('A`)ドクオが一歩踏み出したようです 第二部

343:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/23(木) 01:18:20.44 ID:cr/vEAn/0
(´・ω・`;)。o(…荒巻、学生時代は内藤さんの片思いに誰よりも先に気付いたらしいくせに…)

今、横にいる荒巻の興味は論文に集中している。とてもモニュがドクオに送る視線に気付きそうにはない。

(´・ω・`;)。o(モニュの手前、目の前であからさまにドクオを守ると逆恨みされそうだな…。
全く余計なことに首を突っ込んじまったもんだ。)

そう思うとショボーンは席を立ち、携帯を開いた。
メール作成画面を開く。送り先は荒巻だ。

**********************
タイトル:教授室に来い
本文:トイレとでも言って席を立て。論文どころじゃない。研究室内に問題が発生してる。
バレないように伝えるから早く来い。このメールは出会い系の勧誘メールとでも言ってごまかすんだ。



…ムー…ムー…ムー…

/ ,' 3 「ん?なんだ?俺のメールか…?」



355:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/23(木) 01:29:28.38 ID:cr/vEAn/0
/ ,' 3 「…ったく、邪魔だなぁ…」

荒巻は携帯を開いてメールを確認すると、ついでだとトイレに行った。
モニュの視線を背に浴びながら。

(=゚ω゚)ノ 「…」

(*゚ー゚)「? どーしたのっかなー?モニュくん!仕事しなきゃダメだぞー」

(=゚ω゚)ノ 「そうですね、それでは教授達はいなくなっちゃいましたが、『院生』と『講師』の私たちだけでもやりましょうか。」

('A`;)「…」

ξ゚听)ξ「…? ドクオくん?気分でも悪いの…?」

('A`;)「い!いいや…」



358:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/23(木) 01:37:01.13 ID:cr/vEAn/0
「ここはドブロイの式のこと言ってるだけでしょ?」「え?単純にそれだけ?」
「それだけのこと、こんな重々しく書きますかね?」「でもウィリアム教授の文ってそういうとこあるって有名だし…」
「じゃあこれはそういうことでいいのかな」「いいんじゃねーのゴルァ」

みんなが討論している最中、ドクオはどうすればいいのか分からなかった…が、
折角の機会だしと、出来るだけモニュの視線を気にしないようにしつつ論文に目を通していた。

('A`)。o(…むずかしいな、流石に…)

(=゚ω゚)ノ  。o(わかんねぇって顔してやがるな、少しカマかけるか)

(=゚ω゚)ノ 「それじゃあ『素人』さんの目から見て、何か分かったことないか聞いてみましょうかドクオさん?」

('A`;)「! え…ちょ…」

ξ゚听)ξ。o(凄いこと、言ってくれるかしら。早く教授に認められるような発見、期待してるわよ…)



361:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/23(木) 01:41:29.31 ID:cr/vEAn/0
所変わって、ここは教授室

/ ,' 3 「なんだ、ショボーン。こんなヘンなメールまで寄越してからに。」

(´・ω・`)「真面目な話だ。モニュを研究スタッフから外して、他の教授かヨソの大学に任せるべきだ。」

/ ,' 3 「…どういうことだ?」

(´・ω・`)「…モニュはドクオくんを恨んでる。いきなり現れた期待の新人に嫉妬してるんだ。
その新人がニートあがりってのが鼻に付くんだろう。」

/ ,' 3 「ドクオくんはお手伝いとして雇ったとしか伝えていないはずだが…」

(´・ω・`)「大方ドア越しにでも聞いちまったか…、外でツンとドクオに話させている時に知ったか…。
どちらにせよ、お前はドクオくんかモニュか選ぶんだよ。相容れないぜ、あの二人は。」

/ ,' 3 「…むう」



363:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/23(木) 01:48:22.82 ID:cr/vEAn/0
/ ,' 3 「少し…考えさせてくれ。俺としては出来るなら…、二人のわだかまりを解消させてやりたい。
どちらかを排除しても根本的な解決にはならん。」

(´・ω・`)「あんたのそういうところは良いところだと思うがね…、ま、どちらにせよ急ぐことだ。
だが言っておくぞ、モニュは危険だ。お前にとってもな。異動させるとしても、する前によく相談しよう。
やり方を間違えれば…ただじゃすまん。」

/ ,' 3 「…把握した」


そう言って二人は教授室を後にして、研究室に戻った。


(=゚ω゚)ノ 「…どうしました?ドクオさん」

先ほどから、モニュはドクオに対しての態度を崩していない。ドクオは追い詰められていた。


('A`)「…ちょっと、俺みたいな素人には…分からない…よ」



367:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/23(木) 01:57:02.77 ID:cr/vEAn/0
(=゚ω゚)ノ 「…プッ!」

