こちらスネーク、ラクーンシティに潜入した。

32: 1 ◆uOC5Omg9jw :2006/07/01(土) 02:10:03.41 ID:dZ41Zwor0
2人は橋のほうへと向かっていく。
橋の上には乗り捨てられた車が多々あったが、どれもこれも大破、中破していて走行は難しいと思われた。
「スネーク、あれなら使えるんじゃない?」
ジルが指差す先には白バイが横倒しになっていた。スネークは白バイに近寄ると、それを力いっぱいで起こす。
大型のバイクだった。幸い鍵は差し込んである。
スネークはそれをまわすと、バイクは勢いよくエンジンをふかす。
「俺が運転する。乗れ」
スネークはバイクに跨ると、ジルを促した。
「しっかりつかまれ」
ジルは返事はしなかった。腕をスネークの腰に回し、振り落とさぬようにしがみつく。
スネークはスロットルを最大に振り絞ると、白バイは一瞬前輪を浮かせ、猛スピードで疾走をはじめた。
壊れたまま停車させてある車を蛇行しながら避けて走る。
橋を渡りきり、白バイは開けた市街大通りに出た。やはりあちこちに感染者が徘徊している。
スネークは運転しつつも、あちこちを見回していた。ふっと緑の標識でハイウェイへの方向へと誘導する看板が目に留まる。
スネークは標識の促すままにハイウェイに侵入する。やはりハイウェイも同様に、乗り捨てられている車両が多々あった。
そのときだった、大学と市街地をまたがってかかる橋の真下にある川が突如として波を轟音とともに荒立て始めたのだ。
「スネーク!あれ見て!」
白バイの風を切る音とともに、ジルが声を張り上げる。
指差す先には氾濫している川が見て取れた。水位はみるみるうちに上昇し、あっという間に堤防を乗り越え、市街地に侵入していく。
ハイウェイの高架橋にも波が直撃し、左右に揺さぶられる。
スネークは白バイを、市街地の臨める位置に停止させた。するとすでに市街地は水浸しになっていた。
完全に街は水没していたのだ。
「なぜこんなことに・・・」
スネークがつぶやく。



33: 1 ◆uOC5Omg9jw :2006/07/01(土) 02:10:34.18 ID:dZ41Zwor0
「多分、ダムが決壊したのね」
「記録的豪雨というわけでもないのにか?」
「・・・これは憶測だけど・・・アンブレラか何者かが街を破壊するためにダムを破壊したんじゃ・・・」
「どのみち核攻撃でこの街はあとかたもなく吹き飛ぶ」
2人の間に暫くの沈黙が漂ったが、それは轟音とともに破られた。
音の方向へと2人が目をやる。そこにはずんぐりとした大型ヘリコプターが2機、目にとまった。
左右に短い翼が伸びていて、その下にロケット弾などの武装がされている。Mi−24ハインドという旧ソ連の攻撃ヘリだ。
攻撃ヘリとは言っても、中には10名弱の兵員が輸送でき、装甲も通常のヘリとは比べ物にならないほど頑丈なものになっている。
機体中央のドアには赤色で星が一つ記されていた。ソ連の紋章だ。
2機のヘリはそのまま山岳部へと飛び去っていってしまった。
そのすぐ後だった、スネークたちの停車している位置からそう遠くない前方の合流地点から数十両にのぼる車列がハイウェイへと侵入してきた。
サービスエリアに待機していたと思われる。
先頭車両はUAZという、これもやはりソ連のジープであった。ボンネットには同様にソ連の赤星が記されている。
後続に続く幌付きのトラックの中にはロシアの迷彩服に身を包んだ兵士が垣間見えた。
警察署を襲撃したときと同じ兵装だ。ゴルルコビッチの兵だろう。
「やつら・・・こんなに兵士をかかえもっていたのか・・・」
スネークがつぶやく。
車列は計20両近くあると思われた。
「ヘリに車列に、戦争でも始めるつもりなのか・・・?」
スネークは車列を全て見送ると、バイクを走らせ後をつけていく事にした。
見つからぬように一定の間隔をおいて走行をする。
すると、いくつかのインターチェンジを経て車列がハイウェイを降り始めた。やはり目的は新型メタルギアと思われる。
市街地からそれなりに離れているのだろう、すでにあたりは山岳地帯になっていた。先ほどの洪水もほとんど見られなくなっている。
山岳地帯から切り立つように建設されている建物が2人の目にとまった。
「あ!あれ!」
ジルが声を張り上げた。



