( ´_ゝ`)兄者はバルトアンデルスのようです

113: ◆wUOiOOQQF. :02/20(火) 00:23 EpaIZEXQ0
  

いまだ自分を睨んでいるクーから目を離し、高岡に向き直る。
今はこうして“敵”と呼べる状況にあるが、かつて仲間だった事のある人物に。
  _
( ゚∀゚)「久しぶりじゃねーか、高岡。相変わらずだな」

从 ゚∀从「あ、ああ……」

かすかな声で、呟くように答える高岡。
こんなのは自分らしくない、それは分かっている。
だが、正面からジョルジュを見る事ができなくて、思わず顔を背けてしまう。

面白そうだからと言って仲間になって。
もっと面白そうな場所を見つけたからと言って、自分の都合で勝手に抜け出してしまった。
その罪悪感からか、どうしても気兼ねしてしまう。
  _
( ゚∀゚)「勝手にどこか行きやがって。罰としておっぱい揉ませろ」

从 ゚∀从「断る」
  _
( ゚∀゚)「なら触らせろ」

从 ゚∀从「断る」
  _
( ゚∀゚)「そりゃ残念」

このやりとりが終わった頃には、高岡の中にあった罪悪感は虚空に消え去っていた。



114: ◆wUOiOOQQF. :02/20(火) 00:24 EpaIZEXQ0
  

川 ゚ -゚)「……それで、お前達はどういう用件なんだ?」
  _
( ゚∀゚)「なーに、大した用じゃねえよ」
  _
( ゚∀゚)「“兄者と一緒にいるキャワイイ女が闇の極光術を持ってる”……って聞いてな。はるばるやってきたのさ」

川 ゚ -゚)「そうか、分かった。もう帰っていいぞ」

兄者のバルトアンデルスの能力は、人前で披露してしまったのである程度知れ渡っている。
だが、クーの極光術の場合はそういった事はないので、その存在を知る者は少ない筈だった。
その点を踏まえて考えてみると、兄者達が先日戦ったという、つーからの情報だろうと思われる。
  _
( ゚∀゚)「前から欲しかったんだよなぁ……闇の極光術」

川 ゚ -゚)「そうか、よかったな。分かったからもう帰っていいぞ」
  _
( ゚∀゚)「てなワケで、闇の極光術はこの俺――ジョルジュ高岡が貰い受ける!」

川 ゚ -゚)「だから帰れって」



115: ◆wUOiOOQQF. :02/20(火) 00:28 EpaIZEXQ0
  

言葉を最後まで言い終わるや、否や。
ジョルジュはバックステップで1歩後退し、クーとの間合いを取る。
  _
( ゚∀゚)「先手必勝! ずっと俺のターン!」

(´<_` )「どう見ても双六のターンです。本当にありがとうございました」
  _
( ゚∀゚)「黙らっしゃい! 俺がレフェリーだ!」

( ´_ゝ`)「これまた古いネタを……」

頭のネジが取れてしまったのかと思うほどのハイテンション。
何がそんなに嬉しいのかはまったく分からないが、とにかくハイテンション。
  _
( ゚∀゚)「見せてやるよ――俺の能力を!」

吼えるような、気合いの入った声と共に。
足を広げて間隔を取って構え、両の掌をクーに向け、叫ぶ。
自らの体にに持つ能力が生み出す、かの能力とは真逆の類に位置づけられる、その技の名前を。
  _
( ゚∀゚)「 極 光 壁 ! 」



131: ◆wUOiOOQQF. :02/27(火) 23:45 wtWlg33I0
  

叫んだ技名は、クーが持つ“極光術”の能力によるものだった。
だが、ジョルジュのそれはクーのそれと違い、まばゆいばかりの“白”だった。

クーの極光術と同じように、地面から空へと目がけて噴き上がる。
その様子もクーのものとは違い、闇の極光術のような禍々しさはない。
その代わりに、どこか神々しさまで感じれるような、一点の曇りもないほどに閃々とした光があった。

川 ゚ -゚)「くっ――! 極光壁!」

クーが同じ言葉を発し、極光術を発動。
だが、地面から噴き出したのはやはり先程のものと違い、禍々しい程の“黒”だった。
唸りをあげて立ち昇るそれは、ジョルジュの極光術と衝突。
白い火花のようなものを散らしながら、互いに荒れ狂う白と黒。

