o川*゚ー゚)o 物語は不思議な壺から飛び出してきたようです・番外編
本編はこっち:( ・∀・) 物語は不思議な壺から飛び出してきたようです
- 57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:04:43.77 ID:e07ztftgO
- 幼い頃の私はお父さん子で、彼の膝の上を自分の指定席のようにしていた。
伝記作家をしていた父はそんな私の頭を優しく撫でてくれたものだ。
(,,゚Д゚)「よし、今日は願いを叶える不思議な壺の話でもしようか」
o川*゚ー゚)o「わくてか!」
父は様々な物語を子供向けに分かり易く話してくれる。
その中には、願いを叶える代わりに人間を閉じ込めてしまう、
不思議な壺についての物語も含まれていた。
o川*゚ー゚)o 物語は不思議な壺から飛び出してきたようです・番外編
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] :2008/08/31(日) 18:06:21.23 ID:e07ztftgO
- 閉じ込められる事と引き換えに願いを叶える壺。
父の話の中に出てきたそれは、実在のものだった。
o川*;ー;)o「……を………して!!」
私がその壺に何を願ったのか、それは記憶から抜け落ちてしまったので分からない。
壺が現れる直前に起きた辛い出来事に関連した願いだった気がするが、
もはや私にそれが何だったかを知る術は無い。
壺に入ると意識が曖昧になり、時間の感覚がめちゃくちゃになる。
o川*゚−゚)o「……」
徐々に記憶が抜け落ちていっていることに気付いたのは、
初めて壺を呼び出される少し前のことだったか。
- 59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:07:28.06 ID:e07ztftgO
- 様々な人の前に壺は姿を現した。
私はそうして出会った人々に対し、願いを叶える代償について正直に伝え続けたため、
いつまで経っても壺から解放されることがなかった。
o川*゚ー゚)o「もう何年経ったのやら。
壺の中では年をとらないのは救いなのか、その逆なのか」
時と共に記憶はどんどん崩れていく。
だが、私はそれでもいいと思っていた。
誰かを犠牲にして助かるぐらいならいっそこのままでもいいと、そう考えていた。
彼女に会うまでは。
- 60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:09:13.09 ID:e07ztftgO
- 壺を開けた人がとるリアクションは大きく二通りに分類できる。
大きく慌てるか、平静を装いつつ疑いの目で見てくるか、といった具合に。
これらのリアクションをとる人々に共通しているのは、
事態をすんなりと受け入れられていないという点。
しかし十人に一人ぐらいは私の存在を自然に受け入れる変わり者もいる訳で、
ξ゚听)ξ「ふーん、願いを叶える壺、ねぇ」
どうやら彼女もそんな人種のようだった。
- 61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:12:52.87 ID:e07ztftgO
- 彼女は自らをツンと名乗った。
美人で、お金持ちの家の子で、澄んだ声をしていた。
ついでに治療法の見つかっていない病を患っていた。
ξ゚听)ξ「しまいには身体中が麻痺するんだって」
o川;゚ー)o「えっと、その」
ξ゚听)ξ「無理に励ましたり哀れんだりする必要はないわ。
そんなのはもう、お腹一杯」
o川*゚ー゚)o「そう……なんでしょうね」
ベッドを囲む友人や親戚。
口を揃えて憐れみの言葉を投げかける。
初めは良くっても、その内うんざり。
そうなるのだろうということは、想像できなくもない。
- 62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:14:42.89 ID:e07ztftgO
- o川*゚ー゚)o「壺の力で病を治したらどうでしょう?」
ξ゚听)ξ「少しはそれも考えたんだけど、やっぱり止めとくわ。
私には、どうしても忘れてはいけないことがあるから」
o川*゚ー゚)o「どうしても忘れてはいけないこと?」
それは果たして自分自身の健康よりも大切なことなのだろうか。
彼女にそう尋ねようかとも思ったけど、それはあまりに残酷な問いのような気がして、止めた。
ξ゚听)ξ「ごめんね」
o川*゚ー゚)o「えっ?」
ξ゚听)ξ「貴女を救えなくてごめんね」
o川*^ー^)o「ああ、そのことなら気にしないで下さい。
とうに慣れ切ってますから」
そう言ってから、少し後悔した。
どこか嫌みったらしい言葉を言ってしまった気がしたからだ。
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:16:29.23 ID:e07ztftgO
- ツンさんは自宅療養中の身である。
だから私は誰かが訪ねて来た時だけ壺に身を隠しつつ、