34: 1 ◆uOC5Omg9jw :2006/07/01(土) 02:10:51.92 ID:dZ41Zwor0
「ん?知ってるのか?」
「え、えぇ・・・以前警察の資料を読み漁っていたら、アンブレラは軍の旧施設を徴用して研究をしているという情報があったの」
スネークがほう、と相槌を打つ。
「それで、場所を調べてみたんだけど、市からそう遠くない場所にあると記載されてあって、S.T.A.R.Sのメンバーで捜査に乗り込もうとした矢先、この事件があって・・・多分、あそこがその施設なんでしょうね」
会話を続けながらもスネークたちはらせん状になるハイウェイを降りていく。
山岳地帯を進むにつれて、爆音が近づいてくるのが2人は判った。ヘリのローター音にまざり、明らかに銃声や爆発音と思われるものまであたりには響き渡っている。
2人の白バイがハイウェイを降りた直後であった、ハイウェイの支柱部分が爆音とともに、一斉に砕け散った。
ハイウェイはまるでドミノ倒しのようにしてばたばたと倒れだした。
ダムを破壊したのはおそらくゴルルコビッチの部隊で、陸路から相手の軍の増援をよこさせないためにするための策だと予想できる。
「ジル、降りる準備をしておけ」
スネークは言いつつ、あたりを見回しはじめた。
「いまだ、降りろ」
同時に白バイは一気に速度を落とす。
スネークはジルが降りたのを確認すると、適当な窪地に白バイを横倒しにして、その上に草木を覆い被せる。
あちこちから銃声が響き渡っている。旧基地の上空にはハインドがぐるぐると旋回している。まるで獲物を探している鷹のようだ。
基地の方へと進めば進むほど、死体の数が増加している。
ハンクの情報通り、ここの護衛はアンブレラの傭兵が周囲の防衛を任されているようだった。
ゴルルコビッチの兵も、アンブレラの兵も、体のあちこちに弾痕をちらつかせ、事切れている。
2人は大木を盾にしながらも、着実に基地へと接近していく。
「ジル、その服じゃ目立つ」
スネークが顔をしかめながら言う。
確かに森の中で黒のタイトスカートに青のタンクトップでは、見つけてくださいといっているようなものだ。
「仕方ないでしょ、これしかないんだから。それともここで脱げって言うの?」
スネークは困った表情をしながらも、少しにやつく。
「あぁ、出来ればそうしてもらいたい」
「は?」
「勘違いするな、死体から服をはぎとれということだ」



35: 1 ◆uOC5Omg9jw :2006/07/01(土) 02:11:12.02 ID:dZ41Zwor0
ジルはあからさまに拒否の色を見せる。
「むりよ、そんなこと」
「その服じゃ狙い撃ちにされる。上からでいいから着ろ」
ジルはまだ納得のいかないという表情を浮かべている。
そうしつつも、ジルはゴルルコビッチの兵士のなきがらへと歩みを進め、衣服を脱がせ始めた。
死体にはラクーンシティで慣れていたにしても、やはりつい先ほどまで生きていた人間のものを剥ぎ取るという行為はそうやすやすとできることではなかった。
ジルはしぶしぶとその作業を終えると、迷彩服を着用し、スネークの元へと駆け寄る。手にはAK-74が握られていた。
「扱い方は判るのか?」
「これでも特殊部隊よ」
ジルは胸をはって主張する。
「そうか」
2人は会話を中断し、さらに基地の方へと進んでいった。
既に基地の外壁は目視できるほどにまでなっていた。周囲は完全にフェンスで囲まれているようだったが、そのいくつかはすでに破られている。
ゴルルコビッチの兵たちが侵入をはじめたのだろう。
「まずいな・・・やつらにアレが渡ると・・・」
スネークは毒づいた。
前後左右、上空を確認しながら2人はフェンスを潜り抜け、中へと侵入していく。
旧基地といっても、ハンクの言っていた通り、外見はまるでトーチカのようだ。
中も使い古されているというよりは、整備が行き届いているようで、未だに現役を退いていないという感を残している。
といってもアンブレラが使用しているのだから未だに現役なのだが。
中は殺風景な通路がまるで迷路のように入り組んでいた。
2人は最初の十字路に差し掛かったときに、いったん停止をした。
「これじゃぁどっちか判らないわ・・・」
ジルが落胆の表情を浮かべながら言った。
「ジル、周囲の見張りを頼む」
スネークは耳に手をあてながら、その場にしゃがみこんだ。



