( ^ω^)ブーンと猫と神様

47: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:49:10.57 ID:hgYoUsgd0
  
 
朝日がまぶた隙間から入り込んで、泥のように眠っていたギコを起こしました。
 
もうしばらく寝てよう………。
 
疲れてたギコはそう思い、再びまぶたに隙間ができないよう、固く固く閉じました。
 
どうやってお父さんとお母さんに恩返しをしようか………そんなことを考えながら再び気持ちのいい夢の世界へ足を踏み入れようとしたとき、何かの気配に気がつきました。
 
 
 
( ^ω^)「おっおっ?何だ?この猫………」
 
ξ゚听)ξ「見かけない猫ね………」
 
ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」
 
 
 
そこにはギコを囲むようにしてしゃがんでこちらを見ている、懐かしい顔………お父さんとお母さんの顔がありました。



49: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:49:50.66 ID:hgYoUsgd0
  
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
ξ゚听)ξ「見かけない猫ね………」
 
( ^ω^)「おっおっwwwこっちへおでおwwwww」
 
ミ,,゚Д゚彡「ゴr………ッッッ!!!」
 
 
 
この前までなら、お父さんとお母さんに近づいて甘えるのが、ギコにとって何よりの幸せでした。
 
いつものようにお父さんに近づいて甘えようとしたとき、神様の4つの条件を思い出しました。
 
 
 
ミ,,゚Д゚彡「………」



50: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:50:24.20 ID:hgYoUsgd0
  
 
ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」
 
(;^ω^)「ちょwwwwwいきなりなんだお!!??wwww」
 
 
 
お父さんがギコに手を差し伸べられた瞬間、ギコは全身の毛を逆立たせて威嚇しました。
 
今まで出したことのないような怒った声も、このとき生まれて初めて出しました。
 
 
 
ミ#゚Д゚彡「ウウウウゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」
 
(;^ω^)「馴れ合いを知らない猫だおwwwwwどっかのコテとは大違いだおwwwwww野生のオーラ炸裂だおwwwww」



51: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:51:20.08 ID:hgYoUsgd0
  
 
お父さんとお母さんのそばに、少しの間だけでもいいからいたい………。
 
だからギコは一生懸命、お父さんとお母さんに向かって威嚇しました。
 
本当はこんなことはしたくない………いや、してはいけない………。 
 
そばにいたいのに甘えてはいけない………。
 
神様の4つの条件が、ギコの綺麗に透き通った心を締め付けました。 
 
ごめんなさい、ごめんなさい………そう思いながらギコは一生懸命鳴きました。



53: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:52:15.45 ID:hgYoUsgd0
  
 
ξ゚听)ξ「この子………お腹が空いてるのかしら………」
 
ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」
 
ξ゚听)ξ「よしよし………怖がらなくていいからね………」
 
 
 
お母さんはそう言うと、お昼ご飯のために作ったおにぎりを、ギコの前に置きました。
 
 
 
ξ^ー^)ξ「はいww怖がらなくていいからねwwwお食べwwww」
 
( ^ω^)「よしよしwwwwそれじゃ仕事するおwwwww」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」



54: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:53:00.63 ID:hgYoUsgd0
  
 
お父さんとお母さんはギコのすぐ横に荷物を置き、2人の畑へと向かいました。
 
目の前にはお母さんが作ったおにぎり………。
 
ギコは昨日から何も食べていないせいか、何も考えずに食らいつきました。
 
喉が詰まりそうになりましたが、空っぽのお腹にお母さんのおにぎりを詰め込みました。
 
途中、神様の条件を思い出しましたが、何も起こらないようなので、食べ物を貰うことは大丈夫なのだと確信しました 
  
おにぎりを半分くらい食べ終えた頃、ギコは目頭が熱くなっているということに気が付きました。



55: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:53:40.40 ID:hgYoUsgd0
  
 
お母さんが握ってくれたおにぎり………。
 
横に置かれたお父さんとお母さんの荷物からする懐かしい匂い………。
 
そして、お父さんとお母さんが働く様子………。
 
何も変わっていませんでした。
 
ただ変わっているのは自分の立場だけ………。
 
ギコはお父さんとお母さんのそばに再び戻ってこれたことに感謝しながら、残り半分のおにぎりを食べました。
 
残り半分のおにぎりは、なんだかギコにはしょっぱく感じてしまったようです。



57: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:54:49.79 ID:hgYoUsgd0
  
 
お日様が1日のうち1番高くに昇る頃、お父さんとお母さんはいつものように大きな桜の木の根元で休憩を始めました。
 
ギコは心とは思っていることと反対のこと………お父さんとお母さんから離れたところに、ちょこんと座りました。
 
 
 
