( ´_ゝ`)兄者はバルトアンデルスのようです

609: ◆wUOiOOQQF. :03/19(水) 08:55 PRsxvA3c0
  

ホント、どうでもいい。
一瞬でもこの馬鹿に期待した俺が馬鹿だった。

……ああ、そうか。
馬鹿に期待しちゃってる時点で既に馬鹿だよな、あはははは。

( ´_ゝ`)「そうか。それはよかったじゃないか」

ミ,,゚Д゚彡「勿論兄者のオゴリな。兄者の金で兄者が買ってきてくれ」

( ´_ゝ`)「何の義理があっての事だよ」

ミ,,゚Д゚彡「まあそう言うな。これは重要なイベントの発生条件なんだって」

うるさいな。

そんなに欲しいのかよエロ本が。
そこまでして欲しいなら思い切って万引きしろ馬鹿。

……まあ、そう思っても口には出さないけど。実際にしちゃったら困るしさ。

( ´_ゝ`)「そもそも、イベントってなんだよ。どうせサブイベントだろ」

とりあえずツッコむ。

アレだ。
どうせ大したことないだろうしさ。
攻略サイトとかで「小ネタ」のカテゴリに分類されるようなレベルだろ。

ミ,,゚Д゚彡「全然違う。そんなチャチなモンじゃないさ」

しかし、フサは首を振って否定する。
コイツは割と本気で馬鹿だから、何してもふざけてるようにしか見えなくて困る。

ミ,,゚Д゚彡「むしろここが分岐点だ」



610: ◆wUOiOOQQF. :03/19(水) 08:56 PRsxvA3c0
  

それはすごいな。

フサにエロ本を買ってやる事がキーになってるなんて。
どんな奇特なシナリオでしょうかね。正直言ってまったく興味が沸きません。

( ´_ゝ`)「なんだアレか、アレなのか?
       お前にエロ本を買うと愛情度が上がってお前ルートに突入すんのか?
       ジョルジュの腰巾着の分際で図に乗るな。脇役にエンディングがあると思うなよ」

