右手よりは気持ちいいよ
- 136: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/04(日) 19:15 3YxdOqnuO
愛とは何か。
それは胸の奥より沸き立つトキメキ、熱き鼓動。
愛故に人は戦い。
愛故に人は学び。
愛故に人は泣く。
愛は人を支え、人を貶める。
ならば問おう。
萌えとは何か。
愛と萌。
両者は極めて遠く、限りなく近い存在だ。
画面の中の彼女は微笑み、それは我々の凍てついた心を包み込む。
抱き締める事は叶わない。
触れる事すら叶わない。
あるのは冷たい、無機質な画面だけだ。
しかし彼女は存在する。
心苦しい。
求めても手に入らない、崇拝の念さえ覚えるこの痛み。
萌え、とはそんな。
我々の声無き叫びなのだ。
嗚呼、誰か。
我々を救ってくれ。
〜第八話・神聖との決別、解き放たれし性剣〜
- 140: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/04(日) 20:51 3YxdOqnuO
(´ω`)「股間が痛いお…」
('A`)「危険な状態だったんだ」
(´ω`)「もっとソフトなやり方は無かったのかお…もぉ血まみれだお…」
ベッドに腰掛けた内藤は、オムツを付けられていた。
( ^ω^)「ゴワゴワして気持ち悪いお」
('A`)「五分もすれば取れる。我慢しろ」
ξ゚听)ξ「…………」
(*^ω^)「そんなに見られると照れるお」
ξ )ξ「もっと、ショッキングな物を見せられたわ。今更……」
( ^ω^)「……お?」
ツンの言葉に、ドクオに顔向けて首を傾げる。
ドクオは首筋をポリポリと掻きながら。
('A`)「急いでたからな。ナニからナニまで見られたぞ」
事も無げに言い放つ。
( ^ω^)
( ゚ω゚)
(#^ω^)「マジぶっ殺すお」
(*'A`)「フヒヒwwwサーセンwwww」
『五分経過しましたわ、にーにー』
( ^ω^)「ロリコン乙wwww」
(#'A`)「てめぇ、俺の妹馬鹿にすんなよ」
悪態をつく内藤が履いたオムツのテープを摘み、一気に引き剥がす。
(*゚ω゚)「オフゥッ」
性剣の先端とオムツの生地が擦れ、内藤は奇声を上げる。
オムツから解放された内藤の性剣。
(;^ω^)「お〜……」
今まで性剣を包んでいた堅牢な鞘は、その姿を消していた。
かつて無い解放感。
時折股間を通り過ぎる隙間風が当たり、何とも言えない爽快感。
神聖の鞘を棄て、今まさに内藤の性剣は解き放たれた。
('A`)「たいしてデカさは変わらねえな」
(#^ω^)
- 143: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/05(月) 20:24 uC/C8NYAO
――拝啓、オフクロ様。
そちらは元気でやっているでしょうか。
春が近付いたとはいえ、まだまだ寒い日が続きます。
梅の木ではウグイスがさえずり、川辺りではツクシが元気に顔を出しています。
オフクロ様。
僕は今日。
包茎を捨てました。
- 144: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/05(月) 20:48 uC/C8NYAO
( ^ω^)「ドクオ、ショボンは?」
唐突に、内藤は口を開いた。
口を突いて出たのは、当然とも言える疑問。
('A`)「ショボンは…多分、死んじまったよ」
ドクオは敢えて隠さなかった。
内藤の目を見据え、ハッキリと言い放った。
( ^ω^)「…………そうかお」
予想はしていた。
だが。
( ;ω;)「ショボン……」
堰を切って溢れ出す涙は止められない。
ホモだった。
自分を殺そうとしていた。
だが。
友達だった。
( ;ω;)「僕が悪いんだお……僕が居なければショボンは死ななかったお……僕が……」
('A`)「よせよ、ブーン」
( ;ω;)「ドクオは悲しくないのかお……ショボンが、ショボンが死んでしまったんだお、僕のせいで…僕のせいでぇっ!」
パシン、と小気味の良い音が響く。
(#);ω;)「…………お?」
ξ )ξ「……かみたい……」
右手を振り抜いたツンが、肩を震わせたまま内藤の前に立っていた。
(#);ω;)「お?」
彼女が言った言葉を聞き取れず、内藤は思わず聞き返す。
ξ#゚听)ξ「馬鹿みたいって言ったのよ! 何よ、女みたいにベソかいて……あんたそれでも男なの? ショボンもこんな奴の為に死ぬなんて馬鹿げてるわ!」
少女は、叫んだ。
- 145: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/05(月) 20:50 uC/C8NYAO
(#゚ω゚)「お前に何が分かるんだお! 友達が死んだのに悲しんだらいけないのかお! お前に僕達の気持ちが分かってたまるかお!」
