( ^ω^)ブーンの力は役立たずのようです。

131: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:39:01.89 ID:8N3abdHZ0
  
(;^ω^)「まさか……」
(*゚ー゚)「内藤君は知ってるよね。この学校で起きたこと」
ξ゚听)ξ「何よブーン、なんかあったの?」
(;^ω^)「……」
(*゚ー゚)「簡単に話すと、皆が色んな超能力を手に入れて喧嘩しあったって話。すごいよね、
     時代は繰り返すってこのことだよね」
(;^ω^)「なんで……」
(*゚ー゚)「え? 何?」
(;^ω^)「なんでこんな事がするんだお……」
(*゚ー゚)「……ごめんね、内藤君。結局こういうものなんだよ。内藤君だって自分が一番でしょ?」
(;^ω^)「僕は……」

勿論ブーンは何も言い返せなかった。
あの時返事を渋った自分には何も発言する権利は無いのだ、と。

(;^ω^)「でも、何もして無い人を殺すのとは訳が違うお!」
(*゚ー゚)「だっていつか誰かが力を手に入れて後ろから刺されたら怖いじゃん。長い目で見た
     防衛だよ、これは」
ξ゚听)ξ「そんなの屁理屈よ!」
(*゚ー゚)「そうだね、これは流石に正論とは言わないよ。でもボク達は端からこの世界の正義の
     味方を目指してるわけじゃないんだ。これはボク達の正義だよ。ツンたちには悪でもね」
('A`)「何が悪だよ」

突然ドクオが口を開いた。



132: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:40:25.76 ID:8N3abdHZ0
  
('A`)「悪ってのは正義と同じように一本筋が通ってる奴が使うんだよ。お前らは外道だ、
    見損なったよ、しぃ」
(*゚ー゚)「安全になるとよく口が回るね、ドクオ。そんな陳腐なこと言ってさ。ボクは何でもいいよ、
     楽しければ」

そう言ってしぃは手に持っていたチョークをふわりと宙に浮かべた。
その言葉にドクオは口を半開きにしたまま黙り込んでしまう。

(*゚ー゚)「ボクは世界を思い通りに変えられるんだ。ただし範囲は僕の周りほんの少しだけどね。
     ただ、残念なことに直接人を殺すとかは出来ないんだ。いろいろ回りくどいことも試してみた
     けれど、なかなか神様が許してくれないみたいでさ」
(;^ω^)「で、でもさっき人が消えたお」
(*゚ー゚)「なんか死んだ人は大丈夫みたい。不思議だよね、まだまだ覚えたてだからよく分からないよ」

そこでジョルジュがいきなり教室の隅に走り、吐いた。すぐ隣で真二つにされたのを見たのだから
無理も無い。ツンが無言でジョルジュのところへ行き背中をさすり始めた。

(*゚ー゚)「臭うからそれも消しとくよ。さて、そろそろ本題に入ろうかな」

しぃが浮かべたチョークがゆっくりと教卓に着地すると、チョークはサラサラと粉になってしまった。



134: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:41:35.20 ID:8N3abdHZ0
  
(*゚ー゚)「ボク達は協力してるんだ。これはさっき言ったね。だからそれぞれの関係が円滑に
     なるように互いに条件を出してそれを飲み込んだんだ。そしてボクの条件がこれ」

粉になったチョークをしぃがフゥーっと拭いた。すると宙に待ったチョークの粉が黒板にまるで
磁力ででも引きつけられているかのようにして飛んでいき、図を作り出した。
出来た図はこの学校の案内図で所々の部屋に×印が書かれている。×印の数は全部で4個。

(*゚ー゚)「ふふふ、マンガを読んでて思いついたんだ。ボクの条件はゲームをすること」
( ^ω^)「ゲーム?」
(*゚ー゚)「そう、ボクはこの力を手に入れたし、これから先他の人が色々かき回してくれるのを
     見るだけでも十分楽しかったりするんだ。だから今すぐ楽しめる物は無いかなって」
ξ゚听)ξ「あんた……本気なの?」
(*゚ー゚)「今更だよ、ツン。ボクはずっと暇だったんだ。色々試して凌いではいたけど、全然だったよ」
ξ゚听)ξ「……」
(*゚ー゚)「このゲームをクリアしたらそれ以上手出しはしないってのもちゃんと約束したから
     頑張ってよ」
('A`)「本当なのか?」
(*゚ー゚)「ドクオ、確認なんてとっても仕方ないと思うよ。とりあえず今殺されるよりはいいでしょ」

