長い時間が過ぎていたようです。
 
ここで生きていたときのように元気よく中に入りたいのですが、神様の条件を思い出し、そうもいきません。
 
このとき、ギコは自分の無力さを恥じました。



42: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:45:33.56 ID:hgYoUsgd0
  
 
今、ここで中に入るのは不自然だろう………。
 
ギコはそう思い、トボトボと家から離れて行きました。
 
たまに後ろを振り向いて、優しくて暖かい、そして懐かしい明かりが遠くなっていくのを確認しながら………。
 
行く当ての無いギコは、月明かりが照らす山道を歩いていきました。
 
今までお父さんとお母さんに、たくさん可愛がられたことを思い出しながら………。
 
しばらく歩くと、お父さんとお母さんの畑が見えてきました。



43: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:46:57.97 ID:hgYoUsgd0
  
 
今日はここで寝るか………。 
 
行く当ての無いギコは、お父さんとお母さんが畑仕事の合間によく休憩場所として使っていた、大きな桜の木の根元に寝転がりました。
 
そういえば………いろんなことがあったな………。 
 
目を閉じると、10年間の思い出が、まぶたの裏に映し出されてきて、知らないうちに大粒の涙が零れてきました。
 
今日は晴れていて、こんなにも月が明るくて綺麗なのに、そこだけまるで雨が降っているかのように、たくさんの涙が零れ落ちていました。
 
お父さんとお母さんには感謝しても感謝しきれない………たくさんの恩があるんだと、改めて思いました。



45: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:47:55.17 ID:hgYoUsgd0
  
 
涙で濡れた顔をこすると、すぐ横に何やら石と花が置いてありました。
 
生きていた頃はこんな物はなかったはず………。
 
ギコはそれが何なのかを、涙で滲んだ視界で確認しました。
 
石の大きさはギコと同じくらいで、周りには色とりどりの花々が供えてあり、石には『ギコ』と彫られてありました。 
 
これは………俺の墓………?
 
ギコは改めて、自分という存在がこの世から消えてしまったということを自覚しました。



46: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:48:30.51 ID:hgYoUsgd0
  
 
俺のためなんかに墓なんか作ってくれた………。
 
俺のためなんかにたくさんの花を供えてくれた………。
 
俺のためなんかに悲しんでくれた………。
 
今度は………俺の番だ!!! 
 
ギコはお父さんとお母さんに恩返しをする決心をし、眠りにつきました。



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