右手よりは気持ちいいよ
- 620: ◆sEiA3Q16Vo :04/19(木) 12:56 3PjVcPkAO
千軍の槍を持て。
千の槍を突き立てろ。
千の魂で踏み砕け。
千の怒りを放て。
突け。
穿て。
貫け。
進め、進め、進め。
千軍の槍を持て。
我等の前には万の敵が。
我等の後ろには万の屍が。
起て、発て、裁て。
立ち上がれ。
千軍の槍を持て。
〜第十八話・招宴のカルティケーヤ。絶えぬ怒りとしょぼくれ顔の友達〜
- 621: ◆sEiA3Q16Vo :04/19(木) 12:57 3PjVcPkAO
( ω )
ブーンのアナルは燃え付きた。
逞しき肉棒の侵略を受けて。
(*´・ω・`)「……良い締め付けだったよ」
( ω )
ブーンは答えない。
そこには純粋な何かが砕け散った少年が立ち尽くしていた。
ξ゚听)ξ「……生きてたのね」
(´・ω・`)「……あの後、ビロードに助けられたんだよ」
ξ゚听)ξ「ビロードが?」
(´・ω・`)「お礼に一発やらないか提案したら辞退されちゃったよ」
ショボンはそう言って心底残念そうに溜め息を突く。
ξ゚ー゚)ξ「……呆れた」
口ではそう言ったが、ツンの口元は若干緩んでいた。
- 622: ◆sEiA3Q16Vo :04/19(木) 12:57 3PjVcPkAO
( ^ω^)「……でも、生きててくれて嬉しいお」
ブーンは尻の辺りを擦る。
(;^ω^)(しばらく大きい方をするのが怖いお……)
(´・ω・`)「心配させてごめんね」
そんなブーンの心中を知ってか知らずか、ショボンは笑みを浮かべていた。
そして、ゆっくりとその笑みが消え、やがてこわばった表情へと変わっていく。
(`・ω・´)「……状況はビロードから聞いている。時間が無くなってきた」
ξ゚听)ξ「……どういう事?」
(`・ω・´)「彼等は……全ての時間を破壊するつもりだ」
ξ;゚听)ξ「…………嘘」
(´・ω・`)「残念ながら、本当だよ。彼等は時間を超えてあらゆる時代で大破壊を起こすつもりだ」
ショボンの言葉に、ツンは困惑し鼻白む。
ξ;゚听)ξ「……それが本当なら……」
( ^ω^)「………止めるお」
- 623: ◆sEiA3Q16Vo :04/19(木) 12:59 3PjVcPkAO
唐突に、ブーンは口を開いた。
( ^ω^)「……見て欲しいお」
上着の袖を捲り、自ら右手を露にする。
彼の視線は自身の右手に注がれていたが、ショボンとツンが息を呑むのが分かった。
ブーンの右手全体が、刺青にも似た紋様に覆われていた。
( ^ω^)「少し前から……現れたお」
淡々と。
( ^ω^)「僕は“僕”自身を止めなくちゃいけないんだお。それは僕の役目なんだお」
溢れる言葉。
( ^ω^)「だけど……」
しかし。
徐々にだが、彼の声に。
( ^ω^)「……二人にも……協力してほしいお」
決意と強さが宿る。
- 645: ◆sEiA3Q16Vo :04/20(金) 23:08 g6WRtZTKO
(´・ω・`)「ブーン」
そんなブーンの肩に、ショボンの手が置かれる。
強く。
熱く。
しっかりと指を食い込ませる様に掴み、ショボンは二、三度かぶりを振る。
ジッと、ブーンの目を覗き込み。
深く深く息を吸い込んで。
ショボンはハッキリと口にした。
(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」
( ゚ω゚)
- 646: ◆sEiA3Q16Vo :04/20(金) 23:09 g6WRtZTKO
ξ゚听)ξ「同感ね」