その一言で沈黙が訪れる。しかしそんな沈黙などまるで気にしないといった風にしぃが言葉を続ける。



135: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:43:00.94 ID:8N3abdHZ0
  
(*゚ー゚)「ルールは簡単。×印のところに鍵があるんだ。それを全部手に入れたら玄関にしてある
    それぞれの錠が全部外れて脱出成功。他の出入り口は全部開かないようになってる
    から出ようとしても無駄だよ」
('A`)「簡単じゃねえか」
(*゚ー゚)「うん。でもねぇ、この校舎には勿論兄者とかが居るから気をつけてね。見つかったら
     タダじゃすまないと思うから」
('A`)「は?」
(*゚ー゚)「だって只の宝探しじゃつまらないでしょ? 実は鍵には『兄者』とか名前が書いて
     あってね。自分の名前が書いてある鍵の錠が開けられたらその瞬間書かれてた人は
     即刻退場アンド罰ゲームってことにしたんだ。燃えるでしょ?」
(;^ω^)「……罰ゲームって」
(*゚ー゚)「それは秘密。でも内藤君たちには罰ゲームは無いから安心して良いよ。あ、あとねぇ、
     兄者たちが鍵とは違うフロアに移動すると本人に警告がされて、その10分以内に
     元のフロアに戻らないと鍵を開けられるのと同じ事が彼らに起こるようにしてあるんだ。
     鍵が移動された時なんてもっと酷いよ。今度は10分以内に鍵を元のフロアに戻さなきゃ
     駄目なんだ。どう? 結構サービスしてみたんだけど」
(;^ω^)「しぃ、僕達はそんなことを――」

ブーンが何かを言おうとしたところにチャイムの音が邪魔をした。
そこでブーンは急に現実を思い出す。



136: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:43:52.44 ID:8N3abdHZ0
  
( ^ω^)「そ、そうだお! 学校にはまだまだ人がたくさん居るし、先生だってその内来るお!
      警察が来ることだって、だから――」
(*゚ー゚)「全員帰したよ」
( ^ω^)「は?」
(*゚ー゚)「校長先生に少し強めにお願いしたんだ。全員帰らせてねって。だって邪魔されたら
     つまらないじゃん。後はこの学校の周りをボクがちょ〜っといじって気付かれないように
     すれば完成って訳」
( ^ω^)「……なんでだお?」
(*゚ー゚)「え? だから邪魔されたらいろいろゲームに支障が出るじゃない」
( ^ω^)「……なんでここの皆を殺したんだお?」

静かにだが、ブーンは怒っていた。理不尽に殺されたクラスメートの無念さを考え、やりきれない
気持ちで胸がはちきれそうになっていたのだ。

(*゚ー゚)「……だって、皆危機感無いままやっても本気にならないじゃん」
( ^ω^)「…………」
ξ゚听)ξ「酷い……」

目の前に居るのはしぃなんかじゃなく、しぃによく似たロボットだとブーンは思った。あのしぃが
こんなことを軽々しく言うわけが無い、こんなことを平気で言えるわけが無い、と。



137: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:45:15.48 ID:8N3abdHZ0
  
(*゚ー゚)「うんうん、酷いよね。でもね、世の中こんなもんだよ。現実に起こりようが無いこと以外
     ありとあらゆること、すべてが起こっているんだよ。例えそれがどんなに酷いことでも」
( ^ω^)「だからって、しぃがそんなことしていいわけじゃないお……」
(*゚ー゚)「……話が長くなったね、質問はある?」

質問はあるかと聞かれ、皆互いに顔を見合わせながら思案をめぐらせた。
しかし、急に訊かれた為か誰も質問が思いつかない。

(*゚ー゚)「無いなら始めようか。ボクが出て行ってから30分時間をあげるよ。1分前までドアは
     開かないけれど、誰も攻めさせないようにするからじっくり話し合ってよ」
('A`;)「ま、待てよ」
(*゚ー゚)「何?」
('A`;)「武器も持って無い俺たちがあんな奴らとどう戦えって言うんだよ!」
(*゚ー゚)「力があるじゃん」
('A`)「力?」
(*゚ー゚)「全然知らないんだね。兄者ももうちょっとサービスしてあげればいいのに。じゃあボクが
     少しだけ教えてあげるよ。あのねぇ、ドクオは自分で認めない限り痛みを感じないし、
     ツンは攻撃するイメージを持つとその凶器に近寄れなくなるんだ。後は……ふふ、秘密」
('A`)「……なんでそんなことを知ってるんだよ」
(*゚ー゚)「それも秘密。それじゃあ頑張ってね」
('A`;)「お、おい!」

