右手よりは気持ちいいよ

68: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/26(月) 23:56 /wUoxtneO


〜第六話・右手にピストル〜

ξ;゚听)ξ「ショボン! あんた何を考えてるのよ! 私達の目的を忘れたの?」

少女は叫んだ。

自らの同胞に。

目的を同じとする仲間に向かって。

(´・ω・`)「もちろん覚えているさ。内藤ホライゾンを抹殺せよ、だろ?」

だからどうしたと言わんばからに、ショボンは大袈裟に肩をすくめる。

ξ゚听)ξ「だったら…何でコイツは生きてるのよ」

(´・ω・`)「殺していないから生きているに決まってるじゃないか」

ξ;゚听)ξ「どうして…あんただって自分のお兄さんを…」

(´・ω・`)「そうだね、確かに僕の兄さんは殺されたよ。未来の彼にね。
だけど、今の彼が何をした?」

ξ゚听)ξ「…………」

(´・ω・`)「ずっと疑問に思っていた。
兄さんを殺されて、僕は復讐してやりたいと思ったのは確かだよ。
……だけど、僕達は正しかったのかな?」

( ^ω^)「…………」

(´・ω・`)「彼は、引き篭りだ。ピザだ。変態だ。毎日毎日飽きもせずネットにオナニーだ」

('A`)「…………」

(´・ω・`)「そんな彼が、何をしたというんだい? 憎いよ、殺したいほど。
だけど、それは未来の彼であって今の彼ではない」

語り続ける彼の言葉を、三人は黙って聞き続けた。

うつむき、表情が伺い知れない少女。

いつもの柔和な笑顔を崩し、神妙な面持ちの内藤。

ただ、無表情を貫くドクオ。



69: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/26(月) 23:58 /wUoxtneO


(´・ω・`)「未来で殺人者になる。
だから殺す。今の彼を。
未来の彼と、何が違うというんだ。僕達も殺人者と変わらないじゃないか」

ξ#゚听)ξ「じゃあ私達はどうすればいいのよ! こいつを殺せば沢山の人が救われる! それが正しいんじゃない!」

(´・ω・`)「それが間違いだ」

ξ#゚听)ξ「ふざけないで! こいつには未来でも私達には今なのよ? 父さんも、母さんも、皆こいつが殺したのよ?」

( ^ω^)「僕はそんなことしないお!」

今まで口を閉ざしていた内藤が、ついに叫んだ。

( ^ω^)「人を殺すのは悪い事だお! 誰かが死んでしまえば悲しい事だお!」

彼は叫ぶ。

当たり前の事を。

人が失ってはならない倫理を。

( ;ω;)「…小さい頃、トーチャンが死んだお。僕は死ぬって事が分からなかったお。
だけど、カーチャンが泣いてたお。だから悲しい事だって分かって僕も泣いたお」

内藤の目から涙が溢れ落ちるが、彼は拭おうともしない。

( ;ω;)「悲しいのは、皆嫌だお。僕は人が悲しむのを見たくないお。
自分が悲しいのは嫌だけど、カーチャンや友達が悲しむのはもっと嫌だお!」

(´・ω・`)「ブーン……」

ξ;゚听)ξ「…………」

(´・ω・`)「これで分かったかい? ツン。彼は殺すべき人間じゃない。殺しちゃいけないんだ」

ξ゚听)ξ「私は……」

(;'A`)「危ねぇ! 伏せろ!」

ドクオが叫んだのと同時に、閃光が走った。



72: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/27(火) 01:32 8AzqxkyTO


――瞬間。

耳を引き裂く様な雷鳴にも似た轟音が響きわたる。

もうもうと土煙が立ち込め、土や砂がバラバラと降り注ぐ。

(´・ω・`)「…これは…」

爆風の衝撃で吹き飛び、地面に叩き付けられたショボンは、うめきながら血の混じった砂利を吐き出す。

('A`)「…ショボン、何が起きたんだ」

(´・ω・`)「ドックン、無事だったのか」

('A`)「…………あぁ、何とかな。立てるか? ブーンを探さなきゃならねえ」

(´・ω・`)「………いや、居たよ。あそこだ」

何とか上半身だけを起こし、辺りを見回したショボンは、晴れてきた土煙の中で見付けた。

見付けてしまった。



( ω )



