( ´_ゝ`)兄者はバルトアンデルスのようです

680: ◆wUOiOOQQF. :12/19(火) 00:35 WvOTwLvg0
  

――体育館

そこで行われるのは、全校生徒揃っての終業式。
校長先生がなにやら語っているが――聞いている生徒は皆無だった。

(’e’)「それより……ちょっと聞いてくれよ。この前吉野家行ったんだよ、吉野屋」

校長――セントジョーンズ先生も、真面目に話すのが面倒になったようで。
突然吉野家のコピペを唱え始めた。

( ^ω^)「つまんねwww早く定年退職すればいいのに」

ξ゚听)ξ「だめよブーン。そういうのは心の中にとどめておかないと」

( ^ω^)「聞こえなければよくね?www」

ξ゚听)ξ「……まあ、そうなんだけどさ」

(’e’)「そこの2人ちょっと表に出ろ」

(;^ω^)「ちょwww」

ξ;゚听)ξ「聞こえてたwwwww」

( ´_ゝ`)「うわあ〜〜〜」



681: ◆wUOiOOQQF. :12/19(火) 00:36 WvOTwLvg0
  

それから、念仏のような校長の話がしばらく続き、そして――

(’e’)「では……これにて終業式を終わります。一同――」

――ついに終了。

( ´_ゝ`)「イヤッホオォゥ!」

(,,゚Д゚)「今日から夏休みwwwww」

川 ゚ -゚)「さあ帰るか」

礼――と言い終わる前に、生徒達は一斉に体育館から出て行った。




















(’e’)「……うわあ〜〜〜」

残された教職員とセントジョーンズ。
教える側の立場とか威厳とかは微塵もあったもんじゃない。

( ・∀・)「校長。諦めたらそこで試合終了ですよ」

(’e’)「……じゃな。みんなで飲みにでも行くかのう?」

( ><)「それは賛成なんです!」

( ・∀・)「ついていきます――校長のオゴリなら」

(’e’)「いいじゃろう。ついでに温泉なんかどうじゃ?」

( ・∀・)「それは死亡フラグなのでやめときます」

(’e’)「そりゃ残念」



721: ◆wUOiOOQQF. :12/23(土) 11:29 KNaOPYgn0
  

夏休み初日、時刻は昼。
1日の中でもっとも暑さが厳しいであろうと思える時間帯。
特に何もすることのない兄者は、ひたすらダラダラと過ごしていた。
居間の畳で仰向けに寝転がり、扇風機の最大風力をあびながら視線を天井に向ける。
天井の隅のほうでせっせと巣をこしらえているクモが目に付いた――が、そんな事はどうでもいい。

(;´_ゝ`)「これが……燃え尽きるほどヒート、ってヤツか……」

暑い。
とにかく暑い。
あまりにも暑すぎるせいで、寝返りを打つことすら億劫であった。
時間を潰そうと思い立ち、寝ることを試みてみたりもしたが――どうも思うようにいかない。

(#´_ゝ`)「……だあぁっ! ――暑すぎて寝れもしないッ!」

ものの数秒のうちに目を開き、声を荒げる兄者。
仰向けのまま上体を起こし、すぐ傍に置いてあるテレビのリモコンを手に取った。

( ´_ゝ`)「テレビでも観るか」

兄者はけだるそうに呟くと、ボタンを押してテレビの電源を入れた。

( ´_ゝ`)「なにかないかなー……っと」

何か面白そうな番組はないものかと、手当たり次第にボタンを押す。
テレビに映し出されている映像は一定で留まる事はなく、目まぐるしく切り替わってゆく。

( ´_ゝ`)「なんもねーな」

( ´_ゝ`)「ったく、これだから地上波は……」

テレビの電源を切り、リモコンを軽く放り投げる。
リモコンは放物線を描いて宙を舞った後に、ドサリと音を立てて畳の上に落ちた。
兄者は先程と同じように仰向けになり、徐々に形を成してゆくクモの巣の様を見る事にした。