笑顔のまましぃはこちらに向かって手を振ると、そのまま教室から出て行った。
そして教室に訪れる沈黙。ついさっきまでいつも通り退屈な授業を受けていたはずなのに
急に死と直面しているなんて誰もが信じたくないことだった。現状を飲み込もうとするだけで
精一杯なのだ。これから先どうやって戦っていくかなんて考える余裕がまるで無い。



138: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:46:36.11 ID:8N3abdHZ0
  
('A`;)「と、とにかくなんか話し合おうぜ。このままじゃ時間が来ちまう」
ξ;゚听)ξ「話すって何をよ」
(;^ω^)「とりあえずみんなの現状を把握するお」
(´・ω・`;)「……ねぇ、一体何がどうなってるの?」
(;゚∀゚)「俺もさっぱりだ。誰か説明してくれよ」
('A`;)「とりあえず今分かることを全部整理しようぜ」

 先ずはそれぞれの力について整理した。しぃの言ったことが確かなら、ドクオは自分が
認めなければ痛みを感じないし、ツンは攻撃するイメージを持つとその凶器に近寄れなくなる
ということだった。残った三人に関しては、ブーンは刃物の切れ味が極端に悪くなることが
分かっていたが、ショボンとジョルジュは自分には何も変わった事が無いと言う。
最悪の場合何も持ち合わせていないと言うことも考えられた。
それに対して敵の力は錚々たる物だった。先ず兄者の剣に弟者の弓、クーが出す無数の
ナイフや、しぃのなんでも出来そうな反則技まである。これにはさすがに皆が阻喪した。

 次に×印の位置を確認した。それぞれが忘れないように携帯で写真を撮ったりメモを取ったり
しておいた。勿論これを後で確認できるかどうかは別問題として。
この時一緒にあることに気付く。しぃの説明を受けていた時は気付かなかったが、×印以外にも
いろいろなことが黒板には書き込まれていた。
例えば『ラッキーゾーン』という書き込み。特定の部屋の枠の中にラッキーゾーンと書かれており
そこから線を引いて『ここに入ると敵の攻撃を防げるよ(*゚ー゚)』と書いてあった。
勿論それが本当かどうかは分からない。けれども憶えておいて損は無いだろうとブーン達は考えた。



141: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:47:43.80 ID:8N3abdHZ0
  
('A`;)「なんか俺すげードキドキしてきた」
(´・ω・`;)「……」
(;^ω^)「……」
(;゚∀゚)「俺たちさ、死んじゃうのかな」

死ぬなんて自分以外の誰かが不幸に巻き込まれて起こることだと思っていた。自分にも
死が訪れるなんて考えたことも無かったし、想像も出来ない。

(;^ω^)「……死にたくないお」
('A`;)「俺だって」
(´;ω;`)「うっ……うぅ……」
(;゚∀゚)「……」
ξ#゚听)ξ「何よあんた達さっきから! そんなこと言ってたって始まらないでしょ!」

湿った空気にツンが喝を入れた。しかし、それでもジメジメとした雰囲気はまるで消えない。

(´;ω;`)「そんなこと、ひっく! ……言ったっ、てぇ、無理だよ……えぐっ、ひっく」
('A`;)「ツンは怖くねーのかよ」
ξ#゚听)ξ「怖いに決まってるでしょ! だから何とかしなきゃいけないのよ! ただ困って
        いるだけの方がもっと怖いのに何で気付かないのよ!」

その一言に皆が黙り、耐え切れずに漏れるショボンの嗚咽だけが教室に小さく響く。



145: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:49:05.15 ID:8N3abdHZ0
  
( ^ω^)「確かにツンの言うとおりだお……一刻も早く対策を練るべきだお」
( ゚∀゚)「……だよな。それに、きっと今に俺がすごい技身につけるからよ!」
('A`)「へ、お前は特にしょーも無いようなのを身につけそうだな」
(´・ω・`)「袋とじの透視、とか?」
ξ゚听)ξ「あんたそれ位ハサミで切りなさいよ」
(;゚∀゚)「ちょ、確定かよ!」