(;^ω^)「………お?」
もう片方の空いた肩に、ツンの手が置かれる。
こちらも必要以上に力が加えられ、ブーンは顔をしかめる。
(´・ω・`)「僕達は君が何と言おうと手伝うつもりだからね」
ξ゚ー゚)ξ「今更何を言ってるのかしらね、アンタは」
( ^ω^)「…………」
(´・ω・`)「行こう、ブーン」
フッとショボンが手に加えた力を緩める。同時に、こわばった彼の表情も弛緩する。
(´・ω・`)「君が行くなら僕達は何処にでも着いて行こう」
ξ゚ー゚)ξ「……ブーン」
( ^ω^)「お…………」
二人の手から、ブーンの肩に。
ゆっくりと暖かさが伝わる。
懲り固まった澱が溶け崩れる様に、肩から力が抜けていく。
( ^ω^)「……二人共……」
ブーンはいつもの柔和な笑顔を浮かべる。
晴れ晴れと、二人に向けて笑いかける。
( ^ω^)「ありがとう……だお」
ξ゚ー゚)ξ「……何を言ってるんだか」
(´・ω・`)「同感だね」
そんなブーンに、二人も笑みを返すのだった。
- 655: ◆sEiA3Q16Vo :04/21(土) 09:14 hc1XDPefO
――無機的な音が一定の間隔を持って暗闇に響く。
(・W)「……調子はどうだ」
/,'3 「少しは我慢出来んのか……もうすぐじゃよ」
暗闇の中の唯一の光源。
荒巻と内藤の目の前には一抱えもある巨大な球体が紫色に妖しく明滅していた。
光はまるで液体の様にうねり、球体の表面を伝い床に垂れていく。
光が自ら床を這い、球体を中心として広がる。
広がるに従い光の強さは増していき、それを見た荒巻は歓喜の表情を浮かべる。
/,'3 「ほっほっほ、この様子じゃと上手く行きそうじゃのう」
(・W)「……そうか」
/,'3 「……どうしたんじゃ?」
荒巻が振り返ると、内藤は自分のこめかみを押さえうつ向いていた。
(・W)「……“俺”の右手が……目覚めたみたいだな」
/,'3 「なんじゃと!?」
狼狽する荒巻のうめき声が暗闇に広がり、霧散する。
/,'3 「……影響が大き過ぎた様じゃな……」
二、三度喉の奥で唸ると、荒巻は再び球体と向き合った。
- 656: ◆sEiA3Q16Vo :04/21(土) 09:16 hc1XDPefO
(・W)「……………」
こめかみから手を放し、自らの右手をひとしきり眺めた後、内藤は踵を返す。
/,'3 「何処に行くんじゃ?」
歩き出した内藤の背中に荒巻の声が掛けられた。
内藤は立ち止まると、肩越しに振り返る。
(・W)「保険の回収だよ」
/,'3 「……保険じゃと?」
(・W)「……行ってくる」
荒巻が投げ掛けた質問に無言で答えると、会話を打ち切る様に言い残し、内藤の姿は暗闇に消えていった。
/,'3 「……………」
内藤が完全に見えなくなっても、荒巻の目は暗闇に向けられていた。
/,'3 「少し急がねばならんのう……」
荒巻は再び球体と向き合い、手をかざす。
/,'3 「全く……誰に似たのやら……」
一人ごちる荒巻の言葉は、球体が発する無機的な音に混ざり、溶け消えていった。
- 666: ◆sEiA3Q16Vo :04/21(土) 19:23 hc1XDPefO
〜幕間〜
親父にアナリスクを見付かる。
姉貴に自作エロ絵を見付かる。
弟に秘蔵のエロ本を見付かる。
嘘、虚構、欺瞞。
それらで塗り固めた、偽りの世界が崩壊する。
解放のカタルシスは肉親の手によって為された。
己を解き放て。
ようこそ、解放の楽園へ。
全ての童貞に幸あらんことを。
presented by ヒジキ業者
( ^ω^)右手より気持いいお!