(;'A`)「ブーン! 大丈夫か? しっかりしろぉ!」

うつ伏せに倒れた内藤。

彼が守るように抱えこんでいたのは。

ξ;゚听)ξ「……何で?」

(;'A`)「おい! ブーン! 頼む、返事をしてくれ! ブーン!」

内藤の背中には、石や木の破片が突き刺さり、爆風によってただれ、おびただしい血を流し続けていた。

ξ#゚听)ξ「何でよ! 何であんたなんかに…あんたなんかに助けられなきゃいけないのよ!」

('A`)「おい! よせ、怪我してんだぞ!」

ξ;;)ξ「何とか…言いなさいよ…ねぇ…」

( ω )「お……」

('A`)「ブーン!」

( ´ω`)「お……ドクオ…オニャノコは?」

('A`)「あぁ、無事だ」

( ´ω`)「おっ…おっ…良かったお…」

ξ;;)ξ「あんた…馬鹿よ…」

少女の涙が、内藤の頬を伝い落ちた。



73: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/27(火) 01:34 8AzqxkyTO


(´・ω・`)「とにかく、彼を治療しなくちゃ…」

('A`)「ショボン、歩けるか?」

(´・ω・`)「何とかね、彼等が許してくれればだけど」

川 ゚‐゚)「その通りだ」

完全に晴れた土煙の向こうに、一人の女が現れた。

艶やかな長い黒髪をなびかせ、女は悠然と立っていた。

ξ゚听)ξ「クー…隊長…」

川 ゚‐゚)「残念だ、ツン。
お前も失敗だとはな。悪いが時間が無い、手段を選んでいる暇は無くなった」

(´・ω・`)「反応が2つあったから誰かが来ると思っていたけど、まさか隊長とはね……」

川 ゚ー゚)「残念ながら、ショボン。もう一度見てみろ」

女が初めて笑みを浮かべた。

美しいが酷薄な、氷の様に冷たい笑みだった。

女の言葉に、ショボンは懐から携帯電話に似た形の機械を取り出し、操作する。

(´・ω・`)「……やられたよ、全員来たのか」



/;3 *゚∀゚)゚∋゚)゚д゚)><)



(´・ω・`)「成程ね、使えない駒は捨てる、と言うわけか」

川 ゚‐゚)「おとなしく内藤ホライゾンを渡せば、裏切りは不問にしよう」

(´・ω・`)「断ると言ったら?」

川 ゚ー゚)

女は、再び冷笑を浮かべ。

川 ゚ー゚)「死ね」

その言葉が合図となり、女の後ろに控えていた者達は飛び出していった。



77: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/27(火) 15:56 8AzqxkyTO


(*゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャ、馬鹿だね〜ショボン。隊長に逆らったら死んじゃうのに」