小さいながらとても暖かい空気が湧き上がってきた気分だった。
そうして和らいだ空気を皆が一度吸い込み、頭を切り替える。

('A`)「さて、だ。先ずは固まるかバラけるかだな。効率から言えばバラけた方が勿論いいだろうが……」
( ^ω^)「僕達の力を考えると個別じゃ間違いなくやられるお」
( ゚∀゚)「でもよ、固まったところで何が出来るんだ?」
(´・ω・`)「……」
ξ゚听)ξ「この際、その力ってのは無視した方がいいわね」
( ゚∀゚)「かもな。役に立ちそうなのはドクオのくらいなもんだしな」



146: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:49:51.92 ID:8N3abdHZ0
  
(´・ω・`)「あのさ、自分の名前が書かれてる鍵を開けられたら即刻退場って言ってたよね」
('A`)「あぁ、言ってたかもな」
(´・ω・`)「と言うことはスタートダッシュでどれか1つ鍵をいち早く開けちゃえば戦力は減るんじゃない?」
( ゚∀゚)「鍵を別フロアにどうのこうのってのはどうなんだ?」
('A`)「あいつら相手に10分逃げれると思うか?」
( ゚∀゚)「だよな……で、鍵を開けるとなると狙うのは誰だ?」
('A`)「恐らく兄者か弟者だな。特に弟者は飛び道具だから廊下で出くわすとヤバい」
( ゚∀゚)「クーは?」
ξ゚听)ξ「多分クーはあまり好戦的じゃないと思う」
( ^ω^)「確かに……クーは僕を助けてくれたお」
('A`)「でもよ、クーだって味方じゃないんだぞ? ……まぁ、最初に狙う相手じゃないって感じか」
( ゚∀゚)「あれ? でもどこに誰の鍵があるかなんてわかんなくね?」
( ^ω^)('A`)(´・ω・`)ξ゚听)ξ『あ……』



147: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:50:36.61 ID:8N3abdHZ0
  
('A`)「じゃあ鍵の位置で決めるしかないな……」
( ^ω^)「ここから近いところにあるのか、玄関に近いところにあるのかのどっちかがいいお」
ξ゚听)ξ「私は玄関に一番近いのがいいと思う。鍵を持ってる限り狙われるのは確実だから」
( ゚∀゚)「言えてるな。鍵を持ってる時間はなるべく短い方がいいな」
('A`)「となると……一階の家庭科室だな」
ξ゚听)ξ「それでも結構あるわね……」
( ^ω^)「ここに行くまでにも誰かと会いそうで怖いお……」
(´・ω・`)「それに一人倒したくらいじゃ終わらないし、ここから先の事も考えなくちゃ……」
( ゚∀゚)「玄関行ったら全員待ち伏せしてました、とかな」
('A`;)「……」
(;^ω^)「もうどうしたらいいのか分からなくなってきたお」
ξ゚听)ξ「しっかりしなさいよ!」
('A`;)「怖いものは怖ぇんだよ」
ξ#゚听)ξ「何言ってんのよ!」

大声を出したかと思うと、ふっと力を抜いてツンは呟く。

ξ゚听)ξ「私なんて戦うことすら出来ないのよ……」
('A`;)「あ……いや、その……」

攻撃する意思無しに凶器を持って何の足しになるというのか、能力は少なからず地の力に
プラスの何かを与えていると言う認識をしていたドクオはそこで言葉を詰まらせる。



148: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:52:08.14 ID:8N3abdHZ0
  
(;゚∀゚)「た、盾とかさ、防御のためなら……」
(;^ω^)「ジョ、ジョルジュ」
ξ )ξ「別にいいわよ……」

改めて自分の無力さに気付いたツンは俯いて黙りこくってしまう。
そんなツンを黙って見つめていたショボンが、そっと肩に手を置いて語りかける。

(´・ω・`)「ツン、大丈夫だよ。皆が居るんだもん、きっとなんとかなるよ」
ξ゚听)ξ「……ふん、別に。さっきあんなに泣いてたショボンに慰められるなんてね」
(´・ω・`)「やめてよ、恥ずかしい」

2人笑いあう様子を見て、残りの男連中もホッと胸を撫で下ろした。

('A`)「腐っても兄貴だな」
( ゚∀゚)「末はホストかヒモ野郎か。1号はめでたくツンになったわけだ」
(´・ω・`)「それじゃあ、調度家も焼けたしツンのところに行こうかな」

