こちらスネーク、ラクーンシティに潜入した。

  
835: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/28(水) 19:45:04.35 ID:R+1maE8M0
  
「何だこれは・・・」
スネークは警戒しつつも、その通路に横たわる物体へと近づいた。
一目見て、それが死体やゾンビの類でない事は分かった。
しかし、それ以上に不可解なモノであることも同時に分かったのだ。
それは微妙な光沢を纏いながら、2メートル近い巨体を横たわらす・・・豆腐であった。
異常さを強調するかのように、その豆腐の上には一振りのアーミーナイフまで乗せられていた。



  
845: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/28(水) 20:55:31.89 ID:R+1maE8M0
  
攻撃される危険が無い事は分かったが、同時にいくつもの疑問がスネークの頭をよぎった。
いったい、いつ誰がなんのためにこんな物を置いたというのだろうか?
それ以前に、こんな巨大豆腐をいったいどうやって作ったと言うのだ。
この豆腐だけで1ヶ月生活できるのではないか・・・
想像が妄想の域に達したあたりで、スネークは思考を強制終了させた。
確かに目の前に鋼鉄の門番のごとく構えているものは豆腐だが、
完璧に害が無いとは限らないからだ。
何かの兵器をカモフラージュしてあるのかもしれないし、
生体兵器の一種の可能性も捨て切れない。
ともかく、なんら害の無い一般的な(サイズは規格外だが)豆腐であると分かればいいのだ。
「豆腐で覆うほどのもの・・・まず、爆発物はありえないな」
スネークは呟くと、罠を警戒してアーミーナイフには触れず、
自前のコンバットナイフを取り出し、豆腐に静かに切れ込みを入れた・・・・・・



  
852: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/28(水) 21:37:15.61 ID:R+1maE8M0
  
「何すんねん!」
突如として豆腐が跳ね上がったかと思うと、流暢な関西弁で叫びを上げた。
「人間が潜んでいたかっ!」
さすがに人間が豆腐の中に潜んでいるとまでは想定していなかったが、
それでも警戒していた分、鋭く突き出されたナイフをかわし、
ナイフの射程から離れた後にベレッタを構える余裕はあった。
「動くなっ!さもなくば撃・・・・・・」
しかし、スネークの目は驚愕に開かれ、言葉も同時にせき止められてしまった。
人間が豆腐の中に潜んでいるのなら、豆腐から突き出たナイフを持つ腕が見える事だろう。
しかし、スネークを襲ったナイフは、なんと豆腐の前方でスネークに刃を向け浮かんでいたのだ。
スネークはふと、過去に戦った超能力使いの事を思い出していた。
「サイコマンティスと同類の力・・・?いや、しかし豆腐を身に纏う意味が・・・」
銃口と刃を向け合い、睨み合う傭兵と豆腐。
しかし、その沈黙を場違いな関西弁で豆腐が破った。
「あんさん、バケモンでもないみたいやし・・・アンブレラっちゅートコの兵隊さんでもないみたいやなぁ」
言いつつ、ナイフを体の横側(人間で言う腰の辺りだろうか?)まで移動させていく豆腐。
スネークも、すぐに撃てるよう警戒しつつも銃口を豆腐からそらした。
「おお、銃は怖かったで・・・ところであんさん何モンや?名前は?職業は?っと、
わいから名乗ったほうがええか?わいは豆腐。見てのとおりの木綿豆腐や。で、あんさんは?」
あまりにも簡単に警戒を解いた豆腐に、スネークもつい反射的に答えていた。
「あ、ああ・・・スネーク。ソリッド・スネークだ」



  
861: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/28(水) 22:12:24.91 ID:R+1maE8M0
  
「いや〜、ホンマ1人は寂しかったわ〜。ほんでな、もうこのまま寝続けてやる〜
このまま寝続けて地面と同化したるで〜!とか思ってたんよ。そしたら寝ちまったみたいで
まさかお目覚めにナイフで切れ込みを入れられるとはな〜。ホンマ」
「それで、お前は何者なんだ?」
「切れ込みいれられたときはマジで死を覚悟したわ〜。見てみ。見てみ。
ウエディングケーキみたいにザックリやわ〜」
「それで・・・」
「も〜結婚できへん。顔が傷モンになっちまったら、アブナイ人みたいやんけ〜」
「・・・・・・・・・」
「嗚呼・・・お袋、ワイはそんな道には進んどらんで。親不孝なワイを・・・って
あんさん顔色が悪いで?どっか痛むんか?」
「いや・・・なんでもない・・・・・・」
どうやらこの男(?)は本当に豆腐のようだ。
スネークもさすがに認めざるを得なくなってきた。
動きに無理が無く、声も豆腐の表面が震えて出ているようである。
気づかれない程度に削って食べてみたが、
絹ごしにはない木綿独特の舌触りも確認できた。
「それで、豆腐であるお前がどうして生きて歩いている?何をするつもりだ?」
「良くぞ聞いてくれやした!!!」
スネークの顔を覗き込むようにくの字に曲がっていた豆腐が、一気に跳ね上がった。
もちろん、コースにあったスネークの顔に頭部でアッパーを食らわしつつ。
「幾多の亡者の群れを潜り抜けてひた走る・・・って今度はあご押さえてどないしたん?」
「お前・・・ワザとやってないか・・・・・・?」
「何をや?」
「・・・・・・・・・」
もはや質問をする気力さえ失い、足取り重く歩くスネーク。
その後ろを、プニプニと軽やかな足音を立てて追いかける豆腐。
2人の旅はまだ始まったばかりであった・・・・・・



  
963:木綿豆腐 ◆XIcmd7ufGk :2006/06/29(木) 14:15:58.56 ID:kagmm8Ok0
  
保守ついでに豆腐ストーリーでも書くお
ついでに、このストーリーの位置を(強引に)位置づけるとしたら、
爆破された警察署から公園に向かう途中、ちょっと通った地下道・・・って時間軸だと思ってくれ。

「なぁ、あんさんはどこに行くつもりなんや?」
無機質な蛍光灯の光の下、静寂を破ったのは、やはり豆腐の一声であった。
地下道に入ってからと言うもの、(喋る豆腐との出会いを除けば)何の怪異にも遭遇していないため、
幾分落ち着いた気持ちでスネークも返事をする事ができた。
「ああ、今はラクーンシティ公園に向かっている」
あの巨漢の化け物から逃げ出し、警察官の生き残り達が向かうところとしたら、
まず、ある程度の安全が確保されているところに向かうと判断したからだ。
例え、アンブレラによる襲撃を受けていたとしても、
装備の補充などの面から、行っている可能性は非常に高かった。
「あんさんほどのアダルティーが・・・こんな非常時に公園で・・・・・・」
豆腐の呟きは無視して、今度はスネークが質問をする。
「さっきは聞きそびれたが・・・お前はどこに向かっているんだ?」
スネーク自身、ほとんど返事は期待していなかったが、以外にもあっさりと返事は返ってきた。
「そりゃ警察署しかないやろ。非常時くらいは有効活用せな税金の無駄遣いやないか」
豆腐に納税の義務があることにも驚いたが、それよりも、
「警察署は反対側だ」
「ほんかまか。そいじゃ短い付き合いやったが・・・」
さっさと元来た道を駆け戻っていく豆腐。
「そして、行っても無駄だ。数分前にギネス記録のキャンプファイアーになっちまったよ」
突如動きが停止し、上半分をねじる豆腐。
どうやら振り向いているらしかったが、街中に置いてある奇怪な芸術品に見えなくも無い。
「・・・いじわる」
豆腐の表面は、涙をたたえるようにうっすらと湿っていた。





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