押しては引き、引いては押しを繰り返した後に――バン、と爆音のような音を立て、互いに消滅。
粉砕した力の余波が風圧となってクーを襲うが、彼女は身をかがめてなんとか持ちこたえた。

川 ゚ -゚)「むう……防ぎきれなかった……か」
  _
( ゚∀゚)「おぉう、流石にやるじゃねーか」

今の衝突を見て、満足そうに微笑むジョルジュ。
攻撃が防がれた事に驚く様子もなく、自分の攻撃を防いでみせた者の姿をしっかりと捉えている。
しかも、その表情は余裕そのもので、クーのように風圧を堪えようとする姿勢もない。



132: ◆wUOiOOQQF. :02/27(火) 23:46 wtWlg33I0
  

川 ゚ -゚)(極光が力負けした……? それに、今の光は――)

今の攻撃、そして、その威力。
それに加えて、その攻撃をした張本人の、余裕そうな表情。
それらのいくつかの要素から、うっすらとではあるが――クーは恐怖のような感情を覚えていた。

川 ゚ -゚)(もしや……アイツの能力は……)

記憶が警報を上げ、額に嫌な汗が滲む。

相殺という形ではあるが、極光壁を軽々と打ち砕いて見せたその力。
それほどの力を力を持ち、自分の持つ極光術と同じような攻撃ができる能力。
そのすべてが当てはまる能力が、クーの脳裏に浮かび上がっていた。

闇の極光術と真逆の存在にして、唯一の対抗手段。
圧倒的な力ですべてを無に還す闇を制す為の、紡がれし光の伝承。
自分にとって最も危険であるかもしれないその能力の名前を、彼女は叫ぶように言い放った。

川 ゚ -゚)「今の極光壁は……まさか……“真の極光術”か!?」



133: ◆wUOiOOQQF. :02/27(火) 23:46 wtWlg33I0
  

しかし、ジョルジュの返事はない。
あったのは、相変わらずの笑みだけだった。
クーはそれを肯定の意味だと判断し、話を進める。

川 ゚ -゚)「それほどの能力を持っておきながら……なぜ私を狙う?」
  _
( ゚∀゚)「ハァ? 闇の極光術がほしいからに決まってるだろ」

川 ゚ -゚)「違う! なぜ極光がほしいのかと聞いているのだ!」
  _
( ゚∀゚)「……ヘッ。そんなの決まってるじゃねーか」

ふっ、と小バカにするように微笑むジョルジュ。
当然の事だと言わんばかりの口調で、クーの問いかけに答えた。
  _
( ゚∀゚)「“光”より“闇”のほうがかっこいいじゃねーか。理由はそれだけだ」

川 ゚ -゚)「……そうか、すまんな。まともな答えを期待した私が馬鹿だった」
  _
( ゚∀゚)「……えっ、なんで謝んの? 俺何かヘンな事言ったか?」



134: ◆wUOiOOQQF. :02/27(火) 23:48 wtWlg33I0
  

川 ゚ -゚)「どうやら……やらねばならんようだな」

川 ゚ -゚)「兄者、他の巻き込まれると危険だからな」

( ´_ゝ`)「……俺も手伝おうか? 1人じゃ大変だろうし」

川 ゚ -゚)「いいから下がってくれ。兄者の能力じゃ足手まといだ」

(;´_ゝ`)「……把握した」

あっさりと切り捨てられ、自称ナイーブな心が傷ついた兄者。
「そこまで言わなくても……」と呟きながら、クーとジョルジュから距離を取った。
たらたらと歩く兄者に続いて、残りの者達も同じように下がってゆく。