( ´_ゝ`)「……今回は地の文がやたら多いな。一体どういう風の吹き回しなんだ?」



722: ◆wUOiOOQQF. :12/23(土) 11:29 KNaOPYgn0
  

夏休み初日からこのザマでは――この先が思いやられる。
ただダラダラと過ごすだけの、何の面白みもない夏休みのイメージ像が兄者の目に浮かぶ。
汗を滝のようにたらしながら、ひたすらグータラな生活を送る自分の姿が。

( ´_ゝ`)「高校生にもなってこれは……流石にあんまりだな……」

絶望に似た恐怖の予感。
兄者はさっと立ち上がり、足の親指で扇風機を停止させ、自分の部屋へ向かった。



723: ◆wUOiOOQQF. :12/23(土) 11:30 KNaOPYgn0
  

( ´_ゝ`)「着替え着替え……うおぁっ!」

自分の部屋のドアを開けて、中に入る兄者。
だが――数秒も経たぬうちに、急いで部屋を出た。
ドアを勢いよく閉めて、完全に部屋の内部が見えないようにする。

川 ゚ -゚)「……どうした兄者? 腹でもくだしたか?」

部屋の中には――上半身下着姿のクーが立っていた。

(;´_ゝ`)「いやすまんな。着替え中だというのは知らなくて……」

ドア1枚を隔てての会話。

川 ゚ -゚)「そうか。だから部屋に入らないのか」

(;´_ゝ`)「まあ……だな。女の着替え中に男が入るなんて……あまり気のいいものじゃないだろ?」

川 ゚ -゚)「それはそうだが……ここは兄者の部屋だからな。入りたければ入るがよろし」

(;´_ゝ`)「把握した」



724: ◆wUOiOOQQF. :12/23(土) 11:31 KNaOPYgn0
  

沈黙。
そして、兄者の中でこだまする、ひとつの声。

川 ゚ -゚)『それはそうだが……ここは兄者の部屋だからな。入りたければ入るがよろし』

( ´_ゝ`)「つまり……入りたきゃ入れよ、って事だよな」

意味を再確認。
やはり、男なら入らないべきであろう。だが――

(*´_ゝ`)「……俺は入るッ! 誰がなんと言おうとッ!」

兄者は男を越えた。いわゆるスーパー男というヤツだ。



725: ◆wUOiOOQQF. :12/23(土) 11:32 KNaOPYgn0
  

――バン!