急にモニュがふきだした。

(*゚ー゚)「もー、モニュくん失礼じゃない」
(゚Д゚)「吹き出すとかありえねぇぞゴルァ」
(´∀`)「屁かと思った」

(=゚ω゚)ノ 「あはは、えぇ、すみませんね、ドクオさん。失礼なことして本当にすみません。
いやー!まぁでも、仕方ないですよ、これだけ難解な論文ですからね!じっくり自分らで解読してみますよ!はは!」

急にモニュは饒舌になる。ありえないとは思いつつも、やはりドクオが何か的確な事を言わないかと内心怯えていたのだろうか。

('A`)「…じゃあ失礼します…。コーヒーでも…淹れますね。」

ξ゚听)ξ「ド…ドクオくん…」


俯いたまま、ドクオは席を立った。
その顔はいつか、どこかで見たような顔つきだった。中学校のあの時の顔、あれに酷く似ていた。
しかし違う点が一つ、ドクオの目は力を秘めていた。



379:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/23(木) 02:11:31.05 ID:cr/vEAn/0
太陽が傾き、辺りが紅色に染まった頃。
結局論文についてはまだ詰めが必要な段階のままだったが、院生達が少しずつ帰宅の途についていた。

/ ,' 3 「ドクオくん、ツンくん、二人で仲良く帰る前に教授室へ来てくれ」

('A`*)「ちょwwwいっつも見てたのかwww」
ξ///)ξ「わ、私は別に!…わ、わかりました。後ほど伺います…」

……

(´・ω・`)「やぁ、来たね」
/ ,' 3 「単刀直入にいこうか、ドクオくん」



388:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/23(木) 02:22:17.95 ID:cr/vEAn/0
/ ,' 3 「…モニュくんをどうにかするという事はしたくない。ドクオくん、君はどういう気持ちかね」

ξ゚听)ξ「…え?何、どういうこと?」

('A`)「教授、何か手を打って戴けるなら非常に助かります…でも、俺も出来るなら、穏便に…」

(´・ω・`)「なるほどね、ギコから聞いたよ、今日のモニュのことは。どうにも不自然だったとね。」

ξ゚听)ξ「…話が読めないんですけど」

首をかしげ、不可解な表情をしているツンを尻目に、会話は進んでいく。

('A`)「バカにされるのはある程度仕方ないかもしれませんが、ああまでされると困ります、
そもそも俺はわからなくて当然の人間なんですから。」

/ ,' 3 「…ドクオくん、君はこの2ヶ月そんなタルんだ気持ちでやってきたのかね…」

その時の荒巻の視線は、いつもの荒巻からは想像できないほど厳しいものだった。



604:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/24(金) 00:19:34.20 ID:X/EGLebN0
('A`)「え…!?」

/ ,' 3 「ドクオくん、俺が君をここに招いたのはそんな言葉を聞くためではない。
たとえ相手が大学生だろうが、院生だろうが、講師だろうが助教授だろうが、…俺だろうが、
誰であろうが自分は絶対に負けんぞ!ってくらいの気概がなくてどうする!」

ξ゚听)ξ「ド…ドクオくん…」
(´・ω・`)「…」(ラッキー、教授がこれでドクオを追い出してくれれば、それはそれでOKってやつだな。)

('A`;)「…すみません、今のは…失言でした。」

/ ,' 3 「負け犬根性と、自虐的なところはまだ尾を引いているのかね。せめてそれくらいは直してくれんと、俺も君を庇いきれんぞ」

('A`;)「…」

ドクオはあまりの後悔を隠せない面持で俯いたまま固まっていた。



680 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 16:01:46.65 ID:3gE6U5nt0
/ ,' 3 「…まぁいい。問題はこれから内部の問題をどうするかということだが…」

ξ゚听)ξ「ちょ…ちょっと待ってください。」

/ ,' 3 「ん?」

ξ;゚听)ξ「私は…ここにいてよろしいのですか?よく話は読めませんが、何かしら問題が生じてるようですし…。無関係の私が…」

ツンはどうにもワケが分からないという様子だが、とにかく必要以上に問題事に首をつっこみたくないという風だった。

/ ,' 3 「ツンくん、ドクオくんがここにいる本当の理由がモニュくんに漏れたのだよ、それが為に摩擦が起きている。」

ツンは顔をしかめた。

━━私の知っているモニュくんは真面目で、ちょっと愚痴っぽくて理屈っぽいけど、正直言って大人しくて、むしろ暗い印象すらあるのに。
果たして本当に教授や助教授が本気になるほどの摩擦を起こすような度胸がある人なのかしら…?