彼女の部屋で彼女と共に日を潰していた。
ξ゚听)ξ「一ヶ月経てば貴女はどこかへ行っちゃうのよね?」
o川*゚ー゚)o「ええ、もう二週間経ったので、ちょうど折り返しですね」
ξ゚听)ξ「ふーん」
o川*゚ー゚)o「もしかして、ちょっと寂しかったりします?」
ξ゚听)ξ「別に……」
ツンさんはそれっきりそっぽを向き、黙りを決め込んでしまった。
- 65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:18:40.26 ID:e07ztftgO
- それから一週間が経ったある日のこと。
ξ゚听)ξ「キュート、出掛けるわよ」
ツンさんが珍しい提案をしてきた。
o川*゚ー゚)o「私は別にいいんですけど、貴方の体力は大丈夫なんですか?」
ξ゚听)ξ「なんとかなるわよ、多分」
o川;-ー)o「多分、ねぇ」
ξ゚听)ξ「書き置きは残したし、早速出発しましょう」
o川*゚ー゚)o「へっ? 書き置き?」
ξ゚听)ξ「親に黙って出てくからね」
o川;゚ー)o「やややヤバいですよそれは、きっとご両親は凄く心配しますよ!」
ξ゚听)ξ「そうね、心配するでしょうね」
o川;>ー)o「だったら―――」
ξ ー )ξ「でも、もう決めちゃったから」
瞬間、ツンさんが浮かべた笑みは、どこか儚げで。
その癖強い何かを秘めているようでもあって。
私は、何も言えなくなった。
- 66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:21:04.96 ID:e07ztftgO
- ξ゚听)ξ「そういえば壺はどうしたの?」
o川*゚ー゚)o「布に包んで背中にしょってますよ」
ξ;゚听)ξ「本当だ、いつの間に」
o川*゚ー゚)o「持ってた方が落ち着くんですよね」
私達は現在、玄関へと向かっている。
初めて歩き回る彼女の家はとても広く、まるでお城のようだった。
ξ゚听)ξ「お父様もお母様も働きに出ているから、今なら見つかる心配はないわよ」
o川;-ー)o「見つかる心配だなんて。
なんだかこれから非行をしようとしているかのようなセリフですね」
ξ゚听)ξ「実際そうなのかもね」
o川;゚ー)o「まったくもう、そうまでして外出だなんて、一体どんな目的があるのやら」
ξ゚听)ξ「それは秘密かな」
o川;-ー)o「どけちー」
- 67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:24:08.72 ID:e07ztftgO
- 玄関のドアを開けると、まず第一に眩しい陽の光を感じた。
久しぶりの直射日光だ、とても気持ちがいい。
私は意気揚々と、外に繋がる門の方へと足を進めた。
ξ゚听)ξ「ねえキュート、少しだけ時間を頂戴」
ツンさんが突然そんなことを言った。
断る理由もないので素直に頷く。
ξ゚听)ξ「立った状態で家をもう一度しっかり見ておきたくて」
彼女はそんなことを言いながら振り返り、屋敷をじっと眺め始めた。
私は手持ち無沙汰になったため、ただただぼーっとしていた。
ξ゚听)ξ「ありがとう、もういいわ。行きましょう」
o川*゚ー゚)o「はーい」
- 68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:26:53.37 ID:e07ztftgO
- o川*゚ー゚)o「ところでツンさん、これからどこに行くつもりなんですか?」
ξ゚听)ξ「海、かな」
o川*゚ー゚)o「ここからどのぐらいの距離に?」
ξ゚听)ξ「バスで一時間もかからずに着けるぐらいね」
o川*゚ー゚)o「ばす?」
ξ゚听)ξ「大きくて便利な乗り物」
ばすというのは乗り物の名前なのか。
どんな形をしているのか気になるなぁ。
- 69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:29:23.90 ID:e07ztftgO
- 残念なことにばすとやらは、想像した程格好良くなかった。
その上、その上……、
o川; ー)o「気持ち悪い」
ツンさんが言うに、私はくるまよいとやらになってしまったらしい。
ξ;゚听)ξ「バスから降りたらしばらく休憩しましょうか」
声に出して返事をする気力も無く、私は黙って頷いた。
なんてこったい。しくしく。
- 70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:32:32.49 ID:e07ztftgO
- それから少ししてばすは目的地に着いた。
私はばすを降りてすぐの場所にあったベンチに寝転がり、新鮮な空気をお腹一杯吸う。
o川*゚ー゚)o「ちょっと楽になったかな」
もう少しこうしていればすぐに調子もよくなるだろう。
目を瞑って風を浴びていると、なんだかさっきまでの気持ち悪さが嘘みたいに思えてくる。
と、頬に冷たいものを押し当てられる感触がした。
目を開けると、ツンさんが缶ジュースを押し当てている。
ξ゚听)ξ「オレンジで良かった?」
o川*゚ー゚)o「ありがとうございます」