だから言ってやりました。

そして。

ミ,,゚Д゚彡「……キモイ事言わないでくれない?」

言われちゃいました。

(#´_ゝ`)「エロ本暗記する男にキモイとか言われたくねーよッッ!!!」

叫びました。

そりゃあ、ブチ切れますよ。
この馬鹿にキモイとか言われたら耐えられないし。

(#´_ゝ`)「そもそも、イベントがどーとか分岐がどーとか言ったのはお前だろうが!」

ミ,,゚Д゚彡「いや……言ったけどさ。なんかお前見事に勘違いしちゃってるぞ」

何をだよ。
どこをどう勘違いしてるというのか。

話自体を勘違いしているのか、それとも話の内容を勘違いしているのか。どうでもいいけどさ。

ミ,,゚Д゚彡「俺はただの伝言係。んでもって、エロ本がその情報料なの。
      俺シナリオなんて存在しないし、存在させる気もないからとりあえず落ち着け」

フサが正解を言ってくれた。



611: ◆wUOiOOQQF. :03/19(水) 08:56 PRsxvA3c0
  

だよなー。
常識的に考えてありえないよなー。

フサギコルートとかあったら気持ち悪いし。
区切り方を変えてみたらなんかキャラの名前っぽくなるさ。

( ´_ゝ`)「だから、お前の名前フサギ・コルートな」

ごめん。
あんまりキャラの名前っぽくなかった。

ミ,,゚Д゚彡「いや、意味が分からないんですけど。
      つーかなんで俺にエロ本買ったら俺ルートになるんだよ」

( ´_ゝ`)「プレゼントとかあげたら好意持たれそうじゃんか」

ミ,,゚Д゚彡「お前、頭の中までゲームなのな」

そう言い、フサは小さく溜め息をつく。
なんとなくその仕草が癇に障ったので、フサの後頭部をグーで殴ってやった。

ミ,,゚Д゚彡「なんだよー殴らなくてもいいじゃんかよー」

( ´_ゝ`)「殴ってないもーん。ぶったんだもーん」

とか言いながら、謎のダンスでフサを挑発する俺。
……その様子を見て、フサは更に大きい溜め息をひとつ。

そして。

ミ,,゚Д゚彡「こんなの相手じゃ、あねさんも苦労するだろうなあ……」

――なんて、意味深な言葉を口にしやがったので。

( ´_ゝ`)「必殺フサギ・コルートパンチ!」

ミ,,゚Д゚彡「うぼあァッ!!」

グーで殴っときました。



612: ◆wUOiOOQQF. :03/19(水) 08:56 PRsxvA3c0
  

ミ,,゚Д゚彡「いっつ……この馬鹿! グダグダで話が進まねーだろうが!」

( ´_ゝ`)「お前が重要キャラっぽいセリフを吐くからいけないんだろうが」

殴られて箇所を手でかばうフサを気にせず、ガシガシと小突き続ける。

いいかフサ、お前は脇役なんだよ。
脇役は脇役らしく「あれはなんだ」とか「……なんだ猫か」とか言っとけばいいんだよ。

ミ,,゚Д゚彡「だから、重要なんだって! 少なくとも今は!」

( ´_ゝ`)「いやいや。キーパーソンは自ら名乗り出たりしないから」

ミ,,゚Д゚彡「いいからとりあえず俺にエロ本をおごれ! じゃないと話が進まないだろ!」

( ´_ゝ`)「お前を締め上げて吐かせればそれで済む事だろう。そっちのほうが手っ取り早くていい」

それはとても簡単な事。

つーの神槍で指の関節をひとつずつ潰して拷問するもよし。
クーの極光で脅しをかけて吐かせるもよし。吐かなかったらそのまま攻撃すればいいし。

ミ,,゚Д゚彡「あんまりじゃないですか」

( ´_ゝ`)「耐えねばならんのだよ」

ミ,,゚Д゚彡「じゃあ後でお金払うから、俺にエロ本おごってくれよ」

( ´_ゝ`)「超無意味ですね」

……まあ、こんなに言うんだから買ってやればいいか。
伝言ってのもまったく気にならないわけではないし。むしろ興味深々だし。



613: ◆wUOiOOQQF. :03/19(水) 08:57 PRsxvA3c0
  

エロ本を買って、フサに渡す。
レジに持っていった際に店員からチラ見されたけど気にしちゃいけない。

( ´_ゝ`)「税込みで100万円な」

ミ,,゚Д゚彡「それはないわ」

フサは受け取って、懐にしまいこむ。
なんつーかもう、エロ本を懐に隠す辺りが既にかっこいい。

( ´_ゝ`)「んじゃ本題な。エロ本やったから話聞かせろよ」

そういう話だったしな。
そのためにわざわざエロ本買ってきた訳だし。

ミ,,゚Д゚彡「いや……話じゃない。お前宛の手紙を預かってんだ」

そう言い、懐に手を突っ込む。
そしてしばらくガサゴソと漁り、そこから白い封筒を取り出した。

( ´_ゝ`)「手紙――って、誰からだ? 俺の知ってるヤツか?」

とりあえず訊く。

見た感じ、封筒には何も書かれていない。
手紙を貰うような心当たりはまったくないので、誰からなのかは見当も付かないし。

ミ,,゚Д゚彡「知ってるヤツだ。差出人は自分で呼んで確認しろ」

言って、フサは手紙を投げてよこす。

俺はそれを受け取って、その場で開封しようとするが――

ミ,,゚Д゚彡「まあ待て、ここでは開けるな」

止められた。

ミ,,゚Д゚彡「ここで修羅場になられたら困る。1人でいる時に開けろ」

フサはそれだけ言い、踵を返してコンビニを後にした。



624: ◆wUOiOOQQF. :03/25(火) 13:13 cBhc76X00

――さて、と。

とりあえずコンビニを出て、落ち着ける場所を探す。
まあ別に手紙を読めればどこでもいいんだけど、どうせならゆったりとして読みたいし。

( ´_ゝ`)「……落ち着ける場所か、か。どこかあったかな」

歩きながら考える。

思い当たる場所はほんの数箇所。
自分の現在地や気分などから更にそれを絞り込み、理想の場所を選ぶ。

そうして思いついたのが、すぐ近くにある公園だった。

そこに決めた理由は色々ある。
まあ、一番の理由はここから最も近いからなんだけどね。

それにその公園は、そんなに人が多くいた事がないし。
自分の記憶だけでそう決め付けるのもどうかと思うけど、そんな事は気にしないでいい。

はたして公園としての需要があるのかどうかは微妙だけど、とりあえず人はいない。
もしいたとしても、会社に行く振りをして公園で弁当を食べてる訳ありのサラリーマンぐらいだろう。