鋭い音を立て、ドアが勢いよく開かれた。

(*´_ゝ`)「びっくりするほどユートピア!」

――現れたのは、スーパー男こと兄者だった。

突然の出来事に驚愕しているであろうクーに視線を向ける。
すると――いつものように無表情で立っているクーが目についた。

( ´_ゝ`)「……あれ?」

川 ゚ -゚)「おお、ナイスタイミングだな兄者。ちょうど今着替え終わったところだ」

( ´_ゝ`)「だろ? これが俺流のサプライズだ」

「実は着替え終わってないつもりで入ってきました」――なんて、口が裂けても言えない。

川 ゚ -゚)「そういえば――兄者。さっき携帯が鳴ってたぞ」

( ´_ゝ`)「うむ。分かった」



726: ◆wUOiOOQQF. :12/23(土) 11:32 KNaOPYgn0
  

携帯を開き、何があったのかを確認。

( ´_ゝ`)「着信1件……しかも、見なれない番号からだな」

川 ゚ -゚)「間違い電話じゃね?」

( ´_ゝ`)「いや――多分違う。この番号は見覚えがある気がする」

( ´_ゝ`)「確認してみるか」

アドレス帳を確認し、電話番号を参照。
数えるほどしか登録されていないアドレス帳を見て、兄者は泣きそうになったが――どれはどうでもいい。



















( ´_ゝ`)「……あっ、これあぷーの番号じゃん」



835: ◆wUOiOOQQF. :01/02(火) 01:39 Y1ufTXaI0
  

女から電話がかかってくる。
兄者の携帯にそれがあったのは、これが初めての事だった。

( ´_ゝ`)「……なあ、クー。これはかけなおすべきなのか?」

とりあえず聞いてみる兄者。
正直――かけなおすのはめんどくさい。

川 ゚ -゚)「うむ。かけなおすべきだ」

( ´_ゝ`)「しかし……本当に用事のある人はかけなおしてくるから――」

川 ゚ -゚)「急ぎの用事かもしれんだろう。だからかけなおせ」

(;´_ゝ`)「はい」

クーの迫力に押され、電話をかけなおす。
クーの無表情で言うそれは、見ず知らずの人からすれば怒っているようにしか見えないだろう。

着信履歴を開き、そこからあぷーにかけなおす。
兄者の着信履歴の中身は、悲しくなるほどに少なかったが――それもどうでもいい。

電話口から聞こえる呼び出し音。
5、6回程度鳴った後にそれは止まり、女性の声が聞こえてきた。

(*ノωノ)『……はい、もしもし?』

( ´_ゝ`)「あ〜、もしもし? 俺だよ俺。川宮だよ」

これなんてオレオレ詐欺?

