('A`) ドクオのペンは進まないようです

706名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 15:38:22.59 ID:HFd9i4740
  



('A`)「ここは・・・この構文だから、こうなる・・・」

ブブブブ・・・

携帯が振動し、机を叩く。

('A`)「誰だよ・・・」

俺は集中力を切らされ苛立ちながら携帯を手に取る。


送信者:クー
件名:塾は終わったか?
本文:ショッピングモールでたくさん買い物をしてしまった。
   ドクオと一緒に行けなかったのは残念だ。
   今度、塾が無い時に一緒に行かないか?


クーからのメールは、少しイラッときた。

今の自分にとってこの楽しそうな文面は自慢、いや俺を煽っているように見えた。



708名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 15:40:58.23 ID:HFd9i4740
  

('A`)「ッ!」

自分の部屋のゴミ箱を蹴っ飛ばす。

そして本棚の参考書を取り、思い切り壁に投げつけた。

('A`)「っおらぁ!!!!」

苛立ちが収まるまで物に当たる。

ぜぇぜぇと息を切らし、再び机に戻りメールを返信する。

('A`)「・・・」

送信が完了したのを確認すると、俺は電源ボタンを押し、携帯の電源を切った。

これで、誰にも邪魔されずに勉強できる。



712名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 15:44:25.70 ID:HFd9i4740
  



送信者:ドクオ
件名:Re:塾は終わったか?
本文:今、勉強中だから。

川 ゚ -゚)「・・・」

急に興奮が収まっていく。

さっきまでメールが来るのを楽しみに待っていた。

だが、ドクオからのメールを見てやがて冷静になり、後悔の念が押し寄せてくる。

川 ゚ -゚)「なんで私はあんな浮かれたメールを送ってしまったんだ・・・」

冷静に考えればわかることだった。

ドクオだって本当は来たかったに違いない。

だが、私はつい自分のことばかり考えてメールを送ってしまった。



716名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 15:47:19.97 ID:HFd9i4740
  

川 ゚ -゚)「早く返信しなければ・・・」

返信画面を選び、メールを作成する。


送信者:クー
件名:すまない
本文:勉強中とは知らずにメールを送ってしまった。
   あまり遅くまで起きてると体を壊すぞ?
   それじゃ、また明日!


川 ゚ -゚)「送信・・・ふっ!」

掛け声と共に送信する。

体の緊張がほぐれ、急に疲れを感じた。

川 ゚ -゚)「・・・今日はもう寝よう」

私は部屋の明かりを消すと、ベットに横たわり目を閉じた・・・



721名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 15:50:41.38 ID:HFd9i4740
  



「・・・お君!」

「ドクオ君!!」

名前を呼ばれている。

誰かが俺の肩を揺らし、俺の名前を呼んでいる。

( ><)「ドクオ君!!起きてください!!」

('A`)「・・・あ」

目を擦りながら、次第に意識が戻ってくる。

ここは、教室・・・。そして今は授業中か。

( ><)「もうちょっとだから頑張って起きててほしいんです!!」

('A`)「あ、すいません・・・」

俺は体を起こし、うつろな目のまま前を向く。

( ><)「それじゃ、授業を続けます!!」



725名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 15:54:16.51 ID:HFd9i4740
  



(  ^ω^)「ドクオwww今日は居眠りするなんて珍しいおww」

('A`)「ああ・・・昨日夜遅くまで勉強やっててさ・・・ほとんど寝てないんだ」

(*゚ー゚)「大丈夫? なんだかすごい顔色悪いよ?」

しぃは心配そうな顔で俺の顔を見る。

朝、鏡も見ずに来たので自分の顔がどうなっているのかよくわからない。

('A`)「んー、たぶん平気・・・。ちょっと頭痛がするけど」

俺は答えると机に突っ伏して眠る。

なんだか喋る余裕すら無い。

川 ゚ -゚)「・・・」

(  ^ω^)「ん?どうしたおクー、なんか今日は元気無いお?」

川 ゚ -゚)「え、いや・・・そんなことはないぞ」

(*゚ー゚)(・・・? なんかあったのかな?)