ツンと同じ位の年頃の、赤い髪をした少女がショボンとの距離を一気に詰める。

両手には短刀が握られ、体の回転を加え突き出す。

(´・ω・`)「分かってるさ、つー。それでも僕は後悔したくないんだ」

腹部を狙うその一撃を、叩く様に弾き、槍の石突きでカウンターを狙う。

( ><)「あなたの考えはわかんないです!」

ショボンの槍に鎖が幾重にも絡み付く。

その鎖を握る少年の後ろから、巨大な影が浮かびあがる。

( ゚∋゚)「……………」

規格外の、あまりにも巨大なその男は、握る大剣を小枝の様に操り振り下ろす。

(;´・ω・`)「くっ…相変わらず、とんでもない打ち込みだよクックル」

ショボンは不意に力を抜き、少年が鎖を引き寄せる力を利用してそのまま懐に飛込む。

先程までショボンが立っていた場所が爆発したように弾ける。

(´・ω・`)「ビロード、分からなくてもいい。僕は君達の敵なんだから」

手にする鎖が槍に巻き付いているため、ビロードにはショボンの拳を避ける方法は無い。

しかし、彼の拳は薄く紫色に明滅する壁に行く手を阻まれた。

(´・ω・`)「ちぇっ…」

/;3 「ほっ、そんな体でよく動くのぅ…」

(´・ω・`)「ご老体に言われたくはないね、荒巻」

( ><)「危なかったんです! 助かったんです!」
ショボンは鎖から槍を引き抜き、飛び退る。

そして、膝を付いた。

(;´・ω・`)「あ〜あ、キツイね…流石に」

涼しげな顔をしてはいるが、既に肩で息をする状態だった。



81: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/27(火) 22:24 8AzqxkyTO


川 ゚‐゚)「流石だな、ショボン。だからこそ、惜しい」

(;´・ω・`)「クー隊長……」

川 ゚ー゚)「しかし、嬉しいぞ。お前と戦えるのはな」

いつの間にか、クーの両手には大小の刀が握られている。

長刀を順手、短刀を逆手に持ち、腰を深く落として構える。

(;´・ω・`)(こりゃ死ぬかもね)

('A`)「……ショボン」

(´・ω・`)「何だい? ドックン」

('A`)「一分だけ、時間を稼いでくれ」

(´・ω・`)「それは厳しいね。隊長が相手なら十秒保てばいい方だよ」

('A`)b「死ぬ気で頑張ってくれ。頼んだぞ」

(´・ω・`)「そんな無茶な」

川 ゚ー゚)「薄情な友を持ったな」

(´・ω・`)「最高の友達さ。特にアナルの辺りがね……」

屈した膝に力を込め、槍を支えにして立ち上がる。

(´・ω・`)「頼んだぞ、か。嬉しい事言ってくれるじゃないの」

槍を二、三度回転させ両手でしっかりと構える。

川 ゚‐゚)「時間を与えるのも癪だ。早く始めよう」

(´・ω・`)「言われなくとも!」

二振りの刀と、真紅の槍が交錯した。



82: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/27(火) 22:27 8AzqxkyTO


('A`)「早く…早くしないと…」

ξ#゚听)ξ「ちょっとあんた! こんな時に何考えてんのよ!」

ドクオは股間に手を入れ、一心不乱に掻き分けていた。

(;'A`)「違う、違う……これも……」

股間から手を抜けば、そのたびに何かを手にしていた。

エロ本、アダルトビデオ、DVD、ローション、バイブ、ペニバンド、コンドーム、ダッチワイフ。

ξ///)ξ「ち、ちょっと何でこんな物持ち歩いてるのよ!」

('A`)「! あった!」

彼が取り出したのは、一見すれば水晶玉の様な物だった。

透き通る青い色のそれは、冷たい輝きを宿している。

('A`)「ショボン! 戻って――」

(*゚д゚)ハァハァ…

ドクオの傍らに、男がいた。

彼の記憶によれば、襲撃してきた者達の内の一人だ。

いつの間にか現れた男は、ドクオが取り出し放置したエロ本を熟読していた。

('A`)「それは、細木数子の全て……気に入ったのか?」

(*゚д゚)

( ゚д゚)そ

( ゚д゚ )

(*゚д゚*)

('A`)「こっちみんな」

( ゚д゚)「オレ…ソイツ、コロス」

('A`)「ブーンは殺させねぇよ」

ξ゚听)ξ「ミルナ……」

( ゚д゚)「ツン…オマエモ、ジャマスル…カ? オマエジャマスル、オマエモコロス」

ミルナと呼ばれた男が、懐にエロ本をしまい腕をダラリとブラ下げる。

( ゚д゚)「オレサマオマエ、マルカジリ」

男の咆吼が、轟いた。



85: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/28(水) 00:42 c6YXEIocO


〜幕間〜

オナホ。

それは女性器を模した存在。

オナホ。

それは素晴らしき物。

右手が恋人である筈の童貞に、新たなる領域への扉を開く鍵。



童貞よ、刮目せよ。



童貞よ、己たれ。



自らの性剣を振るい立たせ、快楽に身を投じよ。

乳首を、アナルを、前立腺を。

あらゆる快楽を体感せよ。



童貞よ、童貞たれ。

そして全ての童貞に栄光あれ。



presented by 作者?

( ^ω^)右手より気持いいお!