( ´_ゝ`)「公園に行くか」

そうと決まれば、早速行動。
行き慣れた道を辿って、俺は公園に向けて進んでいった。



625: ◆wUOiOOQQF. :03/25(火) 13:14 cBhc76X00

( ´_ゝ`)「着いた」

もう到着した。

決断してから到着するまでわずか1レス。
おまけに到着するまでの過程なんてまったくなし。行くと決めたらもう着いていた。
これは別に手抜きではなくて、それほどまでに近い場所に公園があったというだけの話。

アレだ。
曲の途中のやたら長い間奏が、長い年月を表してるってアレの逆バージョンだ。

まあ、それはいいとして。

とりあえず公園を見渡して、落ち着けそうな場所を探す。
まあ、妥当なのはベンチだろう。ってな訳でベンチだベンチ。

( ´_ゝ`)「お、あった」

ベンチ発見。
だがよく見てみると、ベンチには先客がいるようで。

そのベンチに座る人物は、まさにアレだった。
分かり易く言えばつなぎを身に着けた自動車整備工風のいい男。
言い回しはなかなか抽象的だけど、分かる人は分かっちゃう魔性の表現技法。

……とりあえず、あのベンチは避けよう。
あそこからできるだけ離れたほうがいい――と、本能が告げるから。



626: ◆wUOiOOQQF. :03/25(火) 13:14 cBhc76X00

いい男のいるベンチからそれなりに離れた場所。
ちょうどいい感じな位置にあるベンチを見つけたので、そこに腰を下ろした。

そして、封筒を開封。
なんの前置きもなくてアレだけど、とりあえず開封。

( ´_ゝ`)「んー……とりあえず普通だな」

最初の感想はそれだった。

フサが開けて修羅場がどうのこうのとか言ってたんで、何があるのかと少しは警戒してたけど。
いざ開けてみると何も起こらなかったので、封筒自体が修羅場要素を含んでいる訳ではなさそうだ。

つまり――修羅場要素は中身の手紙なのだろう。

手紙に何か仕掛けてあるのだろうか。変なトラップとか。
それともあるいは――むしろこっちが普通だろうが――書いてある内容が修羅場ってるのか。

……いや、内容ではないような。
ギャグとか冗談とかじゃなくて、割と本気で。
封には一度も開けた痕跡が見られなかったので、フサは確認してないだろうし。

( ´_ゝ`)「でも、なーんか意味深な事言ってたしな。中身を知らないにしては」

ここで修羅場になられても困る――とか。
それは修羅場る要素があると言ってるようなモノだし。

( ´_ゝ`)「まあいいか。とりあえず読んでみれば分かるだろ」

そして俺は、考えるのをやめた。

――それにしてもこの俺、独り言多すぎだろ。いや、まったくホントに。



627: ◆wUOiOOQQF. :03/25(火) 13:14 cBhc76X00

そして、手紙を開き、内容に目を通す。



628: ◆wUOiOOQQF. :03/25(火) 13:15 cBhc76X00

兄者へ

めんどくさいから挨拶なんかは省略させてもらう。
どうせお前の事だから、時候だとかなんだとか分からないだろうし。

急で悪いが、私は流石家を出る事にした。

別に居たくなく訳ではない。
ただ、いつまでもグダグダと続けたくない。そう思っただけだ。

だからお前は何も気にする事はないし、そんな必要もまったくない。

長いようで短い間だったけど。
お前と過ごせたのはすごく楽しかった。すごく有意義だった。

だから、ありがとう。

ありがとう。そして、さようなら。

……お前は、馬鹿だからすぐに風邪とか引きそうで心配だけど。

馬鹿は風邪を引かないってのはデマカセだ。
馬鹿は自分の体調管理がしっかりできないから、むしろ風邪を引きやすいものなんだぞ。

では、元気でな。

                              みんなのアイドル クーお姉さんより



629: ◆wUOiOOQQF. :03/25(火) 13:15 cBhc76X00

( ´_ゝ`)「………………」

読み終えて、手紙を閉じる。

( ´_ゝ`)「………………」

開く。

( ´_ゝ`)「………………」

閉じる。

( ´_ゝ`)「………………」

閉じる。

( ´_ゝ`)「――って、閉じた状態でどう閉じればいいんだよっ!」

ツッコんでみる。

( ´_ゝ`)「………………」

開いて、改めて読み直す。

( ´_ゝ`)「………………」

沈黙。

(;´_ゝ`)「――って、ええぇぇぇ!!?? なにこの急展開!?」

そして、ひとり修羅場。



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