685 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 16:07:47.98 ID:3gE6U5nt0
/ ,' 3 「とにかく、それによる問題をどうするか考えていかなくてはならん。
そもそもモニュくんが怒る動機は自らの名誉や勲章の為という私欲のようだしな。
科学者たるもの名誉欲を前面に押し出すなどということは褒めれたことではない。手を打とう。」

(´・ω・`)「…モニュを…追放すんのか?」

/ ,' 3 「いいや、そこまでする必要はなかろう。とりあえず話の場を持ってみようと思っているんだが、ドクオくんはどう考えるかね?」

('A`)「…はい、正直俺はモニュさんの気持ちも少しは分かるんです。だから、話し合いで済むなら…。
…そうだ、いっそ俺も交えてスッキリさせてはもらえませんか?」

(´・ω・`)「…危険じゃないのか?ぶん殴られてんだろ、前に。
カタキが目の前に居たら説得どころじゃないんじゃないか?」

そう言ったところで考え込んでいたツンの顔色が変わった。

ξ゚听)ξ「! ちょっと…殴られたって本当なの!?」

('A`)「え?…あ、あぁ…、ここに来て少しの時にな…」

ξ゚听)ξ「うそ…、信じられない、あのモニュくんがそこまでするなんて…」

人間には裏と表がある。
とくにその境がはっきりしていて、表面上”いい人”を装っている人ほど、裏の人間性はひん曲がっていて、残酷非道なものだという話もある。
周りの為に自らを抑え、我慢に我慢を重ねてきた人ほど、それが爆発したときの破壊力は恐ろしいものがある。モニュもそんな人間の一人だったのだろうか。



686 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 16:12:37.41 ID:3gE6U5nt0
/ ,' 3 「ふむ、まぁ我々の手前そこまではしないだろう。直接話すことも必要かもしれん。とりあえずは我々二人で話をしてみて、様子を見て二人で話すといい。」

(´・ω・`)「それじゃあ、週明けにでもモニュに声をかけるとしようか。」

とりあえず、話は一段落した。
モニュはどう出るだろう。もしかしたら自分から研究室を飛び出していくかもしれない。
ドクオが教授の期待と信頼を殆ど何もせずに勝ち取ったと考えている以上、そんな教授には愛想をつかしてしまうというのもあり得る話だ。
モニュは確かにそこそこ優秀であったが、天才肌ではなく秀才肌。考え方も少々凝り固まっているようで、柔軟な発想は苦手としているようだった。
そんな特性の人物は吐いて捨てるほどいる。
荒巻の心の奥底では、いざとなったらモニュを切り捨てても仕方ない、ドクオの才能の片鱗と天秤にかけ、
そこまで惜しくない人物だと考えていたのかもしれない。

/ ,' 3 「…で、ドクオくん、今日は論文を見てもらったが、どうだったね?
君が来てから、あれだけみんなで悩んだような論文は初めてだったと思うが。」



690 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 16:15:45.58 ID:3gE6U5nt0
('A`)「は…はぁ、全然でした。正直ちんぷんかんぷんで…」

(´・ω・`)「…おい、荒巻。お前の言ってた才能はどうしたんだよ。」

ショボーンは『だから止めとけって言っただろ』とでも言いたいように、呆れた顔で荒巻を責めた。
責めたくもなるだろう、原石様とやらは一向に輝く様子を見せず、そんな石ころのせいで揉め事まで発生する。
本人には言ってはいないが、教授の失脚なんて言葉まで飛び出す始末。
馬鹿げた話だと思われて当たり前である。

/ ,' 3 「…全然かね?少しも?」

('A`)「え…えぇ」

申し訳なさそうにドクオは頷いたが、荒巻はもう一つ納得いかないという様子だ。
おかしい、そんなわけがない。分からないのは仕方ないが、まったくのチンプンカンプンということなどは…

/ ,' 3 「…ドクオくん、今論文を出そう。それでどこがよく分からないのか具体的に言ってみてくれんか。」



695 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 16:21:25.99 ID:3gE6U5nt0
('A`;)「え?でも…」

/ ,' 3 「まぁいいから、少しでいいんだ。君の考えを聞かせてみせてはくれんか。」

パラパラと十数枚の書類が机の上に広げられた。

('A`;)「え…ええと、ここと、ここと、ここの部分がよく分からないんですけど…」

/ ,' 3 「ん?んん?ここが…かね?」

('A`)「え?…えぇ、そうですけど…」

荒巻の不自然なリアクションに興味を示したショボーンとツンが覗き込むと二人も顔をしかめた。

(´・ω・`)「・・・なんで、ここなんだ?」

ξ゚听)ξ「ここは悩むようなところじゃないんじゃないかしら…」

やはり学の足りないドクオには無理なのか…。荒巻はそう感じてしまった。

/ ,' 3 。o(夢は…所詮夢か…)



 参考資料『荒巻の夢:科学者ファラデー』



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