一瞬空気が凍った。

ξ゚听)ξ「ショボン、笑えない」
(´・ω・`)「ごめん」
(;^ω^)「そんなこと言ってる場合じゃないお、もうそろそろ時間無いお」

時計を見るとしぃが立ち去ってから既に20分は経っていた。
もうすぐ始まってしまうのかと皆の顔に俄に焦りが見え始める。



149: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:52:44.52 ID:8N3abdHZ0
  
('A`;)「えーと、どうすることになったんだけ?」
(;^ω^)「とにかく家庭科室に行って鍵を開けて、その後は……ここに行くお」

ブーンが指差したのは玄関を挟んで家庭科室と反対側にある保健室だった。

('A`)「ラッキーゾーンってやつか? 信用できんだかな」
(´・ω・`)「それにここに入った後、どうやって出るかだよね。ドアの前で待ち伏せされたらお終いだよ」
( ^ω^)「それでも廊下に立っているよりはマシだお」
( ゚∀゚)「だな」
ξ゚听)ξ「じゃあ時間になったらまず家庭科室まで皆でダッシュって事?」
('A`)「時間も無いしとにかく今はそれだな。後は保健室で決めよう」
(´・ω・`)「うまくいくかな……」
('A`)「……さあな」

時計の針がチクタクと時を刻む度に心臓が締め上げられるような思いだった。皆そわそわとして
まるで落ち着きがなく、意味も無く辺りをウロウロしたり黙って床を見つめたり、各々が迫り来る
その時に押し潰されぬよう必死だった。
そして残り3分を切ったところで皆が無言で視線を交わしドアの前に集合した。



150: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:53:24.40 ID:8N3abdHZ0
  
('A`)「中央階段な」
( ゚∀゚)「オッケー」
(´・ω・`;)「心臓が……」
('A`)「とにかく最初に着いた奴がそのまま玄関に行って開錠な」
( ^ω^)「みんなちょっといいかお?」
ξ゚听)ξ「なによこんな時に」
(´・ω・`;)「そうだよ、もう時間が」
( ^ω^)「ツンにはそのまま保健室に向かってもらいたいんだお」
ξ゚听)ξ「……なんでよ」
( ^ω^)「時間が無いから言葉を選ばないけど、ツンが最初に着くとは思えないお」
('A`)「いいぜ、わかったこうしよう。とにかく皆家庭科室に雪崩れ込んで鍵を探す。見つけたら
   叫ぶ。そしたら中に居た奴が全部玄関に向かう。ツンは一緒に家庭科室を目指すけど
   途中一人だけ別れて保健室に。いいか?」
(´・ω・`)「よくわかんないけどいいよ」
( ゚∀゚)「こんな切羽詰ってる時に追加かよ」
( ^ω^)「それでいいかお? ツン」
ξ゚听)ξ「いいわ」

そして時間が残り1分を切り、皆が自然と無言になる。

('A`)「ドア、開けとくぞ」

ドクオがゆっくりとドアに手を掛け開けた。一瞬身構えたが、誰かが居るということは無かった。



151: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:54:05.62 ID:8N3abdHZ0
  
( ゚∀゚)「俺きっと今までで最高のタイム出るぜ」
(´・ω・`)「ぼくも」
( ^ω^)「……お」
ξ゚听)ξ「……」
('A`)「あー心臓いてぇ」

そう言うとドクオがチラリと腕時計を見た。

('A`)「カウント行くぜ」
(;^ω^)「っうぇ」
(;゚∀゚)「嘔吐くなって」
(´・ω・`;)「……」
ξ;゚听)ξ「……」
('A`)「10……9……8……」

カウントが進むたびに「待って」と言いたくなる気持ちを抑えながらブーンは必死に前を見た。
頭の中で廊下を走る自分がグルグルとしている。運動会の100m走の時と、この感覚は似ている。



152: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 01:54:57.03 ID:8N3abdHZ0
  
(;^ω^)「……(目眩がするお)」

ブーンの中で色々な思考が駆け巡っていた。

――途中で誰かと出会ったら僕はどうすればいいのか、でも皆が居れば何とかなるかもしれない、
自分が最初に攻撃されたら、もし死んだら

('A`)「5……4……」

――足がガクガクしてくる、叫びたい、心臓が口から出そうだ、あと3秒、考えられない、走る、
走る、走る、走れ、転んだら、置いていかれたら、考えない、もうすぐだ、助けて、待って

('A`)「3……2……」

あああああああああああああああああああああ――――

('A`)「1……っけぇぇぇぇぇぇ!」
(;゚∀゚)「ッ!」
(´・ω・`;)「……!」
(;^ω^)「……っ!」
ξ;゚听)ξ「!」



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