(*ノωノ)『あっ、川宮さん! どうもお久しぶりです!』

( ´_ゝ`)「ちょwww川宮って誰だよwwwww」



836: ◆wUOiOOQQF. :01/02(火) 01:39 Y1ufTXaI0
  

( ´_ゝ`)b「――そんなわけで、商店街にやってきたのだ」

(*ノωノ)「いきなりどうしたんですか?」

( ´_ゝ`)「どうでもいい独り言さ」

川 ゚ -゚)「独り言が多いヤツは変態の素質があるらしいぞ」

電話をかけなおしてから約1時間後。
兄者は、あぷーとクーを連れて商店街を歩いていた。

あぷーの用件は、どうやらデートのお誘いだったようで。
その筈なのだが――なぜかクーも付いてきていた。

あと、これはどうでもいい事なのだが
女性2人を引き連れて歩くこの男――傍からみればモテモテである。



837: ◆wUOiOOQQF. :01/02(火) 01:40 Y1ufTXaI0
  

兄者達のわずか前方。
そこには、歩く男女の姿があった。

男のほうは、つまらなそうな顔をしながら。
女のほうは、なにかを探しているかのように周囲をうかがいながら歩いている。

(*゚∀゚)「フサ、あれ見て! ターゲット発見!」

そのうちの女のほう――つーは、前方に「何か」を見つけた。
一緒にいる男を「フサ」と呼び、嬉しそうに話しかける。

つーが見つけた「何か」。
それは、まっすぐ歩いてくる男1名女2名の計3名。

つまり――兄者達だった。

ミ,,゚Д゚彡「なんだ……? またカップル狩りでもすんのか?」

あきれたようにため息をつく男。
しかし、男の言葉はつーに届いていないようで。

(*゚∀゚)「さあて……どっちを狙おうかな?」

ミ,,゚Д゚彡「……聞いてねえし。もうだめだ」

(*゚∀゚)「よし! 男のほうに決定!」

つーはそう言うと、兄者達めがけて駆けていった。

ミ,,゚Д゚彡「やれやれ……何が楽しいんだか」

ある程度距離ができたところで、男がぼやく。
その言葉は、皮肉のつもりで言ったのか、あえて聞こえるであろう音量だった。

つーはそれをしっかりと聞き取っていた。
走るのを一時中断し、男のほうに向き直った。

(*゚∀゚)「人の楽しみを壊すのが楽しいんだよ」



838: ◆wUOiOOQQF. :01/02(火) 01:41 Y1ufTXaI0
  

兄者達の正面から、1人の女が走ってくる。
女は兄者の前で立ち止まると、友好的に微笑んでみせた。

(*゚∀゚)「ふふふ……楽しそうだね?」

( ´_ゝ`)「……? どちら様ですか?」

知らない女が突然話しかけてくる。
大して顔がよくない兄者からしてみれば、それだけで異常事態である。

(*゚∀゚)「さあ? どちら様でしょう?」

つーはそう言い、首をかしげる。
そして、何の前触れもなく「何か」が発光。

それと同時に、兄者は腹部に激痛を覚えた。

(;´_ゝ`)「つあッ!」

じゅっ――と、何かが溶けるような音。
痛みを感じた部分に目をやると、そこには小さな穴があった。

その穴からは、時間の経過と共に――赤い液体が溢れ出てきた。



839: ◆wUOiOOQQF. :01/02(火) 01:42 Y1ufTXaI0
  

川;゚ -゚)「兄者っ!」

(;ノωノ)「兄者さん!」

(;´_ゝ`)「なんじゃこりゃああぁぁぁ!?」

傷を手でかばい、その場に膝をつく兄者。
傷口からは血が滴り、アスファルトの地面に赤い水溜りを作りつつあった。

(*゚∀゚)「あはははは! さようなら〜!」

つーは心底愉快そうに笑うと、身を翻して走り出した。

川 ゚ -゚)「くっ……! あぷー、兄者を頼む!」

(*ノωノ)「はい!」

川 ゚ -゚)「待て、そこの女! 止まれッ!」

クーは走り、つーを追った。
だが、走り出すのが遅れた為、なかなか追いつくことができない。

――このままでは追いつけない。

どうにかしなければ。
どうにかして追いつかなければ。
どうにかしてアイツを捕まえなければ。

ふと、自転車に乗っている子供が目に付いた。
否、つーに追いつけるであろうモノを見つけた。

川 ゚ -゚)「FBIだ! 車を借りるぞ!」

クーは子供を突き飛ばし、自転車をひったくる。
そして、奪った自転車にまたがると、超前傾姿勢でつーを追いかけた。



848: ◆wUOiOOQQF. :01/04(木) 16:39 YnsEwIRg0
  

少し進んで右折し、横道に入る。
さらに進んで今度は左折。
そのまま直進し、つきあたったところでさらに左折。

進むにつれて、徐々に周囲の人気が薄れてゆく。

川 ゚ -゚)(人気のない場所に誘いこむつもりか……)