- 667: ◆sEiA3Q16Vo :04/21(土) 20:31 hc1XDPefO
初春の陽射しが、ホテルの一室に差し込む。
身支度を整えたクーは、窓際に立ち全身に日の光を浴びる。
川 ゚ ー゚)「朝だな」
( ><)「朝なんです」
窓の外に目を向けたままクーは後ろに問掛ける。
椅子に腰掛けたビロードは、その問掛けに端的に答えた。
川 ゚ ー゚)「いい天気だな」
( ><)「快晴なんです」
端的な問掛けに、端的な回答。
互いにそれ以上の言葉を発する事は無かった。
川 ゚ ー゚)「行くとするか」
再び、端的に問掛ける。
しかし、今度は回答が発せられるまでしばしの時間が置かれた。
( ><)「後悔、しませんか?」
後悔、という単語をビロードは敢えて強調し、答えた。
川 ゚ ー゚)「………あぁ」
クーは一度眉根を寄せ、頷く。
- 668: ◆sEiA3Q16Vo :04/21(土) 20:32 hc1XDPefO
川 ゚ ー゚)「既に何千回と後悔した。あの日以来な」
頭の動きに添って流れてきた髪を指でとかす。
川 ゚ ー゚)「だから私は、悔やまぬように戦おう」
( ><)「……………」
川 ゚ー゚)「感謝するぞ……ビロード……」
(*><)「……隊長が何を言ってるのかわかんないです!」
クーの笑いを含めた言葉にビロードは赤面した。
ほてった顔を誤魔化す様に立ち上がり、扉に向かう。
そしてドアノブに手を掛けた所で振り返り。
( <●><●>)「フラグは?」
川 ゚ ー゚)「あるわけ無いだろ」
- 672: ◆sEiA3Q16Vo :04/23(月) 22:34 LVYb0Ix+O
( ^ω^)「……ここなのかお?」
(´・ω・`)「うん、間違い無いよ」
ショボンの案内でブーンとツンの二人は、喫茶店の前に到着した。
ξ゚听)ξ「……大丈夫なの?」
(´・ω・`)「状況が状況だからね、信用しても大丈夫だよ」
不安気に顔を曇らせるツンにショボンは一度笑いかけると、落ち着いた雰囲気の扉を開ける。
今時珍しいレコードのクラシックが店の奥から流れてくる。照明をやや落とした店内は使い込まれた独特の空気をかもしだしていた。
入り口は喫茶店に見えたが、店内の様子はどこかのバーを思い出させる。
入り口に備え付けられていたベルが鳴り、カウンターでグラスを磨いていたマスターがこちらに顔を向ける。
(^・ω・^)「やあ、バボーンハウスへようこそ」
(´・ω・`) ^ω^)゚听)ξ
(´・ω・`)(^ω^ ξ(゚Δ゚ξ
(´・ω・`) ^ω^)゚听)ξ
(´゚ω゚`) ゚ω゚)ξ゚Д゚)ξ
- 674: ◆sEiA3Q16Vo :04/23(月) 23:16 LVYb0Ix+O
マスターがこちらを向いた瞬間、三人の時間は停止した。
(´゚ω゚`)「……お」
( ゚ω゚)「お?」
(´゚ω゚`)「お」
ξ゚听)ξ「お?」
(´゚ω゚`)「……お爺ちゃん」
( ゚ω゚)゚Д゚)ξ『な、なんだってええぇえぇぇぇぇぇっっ!!!』
二人の叫びが、店内を木霊した。
「やっぱり同じ反応なんです」
ショボンの言葉に絶叫する二人の後ろから、声がかかる。
ξ゚听)ξ「ビロード!」
( ><)「隊長が待ってます。こっちなんです」
(^・ω・^)「?」
こちらに怪訝そうな目を向けるマスターを尻目に、ビロードは三人を伴い店の奥に向かった。
(;^ω^)「予想外だお」
(;´・ω・`)「まったくだ」
ξ;゚听)ξ「……嫌な時代ね」
( ><)「黙って着いてこいなんです」
- 675: ◆sEiA3Q16Vo :04/23(月) 23:16 LVYb0Ix+O
川 ゚ -゚)「……………」
通されたテーブルには、既にクーが腰掛けていた。