( ^ω^)「うはーwwww休憩するおーwwwwww」
 
ξ^ー^)ξ「さ、お弁当にしましょうwwww」
 
 
 
お父さんとお母さんはいつものようにお昼ご飯を食べ始めました。
 
少し離れたところからお父さんとお母さんの様子を伺って………そばに行きたいんだけど、行けなくて………。
 
 
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
 
 
ギコは黙ってお父さんとお母さんを見ていることしかできませんでした。



58: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:55:35.18 ID:hgYoUsgd0
  
 
ξ゚听)ξ「あら………さっきの猫、まだいるわ」
 
( ^ω^)「おっおっおっwwwww本当だおwwwwwそんなとこにいないで、こっちにおいでおwwwwww」
 
ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」
 
(:^ω^)「ちょwwwwやっぱりかおwwwwwwそれじゃ仕事に戻るおwwwww」
 
 
 
そういうと、お父さんとお母さんは畑仕事に戻っていきました。
 
ギコの心の中は、寂しい気持ちと申し訳ない気持ちで、薄暗い悲しい色に染まっていました。



59: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:56:20.20 ID:hgYoUsgd0
  
 
ギコは畑から少し離れたところで、お父さんとお母さんの畑仕事を見守っていました。
 
これからどうしようか………。
 
どうやって恩返ししようか………。
 
そんなことばかり考えながらお父さんとお母さんを見守っていると、いつのまにやら、お日様は真っ赤に染まりながら山の裏側に隠れようとしていました。
 
お父さんとお母さんも家へ帰る準備を終え、ギコの墓の前に座り込んで、目を閉じ、手を合わせました。
 
 
 
( ^ω^)「ギコや………今日も父ちゃんと母ちゃんはケガもなく、無事に仕事を終えることができたお………」
 
ξ゚听)ξ「今日はもう帰るけど………また………また明日も来るからね………」
 
( ぅω^)「グス………それじゃ帰るお………」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」



61: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:57:05.21 ID:hgYoUsgd0
  
 
ギコは、自分が死んだせいでお父さんとお母さんが悲しんでいる、と思いました。
 
お父さんとお母さんの悲しみを無くすには、神様の4つの条件を破らないように、以前のギコを忘れさせるように振舞えばいい。 
 
ギコに大きな目標ができました。
 
目標のできたギコは、気付かれないように、お父さんとお母さんの後を追うことにしました。
 
夕焼け色の少しだけ薄暗い家路は、ギコにはとても懐かしく感じさせるものでした。
 
でも、以前のようにお父さんとお母さんに甘えながら家に帰ってはいけないので、なんだか心細い気がしました。



62: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:57:45.22 ID:hgYoUsgd0
  
 
ξ゚听)ξ「あれ?さっきの猫………ついてきてるわ………」
 
( ^ω^)「あの猫はきっとツンデレなんだおwwwwww」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
 
 
家に着くと、お父さんとお母さんは家の中に入っていきました。
 
ギコは神様の4つの条件が気になって、中に入ることは出来ませんでした。
 
暗かった家に暖かな明かりが灯り、お母さんはすぐに川へ野菜を洗いに行きました。



63: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 01:58:59.16 ID:hgYoUsgd0
  
 
お母さん1人で夜道は危険だ………。
 
玄関から出てきたお母さんを、ギコは少し離れて後を追いました。
 
 
 
ξ゚听)ξ「あら?さっきの………着いてきちゃったんだ」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
ξ^ー^)ξ「フフフ………お腹空いてるんでしょwww後でご飯あげるからねwww」
 
 
 
月明かりが照らす夜道を、ギコとお母さんが歩きます。
 
ギコとお母さんの間に少しだけ距離はありましたが、それはまるで、ギコが生きていたときのような光景でした。



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