36: 1 ◆uOC5Omg9jw :2006/07/01(土) 02:11:33.82 ID:dZ41Zwor0
「オタコン、聞こえるか」
「なんだい、スネーク?」
「俺の今いる基地の配置はわかるか?」
オタコンは黙り込んだ。
「すまない、そこの基地は何度も改築されていて、一番新しい構図を持ってきたとしても──」
スネークはさえぎる。
「そうか、悪かったな」

スネークはおもむろに立ち上がり、壁によりかかる。
「クソ、ここまできて何も出来ないとは・・・」
ジルは何も言えずに、ただ俯くだけであった。
「助けて欲しいか」
聞き覚えのある、電子音のような声が2人の耳に届く。
2人はふっと顔をあげ、声の主を確認する。
グレー、赤、白の三色のみで彩られたいかめしいスーツ、日本刀。
サイボーグ忍者であった。
ジルがAKを構え、警告も無しに発砲をした。
「よせっ!」
スネークがジルに飛び掛り、銃身に手を乗せ、照準をずらす。だが、そんな行動とは裏腹に、忍者はまるで何事もなかったかのようにしてその場に突っ立ている。
「その程度では俺は死なん」
2人はただ呆然と忍者をながめるしかなかった。
「ついてこい」
忍者はそう言うと、2人を先導しはじめた。



95: ◆uOC5Omg9jw :2007/02/04(日) 20:06:55.79 ID:Z3sL4ev/0
「なんだい、スネーク?」
「俺の今いる基地の配置はわかるか?」
オタコンは黙り込んだ。
「すまない、そこの基地は何度も改築されていて、一番新しい構図を持ってきたとしても──」
スネークはさえぎる。
「そうか、悪かったな」

スネークはおもむろに立ち上がり、壁によりかかる。
「クソ、ここまできて何も出来ないとは・・・」
ジルは何も言えずに、ただ俯くだけであった。
「助けて欲しいか」
聞き覚えのある、電子音のような声が2人の耳に届く。
2人はふっと顔をあげ、声の主を確認する。
グレー、赤、白の三色のみで彩られたいかめしいスーツ、日本刀。
サイボーグ忍者であった。
ジルがAKを構え、警告も無しに発砲をした。
「よせっ!」
スネークがジルに飛び掛り、銃身に手を乗せ、照準をずらす。だが、そんな行動とは裏腹に、忍者はまるで何事もなかったかのようにしてその場に突っ立ている。
「その程度では俺は死なん」
2人はただ呆然と忍者をながめるしかなかった。
「ついてこい」
忍者はそう言うと、2人を先導しはじめた。



100: ◆uOC5Omg9jw :2007/02/04(日) 20:09:02.29 ID:Z3sL4ev/0
右へ左へ、また右へ左へ。
入り組んだ、まるで迷路のような通路を走る。
先導をする忍者はまるで疲れを知らないようで、ペースを落とさない。
スネークとジルは両者とも息が絶え絶えになり、ペースが落ち始めていた。
「まだなの?」
ジルが早くなった呼吸の合間に、スネークに訊ねる。
「俺に訊くな」
スネークはそういいつつ、また走るのに専念した。
それから暫くして、忍者が不意に立ち止まる。
忍者の奥には下、つまり地下へと続く階段があった。
忍者が振り向く。
「ここの下にアレがある」
忍者はそう言って走り出し、ジルとスネークの間を押しのけるようにして行こうとする。
が、スネークが右腕をつかむ。
忍者は顔だけをスネークのほうへと向けていた。
「なぜお前は生きているんだ」
暫くの沈黙
「いずれ判る。早くしろ、もうじきアレが奪われるぞ」
忍者はスネークの腕を振り払い、またも迷路へと姿を消して行く。
「まてっ!」
スネークの声もむなしく、通路には相変わらず人っこ一人いない閑散とした状況があった。