89: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/28(水) 23:37 c6YXEIocO


( ゚д゚)「クラエ」

男が腕を振り被り、突き出す。

(;'A`)「くそっ…邪魔すんじゃねえよ!」

ドクオはそれを避ける為、後ろに飛び退ろうと試みる。

( ゚д゚)「アマイ」

突然、男の腕が伸びた。

蛇の様な動きでドクオに追従し、彼の首に喰らい付く。

(;'A`)「ッ……が…」

呼吸が止まり、全身に酸素が行き渡らなくなり、ドクオの顔はみるみる内に赤く変色する。

振りほどこうとするが、右手には水晶玉を掴んでいる為、満足な力を込める事ができない。

ξ;゚听)ξ「ミルナ! 止めなさい!」

( ゚д゚)「内藤ホライゾン、コロス。ホライゾンノナカマコロス。カゾクノカタキ」

ξ;゚听)ξ「……ミルナ……」

ツンは葛藤していた。

自分に彼が止められるのか。

止めなくとも良いのではないか。

復讐を。

復讐を誓ったのではなかったのか。

ξ )ξ「私は……」



( ^ω^)「人を殺すのは悪い事だお! 誰かが死んでしまえば悲しい事だお!」



ξ )ξ「私は……」



一発の銃声が、鳴り響いた。



91: 作者?◆sEiA3Q16Vo :02/28(水) 23:38 c6YXEIocO


( ゚д゚)「グゥ……」

銃弾が、ミルナの腕を貫いた。

(;'A`)「カハッ…ハァ! ハァ! …お前…」

ミルナの手から解放されたドクオは、存分に息を吸い込み酸素を行き渡らせる。
彼が向けた視線の先にいる人物。

ξ゚听)ξ「私は……」

ツンの手には、ピストルが握られていた。

白煙を僅かに立ち上らせ、つい先程銃弾を吐き出した事を誇示している。

( ゚д゚)「オマエモウラギル、オマエモテキ……オマエモ、コロス」

腕を撃たれたというのに、男は平然と立っている。

ξ;゚听)ξ「私は……」

( ゚д゚)「コロス、コロス、コロス、コロス……オオォオオオォォォォッ!!!」
('A`)「させるかよ。ショボン! 戻れ!」

(´・ω・`)「いや、ちょっと無理」

川 ゚ー゚)「逃がしはせんよ!」

クーと斬り結ぶショボンは振り向かず返事をする。

高速で繰り出される剣撃を弾き、避け、受け流す。

しかし、その度に彼の体に裂傷が刻まれてゆく。

(;'A`)「不味いな…時間が…」

見れば彼が握る水晶玉の明滅が激しくなっている。

まるで刻限が迫っていると言わんばかりに。

( ゚д゚)「ガアアァッ!」

(;'A`)「しまっ……」

ドクオの顔面に、ミルナの拳が突き刺さった。



95: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/01(木) 01:45 iIYgBJZcO




俺は、守れなかった。

俺は、何も出来なかった。
俺は……。

――願うか。

誰だ。

――取り戻したいか。

俺は……取り戻したい。

――ならば、契約せよ。



( ゚д゚)「ガアアァッ!」

そのまま地面に叩き付け、馬乗りになり何度も拳を打ち付ける。

一撃ごとに頭がアスファルトに打たれ、その度に鈍い音が響く。

手も足も出ない。

抵抗らしい抵抗も出来ない。

だが。

(#'A`)「負けて…られるかよっ!」

拳を受けながらも、ドクオは体を無理矢理右に回転させ、ミルナの側頭部に拳を叩き込んだ。

( ゚д゚)「ガッ…」

怯んだミルナの首を掴み、勢いを付けて地面に投げつける。

(#'A`)「寝てろ」

一度手を放し、体重を乗せて首筋に肘を打ち込む。

( д )

衝撃が伝導し、ミルナの意識は途絶えた。

('A`)「くそっ…時間が…」

ξ;゚听)ξ「あんた…その顔…」

('A`)「……………」

ツンの視線をかわす様にドクオは顔を背ける。

彼の顔、ミルナの拳を受けた部分の皮膚が剥がれ、その下には鈍く輝く金属が見えていた。

('A`)「……俺は、サイボーグだ」



〜第六話・完〜



( ^ω^)右手より気持ちいいお!



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