(  ^ω^)(もしかして僕に気があるのかお・・・!ああ、三角関係!!)



726名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 15:57:41.17 ID:HFd9i4740
  



6時間目が終わり、帰る仕度を始める

帰り道でブーン達と話しながら帰ったが、話す気力もなく

感情の無い相槌くらいしかうてなかった。


家に帰ると、すぐに宿題に取り掛かる。

('A`)「ここはこう・・・これ、は違う」

カリカリとペンを進める。

時計を見ると、5時。

このペースでいけば余裕で間に合う。

('A`)「よし、終わり!!」

宿題を鞄に入れ、は瀬川塾に向かう。

頭がぼーっとしているが、自分に甘えは許さない。

少しでも気を抜くと、台無しになりそうな気がした。



729名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:00:40.05 ID:HFd9i4740
  



( ^^ω)「ここはこう解くホマ、それからこっちはぁ」

は瀬川塾長の授業はわかりやすい。

だが説明や問題を解くペースが速いので少しでも遅れると

置いてきぼりをくらってしまう。

俺は必死に前の黒板を追いかけ、すごい速さでペンを進める。

('A`)「やべ、間違えた」

消しゴムで間違った部分を消す。

この短い時間すら惜しい、俺は焦って消しゴムを強く引く。



738名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:06:36.24 ID:HFd9i4740
  

('A`)「あっ!」

強く引いたあまり、プリントが破れてしまう。

( ^^ω)「ここは〜ホマ、そしてこっちは〜」

その間には瀬川塾長の授業がさらに進む。

( ^^ω)「だからこれはこうなるホマ、そして〜」

急に耳鳴りがした。


俺の耳に入ってくるのは他の奴らのペンの音


追いかける、進む。追いかける、進む。


追いつかない、進む。追いつけない、進む・・・





    俺のペンは、静かに止まった。



748名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:12:23.18 ID:HFd9i4740
  



('A`)「ただいま・・・」

(`・ω・´)「おお、おかえりドクオ」

また、トーチャンは上機嫌に俺を出迎える。

やめてくれ、そんなことしないでくれ。

(`・ω・´)「今日も疲れただろう。今日の料理はトーチャンが作ったんだ、ほら」

不細工な形のコロッケが食卓にならんでいる。

(`・ω・´)「まぁ、見てくれは悪いが味はうまいぞ! さあ食べよう」

('A`)「うん、ありがとう・・・」

コロッケを食べる。

たしかに味は意外とおいしい。

('A`)「うまい・・・」

(`・ω・´)「だろう? お前も頑張ってるようだし、俺も頑張ってみたんだ」



760名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:17:36.31 ID:HFd9i4740
  

頑張ってなんかないよ。

今日も自分に、また失望したんだ。

その言葉を必死に抑え、コロッケを口に運ぶ。

味が、わからなくなっていく。

('A`)「ごちそうさま」

(`・ω・´)「おう、それじゃ頑張れよ!!」

最後のトーチャンが突き刺さる。

俺は振り向かないようにして部屋に戻り、ベットに倒れこむ。



766名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:21:24.26 ID:HFd9i4740
  

('A`)(また、自分を甘やかしてしまった・・・)

授業に追いつけなかったんじゃない。

必死でやれば追いつけたんじゃないか?

お前は妥協したんだ。逃げたんだ。臆病者

――臆病者!!

('A`)「ぐっ!!」

気分が悪くなり、トイレに駆け込むと食べたものを戻した。

息が荒くなり、恐ろしく頭が痛くなる。

('A`)「はは・・・」

何故か笑みがこぼれた。

そして、声を殺して泣いた。

なんで泣いているのか、考える余裕すら俺にはもう残っていなかった。



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