ただ逃げるだけなら、自転車では通れない場所を通ればいいだろう。
あえてそうしないところを見ると、こちらを誘っているのだと考えられる。

川 ゚ -゚)「好都合だ」

クーは小さく呟くと、さらに速度を上げた。



849: ◆wUOiOOQQF. :01/04(木) 16:39 YnsEwIRg0
  

たどり着いたのは、人気のない袋小路。
つーはそこで立ち止まり、ゆっくりと振り向いた。

クーは自転車を降りて、無表情でつーを睨みつけて対峙する。

(*゚∀゚)「……“神槍”」

つーが呟くのと同時に、右手が白く発光。
光は球状に収束し、彼女はそれを握り締める。

すると、2度目の発光。
それが収まると、光は棒状に形を変えていた。

現れたのは、先端が鋭利に尖った、細長い光の棒。
「神槍」というからには槍だと思うのだが――ビームサーベルにしか見えない。

(*゚∀゚)「全てを貫く槍――それが、あたしの能力」

そう言いながら、手にした槍を壁に突き立てる。

じゅっ――と、兄者の時と同じ溶解音。
なにか柔らかいものを突いたかのように、槍はあっさりと壁に突き刺さった。

(*゚∀゚)「いいの? こんなところまでついてきちゃって……」

槍を引き抜きながら、視線をクーに向ける。

(*゚∀゚)「ここなら……どんなに大声出しても人は来ないよ?」



850: ◆wUOiOOQQF. :01/04(木) 16:40 YnsEwIRg0
  

川 ゚ -゚)「ふん……くだらんデモンストレーションだな」

(*゚∀゚)「あれれ? こんなの見せられても驚かないの?」

川 ゚ -゚)「私も似たような能力を持っているからな」

(*゚∀゚)「へえ……どうりで妙に落ち着いてるワケね」

川 ゚ -゚)「それはもともとなんだが……まあいい」

川 ゚ -゚)「見せてやろう。私の能力――闇の極光術を」



851: ◆wUOiOOQQF. :01/04(木) 16:40 YnsEwIRg0
  

川 ゚ -゚)「お前が強かろうが、私には何の関係もない」


一陣の風が、2人の間を吹き抜ける。


川 ゚ -゚)「お前がなぜ兄者に攻撃したのか知らないが――」


クーはゆっくりと腕を上げて、両の掌をつーに向ける。


川 ゚ -゚)「その報い、受けてもらおうか」


風が徐々に強くなり、クーを中心にして渦を巻く。




そして――




川 ゚ -゚)「 極 光 壁 ! 」



899: ◆wUOiOOQQF. :01/08(月) 00:01 0I0lBJyV0
  

風を切って、ぐんぐんと突き進む兄者。
いや、ニワトリっぽい奇妙な生物もとい兄者。

中空の冷たい風が顔を撫で、耳元でごうごうと唸りをあげる。
ふと下方に目をやると、住み慣れた町が滑稽なほど小さく見えていた。
商店街でうごめく人混みなど、もはや認識できないほどの小ささになっている。

( ゚∋゚)「男兄者、ぶらり空中1人旅……か」

ぽつり、となにやら呟く兄者。

兄者は今、地上の重力を離れて、果てしなく広がる空にいる。
もし翼があるのなら、空の心地よさを味わえていた事だろう。

だが――そうはいかない。

(;゚∋゚)「こえーよwww落ちたら死んじゃうっつーのwwwww」

もちろん、翼なんて生えてない。
よって、兄者には空に留まる術はない。
この勢いが衰えれば、重力に従って地上に落ちるほかないだろう。

(;゚∋゚)(あぷーの言う事を聞いとけばよかったかもなあ……)

なんて事を考えているうちに、兄者の体は降下を始めた。

勢いでジャンプした。今はものすごく後悔している。



900: ◆wUOiOOQQF. :01/08(月) 00:02 0I0lBJyV0
  

(;゚∋゚)「クッソ! これではクーも見つけられん!」

このままでは、目的を達成する事ができない。
それどころか、地面に叩きつけられてジ・エンドだろう。

(;゚∋゚)「そうだ、クーの目印! なんでもいいからクーの目印になるものを!」

商店街だと思われる場所をひたすらを凝視する兄者。
落下に伴ったすさまじい向かい風により、「乾くってレベルじゃねーぞ」というほど目が乾いている。

( ;∋;)「うはwww乾きすぎて涙出てきたwwwww」

涙で視界がぼやけ、うまく見る事ができない。
それでも兄者は必死で目を凝らし、クーを探し出そうとする。

すると、商店街であろう場所の異変に気がついた。

( ;∋;)「なんだ……? なにか煙のようなものが……」



901: ◆wUOiOOQQF. :01/08(月) 00:09 0I0lBJyV0
  

それは、どす黒い煙のようなもの。
商店街の一部から、黒いもやもやしたものが立ち昇っていた。

だが、それが煙でないことは一目でわかる。
風に流される事なく漂い、常に一定の場所でゆらめいているからだ。

それに、煙とはまるで違う点がもうひとつ。

その黒いもやもやからは――見ただけで禍々しい印象を受ける事だった。

( ;∋;)「あれは……どこかで見たような……」

兄者はそれに見覚えがあった。
それに、見たのがつい最近の事だという確信も。

その黒いもやもやは、まるで「闇」だった。
とてつもなく暗く、ひたすら禍々しく渦巻いている。

「闇」という単語が、兄者の脳裏で何かを呼び起こした。



902: ◆wUOiOOQQF. :01/08(月) 00:11 0I0lBJyV0
  

( ;∋;)「闇……そうだ! “闇の極光術”! クーはあそこにいる!」

闇の極光術。
それは、某ゲームのラスボスが使用する技。
そして、クーの持っている能力の名前でもある。

もし、その効果が元ネタと同じなのだとしたら。
そうであるのなら、クーは間違いないなく――あの闇の中心にいる。

だが、これはあくまで推測の話。
ひょっとしたら、その黒いモノはただの煙かもしれない。

( ;∋;)「確信はないが……行くしかないだろ!」

兄者は覚悟を決め、静かに目を閉じる。

バルトアンデルスの力を使う為に、精神を集中させる。

神経を張り詰めて、化ける対象を想像する事に全てを凝らす。

( ゚∋゚)「 変 身 ! 」

そして、一喝。
兄者は体からまばゆい閃光を放ちながら、地上に向かって落ちていった。



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