( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです

58: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 22:11:49.46 ID:pSzuOyHY0
【八幡神社にて―其の二―】


降り返ったその先に居たのは、いい男……と思わせるほどに鍛え上げられた肉体を持っていた。
でも、何故こんな人がブーンを……?


('A`)「ええと、失礼ですがどちら様でしょうか?」

?「……クックックッ、ハッハッハッハッ!俺の名前はなぁ!」

急に高笑いをし始めた男。
この時点で俺は声をかけた事に後悔していた。

変人の知り合いなんていらんがな。



59: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 22:13:15.97 ID:pSzuOyHY0

( ゚∀゚)「俺の名前はジョルジュ長岡!
おっぱいを愛し、おっぱいになる夢を持ち、おっぱいの為に生きる男!!
そんな粋な男とは俺のことよ!」

……やっぱり、変人だった。
いや、これは変態だ。正直、逃げたい。

でも、ブーンという言葉に反応したのから、何かを知っているに違いない。
一応、聞いておこう。



('A`)「で、そのジョルジュさんとブーンは一体どんな関係なんですか?」

( ゚∀゚)「夢の中で出会った。」

あっけらかんととんでもない事を口走るショルジュ。
あ、まずい、強烈な電波を感じる。

やっぱり、逃げようと思ったけど、ジョルジュは話を続ける。



61: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 22:15:31.82 ID:pSzuOyHY0

( ゚∀゚)「まぁ、今は罪を償うために、ブーンの事を調べてるんだけどな……。」

一見、かなり脳をやられた人のように見える。
でも、ブ−ンを語る時のどこか寂しげな瞳。
それは俺をこの場に留まらせる充分すぎる程の理由になっていた。



('A`)「ちょっと、話を聞かせてもらってもいいですか?」

( ゚∀゚)「まぁ、簡単になら構わないぜ。自分でも変な話だと思ってるから恥ずかしいんだよ。」

あんだけ、おっぱいとか言っておいて、羞恥心はあるのか。
突っ込みたいけど、ここは我慢だ俺。


( ゚∀゚)「あれは何だったのかな……今でもわかんねぇよ。
 ただ、言える事は奇跡みたいな体験だったって事だな。」

ジョルジュは語る。
自分に起きた不思議な出来事について。



63: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 22:16:53.04 ID:pSzuOyHY0

ある日、自暴自棄になっていたジョルジュに神が現れて言ったそうだ。
お前に救いを与えましょう、と。
そこでは、家族と平和な日常が待っているという言葉に誘われ、彼は当然のように神に身を任せた。

目が覚めると、そこは全然知らない世界だったらしい。
緑は満ち溢れていたし、空気は新鮮で、町並みが異常なほどに美しかった。
なにより、彼には居ない筈の妻と息子がいた。

その息子と言うのがブーンだったのだ。
妻の方は知らない人だったらしいが、なかなかの美人だったと彼は言う。
しかし、おっぱいが小さかったと文句もこぼしていた。

その平和な日常はいつまでも続くと思っていた。
だって、神が自分に与えたものなんだから。

でも、平和な日常は消え去った。

ブーンが死んでしまったのだ。



64: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 22:18:09.02 ID:pSzuOyHY0

ブーンが死んだという知らせを聞いた次の日、妻も居なくなった。
理由は分からない、でも探しても手掛かりすら手に入れられなかった。

元々、全くの他人だったのだからしょうがないとも言える。
だが、もっと知ろうとしなかった自分のせいでもあるのだ。

こうして、幸せな世界は彼の前から姿を消した。


その後、神様がもう一度、彼の前に姿を現した。
彼は二度目の奇跡を信じて期待した。

だが、神様は無情にも彼に言い放つ。
あなたは用済み、元の世界に返りなさいと。

そうして、次に目が覚めた時には道路の上に寝そべっていた。
もちろん、この世界の。

つまり、彼は神様に見捨てられたのだ。



65: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 22:20:18.82 ID:pSzuOyHY0

( ゚∀゚)「今思うと、夢としか考えられないんだけどさ、やっぱ納得できない自分がいるんだよなぁ。」

ジョルジュはそう言っているが、俺には夢には思えなかった。
……ブーンもその世界に行ったというなら、辻褄が合ってしまうからだ。

そう、最低のお話が出来上がってしまう。
神様に連れ去られ、その先で死んだ。
そんな信じたくない話が。


( ゚∀゚)「それに、神様は俺を救うつもりなんて、はなから無かったんだろうな。」

('A`)「じゃあ、何でジョルジュさんを別の世界に?」

( ゚∀゚)「……恐らくはブーンの為だな。俺はブーンを喜ばせる餌にでしかなかったと思ってる。」


ブーンを喜ばせる餌か。
ここで一つの疑問が浮かび上がる。
なんで、神様はそこまでブーンに執着するのかという事だ。

今となっては知る由も無いのだが……。


( ゚∀゚)「よし、ここで重大なお知らせだ。今、話してたら思った事を言いたいと思う。」

('A`)「……は?」

( ゚∀゚)「言いたい事というより、訂正だ。俺の言った言葉に間違いがあったと気付いた。」

('A`)「まぁ、聞いてますからどうぞ。」

( ゚∀゚)「よし!それじゃあ、いくぜ!」


そう言って、ジョルジュは思いっきり空気を吸い込んだ。

……まずいな。
この人、叫ぶ気だ。



66: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 22:24:58.86 ID:pSzuOyHY0
( ゚∀゚)「俺の名前はジョルジュ!
……家族を愛し、家族を求め、家族と生きる夢を持っていた男だ!」

( ゚∀゚)「そうだ!今思い出した!俺の名前は内藤ジョルジュ!あいつの、ブーンの父親だったんだ!」

( ゚∀゚)「だからさ、もう一度、あいつに会わせてくれねーかな!神様よ!」


……ジョルジュの言葉は空まで届くかのように、その場に広がっていた。
俺に顔を見せないように後ろを向いていたけど、声が震えていた……それだけで充分過ぎるほど気持ちが伝わった。



( ゚∀゚)「ははっ柄じゃねーな。俺がこんな事言うなんてよ。」

('A`)「……いや、あんたのその赤い目が全てを物語ってるよ。」

振り向いたジョルジュを見て俺は思う。
きっと、ブーンもこの人とうまくやっていたんだろうなぁと。



67: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 22:26:59.61 ID:pSzuOyHY0

('A`)「俺も、もう一度あいつに会いたいよ……。」


例え、俺たちの願いが空に届いたとしても、叶わない。
神様はどこにいるのか誰にも分からない。


空は当然のように何の反応も示さなかった。
ただ、その透き通るような青が、今の俺には無性に気持ち悪かった……。



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