101: ◆uOC5Omg9jw :2007/02/04(日) 20:10:15.20 ID:Z3sL4ev/0
二人は暗闇へと続く階段へと歩みを進める。
永遠とも思われた階段も、漸く終わりを告げ、踊り場のようなところへと出た。
どうやらここは倉庫、あるいは格納庫のようだ。
そしてスネークたちが立っているところは中二階の通路といったところだろう。
下の倉庫には斑点迷彩、海兵隊の新型迷彩だろうと思われるものを着用している兵士たちが大勢いた。
みな綺麗に整列している。まさに訓練された兵隊だ。
そしてその視線の先には巨大なスクリーンがあった。
そのスクリーンの中には通常のNATO迷彩に身を包む黒人の男がいる。
スコット・ドルフ。
オタコンの提供した情報にあった。海兵隊の司令官だ。
つまりここにいる兵士たちは正規の海兵隊員だろう。
「あれは・・・アメリカ軍?」
ジルが消え入りそうな声で言った。
「あぁ、米海兵隊だ」
「なぜこんなところに?ラクーンでの事件を引き起こしたのは彼らだっていうの?」
まずい、ヒステリックになりかけている。スネークはそう抱懐した。
「大声を出すな、さすがにあの人数を相手にする気はない」
スネークは続ける。
「いずれにせよ米海兵隊がかかわっていたことはまず間違いないだろうが、解決策があってこそだと思う。沈静化する手段がなにかあるのだろう」
差し詰め感染者や街の処理には新型メタルギアを使用するのだろう。
しかしスネークはそれは言わなかった。
「さぁ、行こう」
二人は直線の通路を道なりに進んでいく。



106: ◆uOC5Omg9jw :2007/02/04(日) 20:12:11.65 ID:Z3sL4ev/0
50メートルほどの通路を進むと、ドアに行く手を阻まれた。
が、鍵はかかっておらず、すぐに次にの倉庫へと行く事ができた。
次の倉庫も、先ほどと同じように下の階には海兵隊員がずらりと寸分の狂いもなく整列し、スクリーンを見つめている。
二人はやはり先ほどと同じように先へと進む。
ここにもドアがあり、同じようにかぎはかかっていなかった。
罠かと疑いたくなってしまうほど警備がゆるい。
若干の不安に襲われるスネークだった。
ドアを潜り抜けると、今までとは違った様相を呈していた。
下に並んでいる海兵隊員は30名ほど、1個小隊ほどの人数になっていた。
そして演説をしている司令官はスクリーンの中ではなく、実写になっていたのだ。
その後ろには新型メタルギア、RAYが居座っている。
高さは15メートルほどだろうか。
扇形の腕が申し分けなさそうに内側に引っ込められていた。
「そこで待機していろ」
スネークがジルにそう指示をすると、ジルは一度だけ大きくうなずき、その場にしゃがみこんだ。
スネークが歩き出そうとしたときだった。
後ろから「ひっ」と息を呑む声がスネークの耳に飛び込んできた。
振り向くと、そこにはジルが背後から首をしめられる形で、つかまっていたのだ。
背後に立つのはゴルルコビッチ兵。
兵士の右手はジルの口に当てられ、声を出させまいとしている。
左手はしっかりと銃身を握り締めていた。
スネークは今までレッグホルスターにしまっておいたベレッタを引き抜く。
ジルを盾のようにしてはがいじめにしている兵士に狙いをつける。
が、ジルがじたばたと暴れるたびに双方が揺れ、狙いが定まらない。
ジルの口には相変わらず兵士の手が当てられているため、ンーンーと声にならない声を漏らしていた。
すると、突如としてふっと兵士の手から力が抜け、ぶらんと、まるで縄のように垂れ下がった。
直後、兵士は地面にどさりと倒れこみ、ぴくりとも動かなくなった。
そして兵士の後ろ、そこにはあの忍者が立っていた。