全員が下がったのを横目で確認。
ふう、と一息ついてから、ジョルジュ目がけて両手をかざす。
両の掌をしっかりと広げ、その指先までに力を混め、叫ぶ。

川 ゚ -゚)「――いくぞ。極光壁!」



135: ◆wUOiOOQQF. :02/27(火) 23:49 wtWlg33I0
  

クーの声。
それに応えるように噴き出した、どす黒い闇。
ジョルジュはそれを防がんとして、やはり同じように叫ぶ。
  _
( ゚∀゚)「おーっと、極光壁!」

川 ゚ -゚)「なんのッ! 極光壁!」
  _
( ゚∀゚)「甘い!極光壁!」

川 ゚ -゚)「まだだ! 極光壁!」
  _
( ゚∀゚)「効かん! 極光壁!」

川 ゚ -゚)「ならば……これでどうだ! 極光壁!」
  _
( ゚∀゚)「その程度かよッ! 極光壁!」

川 ゚ -゚)「馬鹿の1つ覚えだな……極光壁!」
  _
( ゚∀゚)「それで済むかよっ! 極光壁!」

川 ゚ -゚)「極光壁!」
  _
( ゚∀゚)「極光壁!」

川 ゚ -゚)「極光h(ry」
  _
( ゚∀゚)「極k(ry」

川 ゚ -゚)「(ry」

ミ#)Д゚彡「無限ループって怖くね?」

(*゚∀゚)「なんかもうどうでもいいや」



136: ◆wUOiOOQQF. :02/27(火) 23:49 wtWlg33I0
  

陰っては光り、光っては陰りの無限ループ。
一見互角のように見える戦いを見ながら、批評のような声を垂らすギャラリーがいた。

(´<_` )「なんという技名の叫びあい……この展開は間違いなくインフレ」

( ´_ゝ`)「まあ……能力が強すぎるからな。ここにいる他のヤツと比べると」

(´<_` )「だが……これはあまりにもワンパターンなのでは……」

( ´_ゝ`)「必殺技には必殺技で返すのがジャンプの基本だぜ?」

(´<_` )「ああ、敵が強ければ強いほどな……って、呑気に話してる場合じゃないようだぞ」

他愛もない雑談をしていた、ちょうどその時。
皆の視線が向く先にいる、クーとジョルジュ。
その2人の繰り広げている無限ループに、あまり好ましくない変化が訪れていた。



139: ◆wUOiOOQQF. :02/27(火) 23:52 wtWlg33I0
  

白光と暗黒。
衝突しては消えて、息づく間もなく現れて。
状況的には一見何の変化もないように見えるが、大きな変化が。
大技を乱発している為の疲労か、クーの対応速度がだんだんと落ちてきているように見える。
  _
( ゚∀゚)「極光壁!」

川 ゚ -゚)「くっ――極光壁!」

幾度目かも分からぬ衝突。
ジョルジュが攻めて、クーが守るの一点張り(勘違いすんなよ。性的な意味じゃないぞ?)。
これもまた相殺し、後にはその余波だけが残される――筈だったのだが。

川;゚ -゚)「なっ――!?」

バン、と音を立て、クーの極光術は弾けるように消えた。
やはり疲労はあったようで、それに伴って力も弱まっていたのだろう。
その途端、塞き止めていたものが除かれたようにどっと疲労を感じ、クーは思わずよろめいてしまった。

その隙を見逃さず、残された光の中を突き進む影。
勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、無防備になっているクーへと迫る。
  _
( ゚∀゚)「これで終わりだ! いくぞ――極光剣!」

声と共に跳躍。
そして、右手からの白光。
光は輝きを増して細長く伸び、剣のような形を形成。
ジョルジュはそれを頭上高く掲げ、力の限り振り下ろした。



147: ◆wUOiOOQQF. :03/02(金) 07:32 DI0Bb6fU0
  

振り下ろされた白い剣。
その向かう先にいるのはクー。

川;゚ -゚)(これは……かなりピンチだな)

避けれない。
その速度からしても、自分の体力的にも。
下手に動いたところで、なんらかのダメージを受けるのは間違いない。

川 ゚ -゚)(ならば――)

ならば、避けなければいい。
迫り来る攻撃そのものを消して、避ける必要をなくせばいい。
肉体的にしんどいような気がするけど、下手に動いてケガをするよりはマシだろう。
別になんて事のない、ただそれだけの事。

川 ゚ -゚)「――極光壁!」

手を剣に向け、叫ぶ。
それと同時に、彼女の足元から噴き出す闇。
それはクーを覆い隠すように纏わりつき、振り下ろされた剣を捉えた。
  _
(;゚∀゚)「うぉぁっ!」

川;゚ -゚)「くっ……!」

バチン、と鋭い炸裂音。
衝突した白と黒は互いに消滅し、その余波が2人を襲う。
クーはつんのめりそうになるのをなんとか堪え、ジョルジュは後方に吹き飛ばされた。

川 ゚ -゚)(……防いだのはいいのだが、このままではまずいな)