ξ#゚听)ξ「分かるわよ!」
立ち上がり、叫び返す内藤。
ツンは怯んだ様子も無く、更に大きな声で叫ぶ。
ξ#゚听)ξ「私達にとってもショボンは友達だった! 仲間だったわ!」
顔を赤らめ、腕を振り、少女は全身を使い叫んだ。
ξ;;)ξ「仲間だったのよ……」
叫びながら、少女は泣いた。
( ^ω^)「……………」
ξ;;)ξ「父さんも、母さんも死んでしまった時……私には何も残らなかった」
('A`)「……………」
涙と一緒に溢れる言葉を、内藤とドクオは何も言わずに聞き続ける。
ξ;;)ξ「辛かった、苦しかった、憎かった、殺してやりたかった……」
濡れた瞳の奥で、彼女の過去が去来する。
ξ;;)ξ「そんな私の前に、隊長やショボンが現れたの。“一緒に世界を救わないか”って」
( ^ω^)「……………」
内藤の未来。
ツンの過去。
産み出す破壊。
産まれる絶望。
二つの異なる物が、徐々に混ざりあう。
ξ゚听)ξ「毎日が訓練の連続だったわ…それでも、ショボンや他の皆が励ましてくれたわ」
いつの間にか止まった涙を、ツンは上着の袖口で拭き取る。
ξ゚听)ξ「内藤ホライゾン、あんたを殺す一心でね」
- 146: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/05(月) 20:51 uC/C8NYAO
ξ゚听)ξ「ショボンも、自分のお兄さんが殺された筈なのに…馬鹿みたい…」
少女の目が、真っ直ぐ内藤の目に向けられる。
ξ゚ー゚)ξ「私も、何やってんのかしら…」
つ、とその視線を反らし、ツンは自嘲気味に笑う。
ξ゚ー゚)ξ「分かんなくなっちゃったわ、自分が何をしたいのかが」
('A`)「馬鹿だなお前」
ξ#゚听)ξ「何ですって?」
股間に使用した機材を収納し終わったドクオが、溜め息混じりに言い放つ。
('A`)「悪い意味じゃねえよ。今頃気付いたのかって話だよ。未来を救うっつー大義名分で人殺そうってんだ、最初に気付けよ」
ξ゚听)ξ「……………」
('A`)「殺られたから殺りかえす。餓鬼の喧嘩かよ」
ξ゚听)ξ「……悪かったわね」
( ^ω^)「ドクオ…もういいお。それぐらいにするお」
見かねた内藤が、ドクオを止めようとしたその瞬間。
(*゚∀゚)「見〜つけた」
コンクリートの壁を細切れにしながら、赤毛の少女が飛び込んできた。
- 154: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/06(火) 11:46 777Vsrg0O
ξ;゚听)ξ「つ、つー! あなた……」
(*゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャ…ツン、忘れちゃった〜? アタシらの場所って逐一報告されてるって〜」
少女の言葉に、ツンの顔が青ざめたのが分かる。
(*゚∀゚)「忘れてた〜? 本当、ツンはおっちょこちょいだね〜」
手の中でクルクルと短剣を持て遊びながら、少女は歩みを進めてくる。
(*゚∀゚)「隊長、本気で怒ってたよ〜。ありゃマジで殺されるって」
ピタリ、と歩みを止め、一瞬の間があった。
('A`)「逃げるぞ!」
ドクオが叫んだのと同時に三人は駆け出し、奥へ奥へと逃げ込む。
(*゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!!!」
後ろからは少女の哄笑が追ってくる。
それが印となり、距離がどんどん近付いているのが分かる。
駆け抜けながら、薄暗いながらもここがどういった工場だったのか分かり始める。
どうやら鉄工所だった様だ。
プレス機などの機材は全て錆び付き、動かす事は出来そうにない。
(;^ω^)「ブヒヒィッ! ドクオ! 何とかしてほしいおぉっ!」
置いてかれまいと全力で走る内藤。
('A`)「何とかってもな。あいつにバイブ渡して見逃してもらうぐらいしか出来ねえ」
ξ;゚听)ξ「そんなモンで見逃す馬鹿がいるわけないでしょ!」
そんな事を言い合いながら三人は階段を駆け登る。
- 155: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/06(火) 11:48 777Vsrg0O
ξ゚听)ξ「そうだ!」
階段を登り切った所でツンが立ち止まる。
('A`)「止まってる暇はねえぞ! 何やってんだ!」
ξ゚听)ξ「あんたローション持ってたでしょ! アレ出して! 早く!」
('A`)「いや、何でいξ#゚听)ξ「えぇい! まだるっこしい!」
ドクオのズボンを掴んだと思うと、生じた隙間にツンは手を突っ込む。
(*'A`)「アフゥン」
ξ#゚听)ξ「頼むから気持悪い声出さないで」
こめかみに青筋を浮かべ、ツンはドクオの股間をまさぐる。
(*'A`)「んっ…ふあぁ…そ…こは…らめえぇ……」
ξ#゚听)ξ「あった」