一度ブーンに向かって口を開こうとするが、結局は無言で椅子を視線で指し示す。
( ><)「座って下さい」
そう言ってビロードは椅子を二つ引くと、クーの後ろに立ち直立不動の姿勢になる。
( ^ω^)「……………」
ξ゚听)ξ「……………」
川 ゚ -゚)「……………」
(´・ω・`)「……………」
( ><)「……………」
静寂がその場を支配していた。
グラス一杯に注がれた液体がギリギリの状態を保つ。
そんな緊張が場に張り巡らされていた。
時間だけが過ぎていく。
口を開く者はいない。
だが。
やがて――耐えきれなくなったのか、ツンが唇を舌で湿らせる。二、三ど呼吸を繰り返し心臓を落ち着ける。
そして、一際強く息を吸い込み。
ξ゚听)ξ「――あn『ご注文はお決まりになりましたか〜?』
空気が、氷ついた。
- 677: ◆sEiA3Q16Vo :04/23(月) 23:19 LVYb0Ix+O
――誰だよ、マジ空気読めよ――
そんな五人の無言の叫びが、辺りに木霊した。
ξ゚听)ξ「―――――」
少し、待って欲しい。
ツンはそう口にしようとした。横に目を向ければ、ブーンも同じ顔をしていた。
ζ・勍)ζ「……あの、ご注文を……」
母がいた。
自分と同じ年頃だった母が。
ξ゚听)ξ「――あ、あの……」
(´・ω・`)「とりあえず、コーヒーを五つお願いします」
横からショボンの言葉が滑り込んできた。
ウェイトレスの少女は、『かしこまりました』と一言言い残し、カウンターへと歩いて行った。
ξ゚听)ξ「あ……」
( ゚ω゚)「お……」
(´・ω・`)「……どうかしたのかい?」
――その後、ブーンとツンは当惑する三人に事情の説明をする事となる――
(´・ω・`)「運命って素敵だね」
(;^ω^)「むしろ何者かの悪意が見え隠れしてるお」
川;゚ -゚)「事情は分かったが……話を本題に戻そう」
( <●><●>)「始まってすらなかったんです」
川# - )「……そうだな」
(;><)「冗談なんです! 怒らないでほしいんです!」
(´・ω・`)「……隊長」
川 ゚ -゚)「……そうだったな」
ショボンの言葉に、クーはこめかみの青筋を一先ず収めるのだった。
- 678: ◆sEiA3Q16Vo :04/24(火) 00:15 8IqTftK6O
川 ゚ -゚)「内藤ホライゾン」
クーがブーンへと向き直る。
( ^ω^)「お……」
その若干硬さを持った声音に、ブーンの体が僅かにこわばる。
川 ゚ -゚)「私がこんな事を言うのは、お前にとって不愉快な話だろう」
唇を噛み締め、膝の上で拳を固く握り締める。
肩を震わせ、絞り出す様に言葉をつむぐ。
川 ゚ -゚)「我々に……お前の力を貸してくれ」
( ^ω^)「分かったお」
川 ゚ -゚)「虫の良い話だが、我々には……」
(;><)「隊長」
川 ゚ -゚)「何だ、ビロード」
( ^ω^)「だから、手伝うって言ったんだお」
川 ゚ -゚)
唖然とした顔でクーが固まった。
脳の働きが停止し、目の前の少年をぼんやりと眺めている。
川;゚ -゚)「本当……か?」
( ^ω^)「あいつを止めないと、大変事になるお。今更そんな事にこだわってられないんだお」
当然の様に良い放ち、ブーンは再びクーを困惑させる。
(´・ω・`)「隊長」
川;゚ -゚)「む……」
(´・ω・`)「彼はこういう人間なんですよ」
そう言いながら、ショボンはにこやかに笑いかけた。
- 679: ◆sEiA3Q16Vo :04/24(火) 00:17 8IqTftK6O
ξ゚ー゚)ξ「隊長」
ツンも同様に、微笑んでいた。
ξ゚ー゚)ξ「彼を……信じてあげて下さい」
川 ゚ -゚)「……………」
二人の笑顔をひとしきり眺めた後、クーはブーンに目を向けた。