ドサリと落ちてゴロゴロと転がってゆくジョルジュを見届けながら、クーは考える。

このままでは、いずれ完全に押し負ける。
そうなってしまえば、もはやジョルジュを止める手段はない。
何か決め手になるようなものがなければ、このままでは、いずれ――



148: ◆wUOiOOQQF. :03/02(金) 07:32 DI0Bb6fU0
  

クーに言われた通りに行動し、彼女から離れた場所にただずむ兄者達。
クーの加勢をしようにも、力及ばずでそれすらもかなわず、ただ見守るのみの立場。

閃光がほとばしったかと思えば、雲がかかったかのように暗くなったり。
そんな異常気象のような2人の戦いを眺めながら、兄者は考えていた。

( ´_ゝ`)(クーがいくら強いといえども、女であることに変わりはないよな……)

はたして、このままでいいのかと。
はたして、自分は見ているだけでいいのかと。

しゃしゃり出たところで、役に立てないのは分かっている。
だが、見てるだけではなんだか腑に落ちない。
どうにかして彼女の力になる事はできないだろうかと、ない知恵を絞って考える。

( ´_ゝ`)(手伝おうにも、俺の能力は化けるだけだしな……)

千変万化、バルトアンデルス。
どんなものに化けて見せようとも、それが役に立つとは到底思えない。
それどころか、かえって足を引っ張ってしまう結果にすらなりかねないだろう。

( ´_ゝ`)(俺にも……戦えるような能力があれば……)

そこで、兄者はふと考えるのをやめた。
それは低迷からではなく、妙案を閃いたことによるものだった。



149: ◆wUOiOOQQF. :03/02(金) 07:33 DI0Bb6fU0
  

( ´_ゝ`)「なあ……ツン、ちょっといいか?」

ξ゚听)ξ「なによ、こんな状況で!? くだらない事だったら怒るわよ?」

( ´_ゝ`)「ツンがくれたこの能力……バルトアンデルスについてなんだが」

( ´_ゝ`)「“何にでも化ける事ができる”……ってのは、制限とかはないって事か?」

ξ゚听)ξ「えっ? たしか……同時に複数のモノに化けるのはできない筈よ」

( ´_ゝ`)「……それ以外にはないのか?」

ξ゚听)ξ「特になかったと思うわよ。でも……それがどうしたの?」

( ´_ゝ`)「……いや、今はどうでもいい事だからスルーしてくれ」



150: ◆wUOiOOQQF. :03/02(金) 07:33 DI0Bb6fU0
  

(´<_` )「どうした兄者? 珍しく神妙な顔をしているが」

( ´_ゝ`)「ちょっとした妙案を考えてな。それが可能かどうか知りたかったのだが……」

( ´_ゝ`)「ひょっとしたら、俺は天才かもしれないぞ」

(´<_` )「 そ れ は な い 」

( ´_ゝ`)「うるさいぞ弟者。いいから黙って見てるがいいさ」

兄者はそう言うと、身を翻して弟者に背を向け。
静止しようとする弟者の声を背中で聞きながら、クーの元へと駆け寄っていった。



151: ◆wUOiOOQQF. :03/02(金) 07:33 DI0Bb6fU0
  

同じく、流石家の庭。
弟者達からほんの数メートル離れた場所では、能力者同士の戦いがいまだに続いていた。

川 ゚ -゚)(……また相殺か。流石にこれ以上はしんどいぞ)

ふう、とため息混じりに一呼吸するクー。
幾度目とも知れぬ極光壁が、ジョルジュの極光壁によって砕かれていた時だった。
  _
( ゚∀゚)「おうおう! 闇の極光術ってのはその程度なのか!?」

川 ゚ -゚)「何をぬかすか。私の極光術は108式まであるぞ」

強がってはみるものの、精神的にも肉体的にも正直しんどい。
徐々に疲労を感じ始めた彼女からすれば、このまま続いた場合の結果は考えなくても分かる事だった。
  _
( ゚∀゚)「それなんてテニスマンガ?」