彼女の手には、ピンクの液体が入った瓶が握られていた。
('A`)「俺…汚されちまったよ…」
( ^ω^)
そんな様子を、内藤はもの欲しそうに眺めていた。
ξ゚听)ξ「早くしないと……」
哄笑が近付いて来るのが分かる。
まるで自分の接近を伝える様に。
ツンは迷うことなく、ローションを階段にぶち撒ける。
('A`)そ「あぁっ!? 高かったんだぞ!」
ξ#゚听)ξ「死ぬよりはマシでしょ」
撒かれたローションを名残惜しむドクオの首を引きずり、再び走り出す。
アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャアッ――――――
しばらくして、哄笑は途絶えた。
けたたましい轟音と一緒に。
- 163: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/06(火) 21:24 777Vsrg0O
('A`)「あ〜あ、ありゃ痛ぇな」
ξ゚ー゚)ξ「昔、映画で似た様な事をしてたのよ」
( ^ω^)「おっおっお。今の内に逃げるお」
金網状の床を、三人は走る。
下を見れば、何に使うのかも分からない機械が所狭しと置いてある。
その狭い通路に、崩壊した機械が倒れ道を塞いでしまっている。
通り抜けようと思えば可能だが、かなりの時間を要するだろう。
つーが三人を追おうとするならば、階段を通過する必要があるが、そこにはローションが撒かれている。
('A`)「もうすぐ出口だ。しかしだな、お前…発信機か何か持ってるのか?」
ξ゚听)ξ「……これね」
ツンが上着のポケットから取り出した物は、携帯電話に似た物体だった。
( ^ω^)「あの時ショボンも同じ物を持ってたお」
内藤の言葉に、ツンは頷く。
ξ゚听)ξ「簡単に言えばGPS付きの携帯電話ね。場所も分かるし、連絡も出来るわ」
('A`)「……で、お前はそれをどうするんだ?」
ξ゚听)ξ「もちろん……」
それを手の上で持て遊んでいたツンは。
一度しっかりと持ち直し、軽く前にトスする。
放物線を描くそれ。
ツンは投げた右手を上着に入れ、一挙動で拳銃を引き抜き。
ξ゚ー゚)ξ「こうするのよ」
引金を、引いた。
- 164: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/06(火) 21:26 777Vsrg0O
乾いた音が響き。
それは粉々に砕けた。
('A`)「……いいのか?」
ξ゚听)ξ「つーが来た時点で駄目ね。あの子、ああ見えて洒落にならないわ」
(´ω`)「お……また僕のせいかお……」
ξ゚ー゚)ξ「私が自分で選んだんだから、仕方ないわ……」
肩を落とす内藤を見て、ツンは苦笑する。
ξ゚听)ξ「そういえば…まだ言ってなかったわね…」
( ^ω^)「お?」
ツンは首を傾げる内藤の正面に立ち、軽く息を吸う。
相手の目を真っ直ぐに見て、少し反らし、また見る。
微かに頬を赤らめ、言った。
ξ///)ξ「あ、ありがとう……あの時助けてくれて……」
(*^ω^)「おっおっお。男として当然だお。可愛いオニャノコは大事だお」(っしゃあああああぁぁぁぁぁっ! まだフラグは折れてないお!)
ξ///)ξ「か、可愛いなんて言われても嬉しくないんだからね!」
('A`)(ツンデレか…早く祟殺し編に行きてぇ…)
――ヒャヒャヒャ――
( ^ω^)「お?」
ξ゚听)ξ「今、何か…」
('A`)(沙都子たん…にーにーは…)
(*゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!!!」
道を塞いでいた筈の機材が吹き飛び、内藤達の頭上を越え、壁に突き刺さる。
彼女の赤い髪は、今は燃える様な深い紅に染まり。
その瞳は、猛虎の如く黄金に輝いている。
(*゚∀゚)「痛いよ、ツン。何でそいつをかばうの、ツン。ねぇ、ツン。」
両手に携えた短剣を一振りすると、そこから暴風が吹き荒れる。
(*゚∀゚)「手加減できないよ……アヒャヒャヒャヒャヒャッ!!!」
再び、少女の哄笑が木霊した。
- 177: 作者?◆sEiA3Q16Vo :03/07(水) 12:44 j9XKHWpXO
あんな事がいいな。
できればいいな。
誰もが持つ、夢が。
何処にでもある夢が。
たくさんあるけれど。
それらの夢を。
その背に背負い。
叶えようとしてくれる。
自分の事すら省みず。
叶えようとしてくれる。
私は空を飛びたい。
あの空を自由に飛びたい。
ハイ 白い粉〜(裏声)
これさえあれば素敵な世界にぶっ飛べるよ!(裏声)
『フハハハハ! 馴染むぞぉっ! 実に良く馴染む!』
〜第八話・完〜
〜第九話・最高にハイッてヤツだ!〜
( ^ω^)右手より気持ちいいお!
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