吉良吉影が雛見沢にやってきたようです

124: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 02:33:46.00 ID:s1J4wEtl0
四日目

吉良「おはよう、早人」

早人「……おは…よう…」

吉良「(面倒くさい奴だ…)



196: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 18:49:21.78 ID:s1J4wEtl0
今日はまた一段とまぶしい朝だ
その日差しが、さらに私に夏を実感させる

吉良「おはよう、早人」

早人「……おは…よう…」

吉良「(面倒くさい奴だ…)」

背伸びをする私に川尻の妻が話かける

しのぶ「あなた…」

吉良「どうした」

しのぶ「早人…昨日、あんなに元気そうだったのに…」

吉良「……………そうだな」



198: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 18:52:23.88 ID:s1J4wEtl0
早人「行ってきます」

しのぶ「あっ…行ってらっしゃい」

吉良「……」

それにしても、まぶしい太陽だ。
こういう時はいつも、私の心には平穏による「暖かさ」が宿るものだったが…
何故か今日には、それが無かった

吉良「(私の心に宿る…昨日の出来事への杞憂か…せめて殺しておけば…)…じゃあ…私も、もう行くかな」

しのぶ「今日は早いのね。行ってらっしゃい」



199: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 18:56:43.54 ID:s1J4wEtl0
梨花「やれることは全てやったわ。山狗も味方につけた。警察も既に吉良を疑っている」

羽入「梨花は、よくやっていると思うのです」

梨花「あら…てっきり怒っていると思ったけど。こんなにも、大事な「古手家の秘密」を安売りして」

羽入「でも…大切な何かが足りないのです」

梨花「わかっている…わかっているわ」

それは『運』。前回も今回も、吉良の『運』と『行動力』によって全てが破壊されてきた―

昨日の夜
大石『そんな訳なんです。あなたの仲間ですから、何かわかっていることでも』

梨花『知っているのです…』

梨花『怪しい人…知っているのです』

大石『!…それは?』

梨花『レナはよくゴミ山に通っていたのです』

大石『ゴミ山に…ほうほう、確かに、そのことを知っている村人は、大勢いたようですね』

梨花『昨日会っているのです。ゴミ山にいる、「怪しい人」』



201: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:06:40.62 ID:s1J4wEtl0
大石『ゴミ山にレナさん以外の人間がいた―
   確かに、その事実だけで充分怪しいですね。犯行がもしゴミ山で行われていたとするならば―』

梨花『犯人は、恐らくその人なのです』

大石『その人とは―』

梨花『川尻浩作。一昨日引っ越してきた男よ。
   彼は何故か、しかも丁度レナが行方不明になった日に、その場所にいた
   圭一と魅音、あと川尻早人と沙都子も証明してくれるはずよ』

大石『ふむふむ、それは随分と確実な情報みたいで…いいでしょう
   吉良をマークします。どれだけ出来るかはわかりませんが―やれるだけやってみましょう』

梨花『それと大石…』

大石『はい?』

梨花『「超能力」って…信じる?くすくす…』



202: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:10:29.48 ID:s1J4wEtl0
羽入「大石は信じたのですか?」

梨花「100%信じたわ。あなたを目撃して、私の話が信じられない人間…
   そんなの、元から「自分は幻覚が見えるんじゃないか」と思い込んでいるような奴だけよ」

羽入「番犬は、動いたのですか?」

梨花「そうね。昨日の富竹の話を聞き、東京から『番犬』が出動した
   私に危害を加えるようなことがあれば―即、監視している番犬が吉良を殺すでしょうね」

羽入「でも全部…梨花が死んでからなのです…」

梨花「…」

梨花「やれるだけやっているわ。吉良自身に怪しいそぶりがあれば…きっと私が殺される前にも
   私は女王感染者…爆弾よ。見殺しに出来る訳が無いわ」



204: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:14:30.14 ID:s1J4wEtl0
教室全体に鈴の音が鳴り響く。校長の鳴らす振り鈴の音だ
教室内はやはり異様な空気だ

レナが行方不明―しかも綿流し前のこんな時期

下手に動けば…自分が殺されるんじゃないか…とか。そういった邪推が一番耳についた

魅音「レナを探しにいかない?」

圭一「そうだな…レナは俺たちの仲間だ。
   さらわれているとしたら、その犯人を俺は許せない」

でも「さらわれてる」ったってそれはまだ「願望の域」であって

早人「行こう」

圭一「早人……」

早人「行こう。きっと見つかるよ」



207: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:21:17.64 ID:s1J4wEtl0
梨花「(前の世界では奴は綿流しの朝まで沈黙した…)」

梨花「大石も呼ぶのです」

圭一「えっ!?あの警部か?…でも俺、あの人あんまり知らないぜ」

魅音「それに…そんなに簡単に動いてくれないよ。大体何処を探すつもり?」

梨花「ゴミ山。ここにいる…レナはきっと見つかるのです。
   (私と大石が会っていることを吉良が発見すれば、急いで私を殺しにくるかもしれない。そうなればそれでOK。番犬部隊が私の復讐を果たす
   そうでなければ、とりあえず大石との関係を親密にすることだって重要なはずよ