川 ゚ -゚)「あれはテニスマンガではない。新種の格闘マンガだ」
  _
( ゚∀゚)「どこぞの戦闘種族とも渡り合えそうな勢いだよな」

川 ゚ -゚)「隆さんの扱いの酷さは異常」

(;´_ゝ`)「なにを意気投合してるですかあんたらは」



152: ◆wUOiOOQQF. :03/02(金) 07:34 DI0Bb6fU0
  

川 ゚ -゚)「なっ……兄者!?」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ、せっかく盛り上がってんのに。外野はすっこんでろよ」

( ´_ゝ`)「これ以上暴れられるとボロイ我が家が壊れそうなんでな。そろそろ終わらせてもらう」

真面目に対応し、ガラにもなく格好つける兄者。
上手くいくかどうかは分からないが、1人で戦うクーを見ていると、こうせずにはいられなかった。
  _
( ゚∀゚)「ハァ? 化けるだけの能力で何ができるんだいポッター?」

( ´_ゝ`)「さーな。それは見てのお楽しみってヤツだ」
  _
( ゚∀゚)「“ビックリ! 兄者七変化劇場!”でもおっぱじめようってのか?」

( ´_ゝ`)「さーな。それは見てのお楽しみってヤツだ」
  _
( ゚∀゚)「……なんかすげぇムカツクぞ」



157: ◆wUOiOOQQF. :03/02(金) 23:11 DI0Bb6fU0
  

バルトアンデルス……

それは、何にでも変身できる化物。
ドイツ語で「バルト(すぐに)アンデルス(他のもの)」の意味にあたる。日本語に訳すと「千変万化」。

……と、どこかのサイトに書いてあった。

そこにあるのは“何にでも”という記述。
もし、それが文字通り“何にでも”であるのならば。
もし、物質や生物以外のモノにも化けられるのだとしたら。

それはすなわち、無限の可能性を持っている事を意味する。

すべてのものに化けれるのならば――それが他の能力だとしても、決して例外ではないだろう。



158: ◆wUOiOOQQF. :03/02(金) 23:11 DI0Bb6fU0
  

( ´_ゝ`)「なあ、クー。ちょっといいか?」

川 ゚ -゚)「……なんだ? 危ないから下がっていろと言っただろう?」

( ´_ゝ`)「まあまあ、とりあえず落ち着け。いい事考えたから聞いてくれ」

「くだらん事だったら極光食らわす」と思いながらも、耳を傾けるクー。
兄者はクーの耳に顔を近づけ、ごにょごにょと何かを耳打ちした。
その光景を見たジョルジュがなにやらわめいていたが、聞こえなかったことにしておいた。

川 ゚ -゚)「……そんな事が可能なのか?」

( ´_ゝ`)「できるかどうかは分からないが、試してみる価値はあるだろう?」

力負けしている以上は、他に手を講じるしかないだろうが。
だが、今しがた聞いた兄者の案は、実に不確実なものだった。
その案が失敗した場合のリスクは大きく、賭けをするには兄者の案は危険すぎる。

しかし、意外な事に。
クーは特に迷う様子もなく、すぐさま肯定の返事を返した。

川 ゚ -゚)「……そうだな。兄者を信じるとしよう」

( ´_ゝ`)「それはそれで困るが……まあいいか」



159: ◆wUOiOOQQF. :03/02(金) 23:18 DI0Bb6fU0
  

( ´_ゝ`)「――という訳で、俺も参加させてもらうからな」
  _
( ゚∀゚)「1人で勝てないなら2人がかりで……ってオチか?」

川 ゚ -゚)「まあ、そういう事だ。いくぞ……“極光波”!」

声と共に、ジョルジュ目がけて両手をかざすクー。
その動作からわずかな間の後、ジョルジュの周囲から混沌たる闇が噴き出した。
音を立てて唸るそれは、すべてを包み込むように広がってゆく。
  _
( ゚∀゚)「ならばこっちも――“極光波”!」

クーと同じく、両手をかざすジョルジュ。
そして、同じように地面から噴き出す極光術。

現れたそれらの性質はまったくの別物だ。
クーの極光術が“黒”なのに対し、ジョルジュのそれは“白”。

うごめく黒に、荒れ狂う白。
闇の極光術と、真の極光術。
しばらくは均衡する様子を見せたが、ジョルジュの極光術が徐々に押し始め――



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