109: ◆uOC5Omg9jw :2007/02/04(日) 20:13:11.77 ID:Z3sL4ev/0
「早くここから逃げるんだ」
忍者が言う。
「しかしメタルギアが」
「アレはヤツらに乗っ取られる」
忍者が刀で下方を指す。
そこには信じられない光景が広がっていた。
壇上の上に二人の男。
壇上の向かって右側、海兵隊司令官、スコット・ドルフ。
そしてもう一方、徐々に司令官に歩みよる初老の男。
長い白髪は後頭部で結んであり、口元には立派なひげがたくわえられている。このひげも頭部の髪の毛と同様に、真っ白だ。
オセロット。
リボルバー・オセロット。
海兵隊員たちが肩からさげていたM4A1を構え、オセロットに銃口を向けている。
司令官とオセロット、二人が何かを話しているようだが、中二階にいるスネークたちには聞き取れないようであった。
「のんびり彼らの茶番を見学している暇はないぞ。もうじきここは爆破される。帰りも誘導する。」
忍者の言っている事が右から左へとぬけて行く。
スネークは相変わらず壇上の上を眺めていた。
「早く逃げましょう!ここにいては死んでしまうわ!」
ジルも忍者に同調する。
「あ、あぁ・・・」
スネークは後ろ髪を引かれる想いだったが、先を行こうとする二人を追った。
ドアを抜けようとしたときだった。
数回、乾いた銃声が倉庫にこだました。
振り返ると、壇上の上に司令官が横たわっていた。
「なにしてるの!早く逃げるのよ!」
ジルの声で、スネークはようやく歩みを進める。



112: ◆uOC5Omg9jw :2007/02/04(日) 20:14:52.57 ID:Z3sL4ev/0
倉庫からの脱出は簡単だった。
一直線だけなので、階段まではすぐにつく。
しかし問題はそこからだった。
またあの迷路のような通路を使って外に出なければならなかったのだ。
行きと同じく、帰りも壮絶に肺に負担をかけることとなった。
相も変わらず忍者は疲れを知らないようだ。
「もうすぐだ。頑張れ」
忍者が一瞬だけ振り向き、マスク越しにくぐもった声で言う。
そうこうしているうちに、ひらけた通路に三人が出た。
もう出口までは100メートルもないだろう。
直後、地響きのような音がする。
同時にとてつもない煙が左右から迫ってきた。
まるで津波か何かを思わせるほどだ。
爆風が背後から迫り、ジルとスネークはそのまま吹き飛ばされる形で出口から出る事となった。
スネークはうつぶせの状態で森に倒れていた。
ゆっくりと上体だけを起こし、左右に視線をやる。
ジルは横たわったまま、動かない。
が、かすかに胸を上下させているのが目にとまる。
まだは息がある。気絶しているだけであろう。
続いて後ろ。
すでに入り口は完全に崩壊していて、もくもくと、火山のように土煙を吐き出している。
すると、その煙が徐々に上空に持ち上がり、さながら核爆弾の地下実験のようになっていた。
てっぺんの方にある煙の間からは鳥のくちばしを思わせる鋭利な三角錐が飛び出している。
扇形の手がうっすらとシルエットのように浮かび上がっている。
メタルギアだ。
メタルギアは颯爽と、その巨大な体を左右に揺らしながら、市街地へと消えていった。
スネークはそれを見送りながら、ゆっくりと立ち上がった。
四方八方を見渡して見たものの、すでに忍者の姿はどこにもなかった。



117: ◆uOC5Omg9jw :2007/02/04(日) 20:16:31.91 ID:Z3sL4ev/0
スネークはジルに歩みより、体を揺する。
するとジルはゆっくりと重いまぶたを開ける。
ジルは思い出したかのように、上体だけを起こした。
「た、助かったの?」
ジルがとぼけた顔でスネークに訊ねる。
「いや、まだだ。早くこの街から脱出しよう。核攻撃がいずれ始まる」
「え、えぇ」
二人はくぼ地に泊めてあった白バイに向かって歩き始めた。



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