( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです

36: ◆9d9cVF02x2 :2008/01/13(日) 22:39:19.02 ID:JbPQ/ufh0
【奈落の底の少女】

刃は赤く光り、意識が朦朧とする世界。
腕から流れ出る血を見ながら私は思っていた。

『私が死ねば、最高の復讐になるんじゃないか?』

そんな風に。
遺書にメッセージを残しておけばあの人は破滅する。
だから、今の私にはそれが一番良いのかもしれないと。

だけど、出来なかった。

汚れて、傷ついて、苦しんで、それでも死ぬのが怖かった。

死にたいと思って手を切って。
死にたくないから自ら処置ぞする。

私の行動には矛盾と後悔しか生まれなかった。
いや、負の感情はとめどなく増え続けているが、いつの時からか感じられなくなっただけ。



37: ◆9d9cVF02x2 :2008/01/13(日) 22:39:53.60 ID:JbPQ/ufh0
そして、最近よく考えるようになった。
何故、私は生きているんだろうかって。

人生には浮き沈みがあるものだって誰かが言ってた。
悪い事の後には、必ず良い事があるんだって。

でも、今の私には波などない。

あるのは死にたくなるような絶望の繰り返し。


初めは助けを求めていた。
自力で登れない崖の下から救いの手を。

でも、間違っていたのだ。
私は、気付いてしまったのだ。

ここは奈落の底。
声も、救いの手も、光も、何も届かない。
私はここで、朽ち果てる運命を辿るばかりなのだ。。



38: ◆9d9cVF02x2 :2008/01/13(日) 22:40:11.19 ID:JbPQ/ufh0
もう、喉は枯れていた。
助けを呼ぶことは出来なかった。

だから、誰か気付いてください。

ここには私がいる。
真っ暗で見えない穴の底に、私は確かに存在する。

汚れてしまった私を救い上げてください。
例え、貴方の綺麗な手が汚れてしまっても、笑いかけてください。
もう大丈夫と、ただその一言を言ってください。


……それだけが私の願いです。



39: ◆9d9cVF02x2 :2008/01/13(日) 22:41:34.78 ID:JbPQ/ufh0
【奈落の底の世界】

私はただひたすらに、もがいていた、
抜け出せないと知りながらも、光も届かない場所で上を目指そうと。

何度も、何度も、登ろうと挑戦した。

でも、ダメだった。
この奈落の底からは抜け出せないのだ。


ボロボロになった手で、もがき続けた。
光を求めれば、きっと闇の中から抜け出せると信じて。。

すると、私の手に宿る暖かな力。
暖かくて、優しくて、光の世界の住人のものだとわかった。


「……ブーン?」

「……だお!」

とうとう、救いの手は差し伸べられたのだ。



41: ◆9d9cVF02x2 :2008/01/13(日) 22:43:18.28 ID:JbPQ/ufh0

「ブーン、今度はいつまでも一緒だよね?」

「うーん、それは難しいお。」


「ど、どうして?」

「ツンは気付いていないのかお?」


「何のこと?やっぱり、私がいけないの?」

「違うお!ツンに悪いことなんて何も無いお!」


「それじゃあ、何でなの……?」

「それは……。」



42: ◆9d9cVF02x2 :2008/01/13(日) 22:43:32.22 ID:JbPQ/ufh0

「僕が既に死んでしまっているからだお。」

彼がの言葉と共に温もりが消えた。
太陽の光が消えていく、あの場所と同じように世界が黒く染まっていく。
生き物の腐った臭い、光も温かみも希望もない、どこまでも汚れきった地獄の世界。


「ブ、ブーン!?」

彼が崩れるように倒れると背中には刃が鈍く光っていた。
溢れ出す血の赤だけは、この世界の中で怪しく輝きを放っていた。

その時、ようやく思い出したのだ。

この世界にはもう一人の住人がいる。
汚れた世界に私を縛り付ける人がいる。


その人が、私とブーンのことを見下しながら笑っていた。



43: ◆9d9cVF02x2 :2008/01/13(日) 22:43:50.52 ID:JbPQ/ufh0


( ´∀`)「アハハハハハ!僕から逃げられると思ったモナか!?
        逃がさない、君はずっと!ずっと!僕だけのものだ!!
           この世界には、君と僕だけが存在を許されるんだ!!!」


何も見えない、何も聞こえないはずの奈落の底。

そのはずなのに、モナー先生の笑い声と狂った顔だけは鮮明だった。



目が覚めて、それが夢だと気付いたとき、私の目からは涙がこぼれていた。



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