ξ゚听)ξ「別にお礼を言われる程のことじゃないわよ。
そんなことより、ちゃんと缶の開け方は分かる?」
o川*゚ー゚)o「前に壺を開けた人がよく飲ませてくれたので」
ξ゚听)ξ「ふーん」
- 71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:34:30.64 ID:e07ztftgO
- 休むこと十分弱、気持ち悪さは完全に抜けた。
ξ゚听)ξ「それじゃ、出発しようか」
o川*゚ー゚)o「はいっ!」
私はツンさんの後ろについて歩き始める。
今進んでいる砂浜沿いの道は少しだけ高い位置にあり、
たっぷりと海を眺めながら歩くことができた。
ξ゚听)ξ「……」
唐突にツンさんが歩みを止める。
それから道の端に寄り、ある一点をじっと見つめた。
ξ*゚ー゚)ξ「まだ有ったんだ」
うっすらと笑いながら、こちらに振り向く。
http://vipmain.sakura.ne.jp/light_novels/novels_img/084.jpg
その顔は、今まで見た彼女のどの表情よりも軟らかで、
o川*゚ー゚)o「ツンさん綺麗」
ξ;////)ξ「わわ分かってるわよ、そんなこと……、ありがと」
私は彼女を赤面させるような言葉を知らず呟いてしまった。
- 72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:37:00.36 ID:e07ztftgO
- 再び歩みを再開する。
少し向こうの方に石造りの下り階段が見えた。
あれを降りれば砂浜にたどり着くのだろう。
ξ゚听)ξ「三年ぐらい前、砂浜に建っていたボロ小屋の柱に、幼なじみと一緒に落書きをしたの」
唐突に語り始めるツンさん。
ξ゚听)ξ「さっき砂浜を見渡したら、その小屋がまだ残ってたんだよね。
もう取り壊されているとばかり思ってたから、それがなんだか嬉しくて」
o川*゚ー゚)o「どんな落書きをしたんですか?」
ξ;゚听)ξ「何を言っても馬鹿にしない?」
o川*゚ー゚)o「勿論です!」
ξ////)ξ「その、あれよあれ……、相合い傘」
ツンさんの顔が耳たぶまで真っ赤に染まった。
こんな表情を見せつけられたら、きっと幼なじみさんもメロメロになるに違いない。
- 74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:41:18.82 ID:e07ztftgO
- 石段を下った先には白い砂浜が広がっていた。
体うずうず、心わくわく。
o川*^ー^)o「わーい!」
ξ;゚听)ξ「ちょっと待ちなさいよ」
o川*^ー^)o「海一番乗りー!」
私はそう言って膝が浸かるぐらいの深さまで走っていった。
勿論スカートの端は両手で持ち上げている。
ξ;゚听)ξ「ずるい、フライングよ!」
ひーこら言いながら、随分遅れてツンさんが追いついてきた。
o川*-ー)o「勝てば官軍、ですよ」
ξ;゚听)ξ「ううーっ、悔しいわね」
本当は分かっていた。
彼女は病気の為、もう走ることはできないんだって。
どんなに頑張っても私に追いつくことは不可能だったんだって。
それでも、それだからこそ、私は大人気なくも全速力で海に向かって走ったのだ。
健常な人と区別されることをツンさんは好まないのだから。
- 75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:42:51.34 ID:e07ztftgO
- 日が暮れ始めた。
遊び疲れた私達はツンさんの言ったボロ小屋で休憩しつつ、赤く染まりゆく海を眺めていた。
ξ゚听)ξ「ねえキュート」
o川*゚ー゚)o「なんです?」
ξ゚听)ξ「私ね、幼なじみのことが好きだったの」
ツンさんはそう言って、柱に小さく彫られた相合い傘を撫でた。
そこに彫られていた名前はツンとブーン。
二人は両思いだったに違いない。
ξ゚听)ξ「彼は小太りで鈍くて、その癖走るのが大好きで、
そして何より……、優しかった」
o川*゚ー゚)o「優し“かった”?」
ξ )ξ「交通事故で、即死だったみたい」
以前ツンさんが言っていた“どうしても忘れてはいけないこと”。
それはきっと幼なじみの、つまりはブーンさんのことなんだろう。
- 76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:46:01.15 ID:e07ztftgO
- ξ゚听)ξ「彼は孤児だったから、保育施設に預けられていた。
誰一人、血のつながった家族はいなかった」
o川*゚ー゚)o「……」
ξ゚听)ξ「だからこそ彼のことを覚え続けていたい。
私は彼が存在したことの生き証人になりたいの」
o川*゚ー゚)o「幼なじみさんのこと、本当に好きだったんですね」
ξ////)ξ「……うん」
o川*゚ー゚)o「この浜辺にもよく二人で来たんですか?」
ξ*゚ー゚)ξ「そうね、言うなれば思い出の場所なのかな」
ツンさんはこの小屋がまだ残っていたことを驚いてみせた。
それはこの砂浜にしばらく来ていなかったからこその反応。