ニコニコと、人懐っこい柔和な笑顔の少年。
クーの目には、そう映った。
川 ゚ -゚)「……すまない」
ポツリ、と謝罪の言葉が溢れた。
( ^ω^)「………お?」
川 ゚ -゚)「すまない」
今度はハッキリと、強く口にした。
握り締めた拳をほどき、先程までの険しさがなりを潜めていた。
( ^ω^)「……僕は気にしないお……仕方の無い事だったお。だから、謝ってほしくないお」
川 ゚ -゚)「……………」
氷ついた様なクーの表情が、徐々に解きほぐれていった。
まるで憑き物が落ちたように、苦笑を浮かべていた。
ξ゚ー゚)ξ「……………」
ツンは手に持ったコーヒーを飲み干すと、席を立つ。
(´・ω・`)「どうしたの?」
ξ゚ー゚)ξ「ちょっと、ね」
そのまま店内を進み、カウンターの近くに立つ少女を見付ける。
ξ゚听)ξ(……お母さん)
声を掛けるか、掛けないか。
ツンが思案していると、入り口のベルが鳴る。
(^・ω・^)「やあ、バボーンハウスへようこそ」
『やっと見付けた』
良く知った声。
そして。
閃光が、全てを覆い尽した。
- 685: ◆sEiA3Q16Vo :04/24(火) 22:58 8IqTftK6O
――閃光。
破壊の光がその暴力的な力を解き放ち、閉鎖された空間を荒れ狂う。
カウンターを吹き飛ばし、調度品をねじ曲げ、窓ガラスを粉砕する。
(・W)「……まだまだ、か」
白煙を立ち上らせる右手を振るい、煙を散らす。
砕けた木材とガラスを踏みしだき内藤は悠然と店の中を歩く。
『お……………』
ガラリ、と瓦礫の一角が崩れる。
内藤は足を止め、視線をそちらに向けた。
( ゚ω゚)「……お前は……」
(・W)「よお、俺……いい格好だな」
( ゚ω゚)「…ふざ…けるな……」
体を半ばまで瓦礫にうずめたブーンを見下ろし、内藤は失笑した。
(・W)「ま、その状態じゃ何もできないだろうよ。俺はおとなしく見学してな」
口の端を歪め、鈍く笑うと内藤は踵を返し、更に瓦礫を踏み砕いていく。
内藤は足を止めると、瓦礫掴み引き上げる。
ζ--)ζ「……………」
そこには果たして、少女が倒れていた。
衣服が所々引き裂け、腕や足からは血が滲んでいた。
(・W)「……………」
内藤は空いた左手を使い、少女を抱えると肩に担ぐ。
その振動で、少女は僅かに身じろぎするが、目を覚ます事は無かった。
- 686: ◆sEiA3Q16Vo :04/24(火) 22:58 8IqTftK6O
( ゚ω゚)「……その子を…放せ……」
体を締め付ける瓦礫をどうにかして持ち上げようとするが微動だにせず、ブーンは仕方なしに内藤の背に言葉を投げつけた。
(・W)「黙ってろ」
内藤はブーンを一瞥すると、手に持った瓦礫を投げつけた。
肉が潰れる嫌な音を立て、ブーンは沈黙する。
ブーンが崩れ落ちた先の床に、血溜りが広がっていく。
ξ )ξ「お母…さん……」
微かに聞こえた声に、内藤は声の先に視線を向けた。
やはりブーンと同様にして瓦礫の下敷きになったツンの姿を見付ける。
(・W)「ツン……」
ツンの元に歩み寄ろうと内藤は踏み出そうとする。
しかし、何かに気付いた様にかぶりを振り、その場に踏みとどまる。
(・W)「馬鹿か…俺は……」
自嘲気味に呟くと、内藤は通りへと歩みを進めた。
騒ぎを聞き付け、集まってきた野次馬の視線を浴びながら内藤は歩き続ける。
その異様な雰囲気に、雑踏は何も言わずに道を開ける。
ξ )ξ「お母さん……」
消え入る様なツンの言葉は、喧騒と近付くサイレンの音に掻き消されるのだった。
〜第十八話・完〜
( ^ω^)右手より気持ちいいお!
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