その理由を私は、彼女の体調不良にあるのだろうと考えていた。
しかし実際の所、ここが亡き幼なじみとの思い出の地であるという事実こそが、
彼女を砂浜から遠ざけていた真の理由なのかもしれない。
o川*゚ー゚)o「きっと貴女は葛藤と決心の末にここにたどり着いたのでしょうね」
ξ*゚听)ξ「ばーか、深く考え過ぎだって」
- 77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:48:07.15 ID:e07ztftgO
- ξ゚听)ξ「さてとっ」
そう呟き、徐に立ち上がるツンさん。
既に辺りは暗さを増してきている。
ξ )ξ「ありがとう……さようなら」
ツンさんは海に向かって小さく別れの言葉を告げた。
彼女が今日の外出を決意したのは、
近い内に自分の足が動かなくなることを悟ったからなのかもしれない。
ξ゚听)ξ「んじゃ、行きますか」
o川*゚ー゚)o「そうだね」
- 79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:53:16.17 ID:e07ztftgO
- 二人して夜道を歩く。
はしゃいで疲れたためか、口数は少ない。
そろそろばす停が見えるんじゃないかという頃、突然ツンさんが口を開いた。
ξ゚听)ξ「一つお願いがあるの」
o川*゚ー゚)o「お願い?」
ξ゚听)ξ「今から私が言うことを、なるべくでいいから忘れないでいてくれないかな」
o川*゚ー゚)o「努力してみます」
ξ゚听)ξ「私はきっと数年と保たずに死ぬ。
だからいつか、私のお墓の前に行く機会があったら、こう言ってやって欲しいの」
ツンさんはそこで言葉を止め、と同時に立ち止まった。
私も彼女の少し先で立ち止まると、そのまま彼女の顔を覗きこむ。
ξ )ξ「“ブーンのこと、代わりに覚えてるよ”って」
十代の少女が自分の死期が近いことを認めるのに、一体どれ程の勇気が要るのだろう。
死期を悟った上で故人を何より大切に思う為に、果たしてどれだけの愛情が必要なのだろう。
- 81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:54:48.53 ID:e07ztftgO
- ξ゚听)ξ「お父様やお母様には任せられないことなの」
それはよく分かる。
ツンさんの両親は娘を救うために様々な努力をしている。
そんな彼らに自分が死んだ後のお願いなど、どうしてできようか。
o川*-ー)o「無茶なお願いではありますけど、任せて下さい」
ξ*゚ー゚)ξ「頼りにしてるね」
- 83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:56:39.68 ID:e07ztftgO
- o川*゚ー゚)o「さて、私の方からもお願いがあります」
ξ゚听)ξ「言ってみて」
o川*゚−゚)o「言いにくいのですが……、どうか思い直して下さい。
壺の力を使って体を治して下さい」
やはりツンさんには死んで欲しくない。
命に貴賤など無いとは言うけれど、今の私はそう感じていた。
ξ゚听)ξ「悪いけどそれはできない」
o川;゚ー)o「気持ちは分かります、分かりますけどっ―――」
ξ ー )ξ「キュートの気持ちは凄く嬉しいよ?
だけど私、肝心なとこで馬鹿なんだよね」
o川;゚ー)o「っ……」
私は彼女の決意に満ちた表情を見、もう説得が不可能なんだということをようやく悟った。
彼女にとって幼なじみのブーンさんは、文字通り命より大切な存在だったのだろう。
- 84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:58:30.91 ID:e07ztftgO
- それから少しの日が経過し、再び壺に閉じ込められることとなった。
かくして私は今、次の主を求めながら体を休めている。
o川*゚ー゚)o「ツンさんとの約束、果たしてあげたいな」
約束を忘れ難いようにする為にも、少しでも早く壺から解放されなくっちゃ。
となると今度壷を開けた人に対しては、何かしら嘘をつく必要が出てくる。
他人を犠牲にするのはとても申し訳ないけど、それでも私は……。
- 86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/31(日) 18:59:58.25 ID:e07ztftgO
- o川*゚ー゚)o「それにしても、あそこまで好きになれる人がいたら幸せだろうな」
願わくば私もいつか、心から好きになれる人を見つけたい。
そしてできればその人に私のことを覚え続けていて貰いたい。
o川*゚ー゚)o「その上愛して貰いたいなんてのは、ちょっと我が侭な話かな?」
でも、そんなのっていいな。
などと考えつつ、私は長い眠りにつくのだった。
ガタリ、どこかで壺の蓋を開ける音がした。
( ・∀・)「ん、中に何か入っているのか……?」
〜番外FIN〜
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