   それにもし私が死んだって…雛見沢症候群の人間が全員発狂するだなんて、そんなこと…そんなことが無いことだなんて、あの拷問狂との戦いの時に何度だって知ってるわ
   全て大丈夫…全て私一人の犠牲だけで済むわ)」



209: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:26:41.61 ID:s1J4wEtl0
大石「いやー、突然呼ばれてびっくりしましたよ。ンッフッフッフ」

魅音「げっ…本当に来た」

沙都子「しかも三人も仲間がいましてよ。警察なんて、割と簡単なものですのね」

梨花「それじゃ、出発進行なのです」

なんで梨花ちゃん、直接ゴミ山に呼ばなかったんだろう


梨花「レナはきっとゴミ山の隠れ家で寝ちゃって、その間に山が崩れて動けなくなってしまったのです」

圭一「そりゃー、ヤバいな。ただでさえも熱いってのに
   それに小便って、水分を取らないでも出るってはな……」

魅音「…」

圭一「ご、ごめん!」

沙都子「?」



211: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:32:05.09 ID:s1J4wEtl0
俺たちはゴミ山に到着した
大量の鉄が、俺たちを出迎える

大石「ンー、その仮説が本当なら、自衛隊でも呼んだ方が良さそうですねぇ」

圭一「そうすると、レナがここに来たのは夜か…」

魅音「その時間、周辺で何か崩れたという情報は?」

大石「ンッフッフッフ…でもその仮説はおかしいですねぇ…
   竜宮さんの父親は『今日は私が晩御飯をごちそうする』と礼奈さんに伝え、礼奈さんもそれを喜んでいたそうですから」

圭一「レナはそんな約束を破る人間じゃない…」

あたりに沈黙が流れる

沙都子「ま、まさか今頃…」

圭一「ば、馬鹿沙都子!」



212: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:37:11.87 ID:s1J4wEtl0
大石「で…今日はどういった御用で」

梨花「奴は、どうなの?」

大石「仲間の一人に見張らせていますが…何分、限界があります」

梨花「なんでもいいから難癖つけて捕まえてしまえば?」

大石「それが奴…無いんですよ。「難癖」をつけられるほどの、行動のほころびが、何一つ。交通法さえも」

梨花「…」

大石「(何故電話ではなくわざわざ呼んだのかは…聞くまでもない)
   そんなところです。すみません。いい情報を与えてもらえたのに」

梨花「それであなた…能力は?」

大石「いや、依然何も。見えるだけです。」



213: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:41:49.28 ID:s1J4wEtl0
梨花「それでいいわ。しばらく監視。見てさえいれば、何かしら綻びは出るはずよ」

大石「(古手梨花の能力では"この未来"はよめないってことだな)
   では、そうします。あと…やはり探したところ、興宮署にはスタンド使いは一人もいません」

梨花「そうね…。私も見たこと無いもの…。長年この能力を使ってきて。"スタンド使い"」


夕方5時

大石「まだ明るいですが…完全に暗くなると危険です。残りは私達が探すので皆様は帰ってください」



215: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:46:27.03 ID:s1J4wEtl0
圭一「仲間が真下に埋まっているとしても、何も探すことの出来ない俺達か…」

魅音「多分…気絶しているんだと思う。
   目覚めたらレナは声を上げる。私たちはそれを察して直ぐに助けてあげる。今は大掛かりにどけようとしても、返って掘り返すだけだし
   今はそれしか無いと思うよ。幸い大石さんも、頻繁にここを見回らせるって」

沙都子「帰りますわよ。梨花」

梨花「みー」



216: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 19:50:31.69 ID:s1J4wEtl0
家に帰る。
ガレージのシャッターを開け、玄関の扉を開け、二階に上がる

沙都子「あっ…」

その時、沙都子が何かを思い出したかのような声をあげた

梨花「みー、どうしたですか?」

沙都子「お味噌…帰り道で買うつもりが…買い忘れましてよ。私としたことが…」

梨花「みー。大変なのです」

沙都子「行ってきましてよ!」

梨花「気をつけるのです」


羽入「沙都子…、大丈夫ですか?」

梨花「100%大丈夫よ。このタイミングで、奴が人を殺すだなんて、ありえないわ」



223: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:09:47.20 ID:s1J4wEtl0
私は沙都子が来る間、テレビを見て暇を潰す
吉良を見てから、こんなに無意味に時間を過ごすのは初めてだった。大丈夫―やれることは全てやった

プルルルルル、プルルルルルル

大石の定時連絡だ。もう7時か。随分と早く時間が過ぎるのが感じられたようだ
それにしては、沙都子の姿が無いが…売り切れで、遠くのスーパーに行ってしまったとか?

大石「はい、興宮書房の石田といいます」

梨花「あら、今回は石田なのね」

大石「ンッフッフ、もしかして今までの次元で、似たようなこと。私しました?」

梨花「やってるわ。随分と。思えばあなたには随分と迷惑をかけられたわね」

大石「ンッフッフッフ、それはそれはすいません」



230: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:12:39.30 ID:s1J4wEtl0
梨花「で、本題は?」

大石「本当でしたよ。間宮律子。少し前に行方不明になっています」

梨花「でしょう」

いままでの大石の信頼が100%だとしたら、今ので信頼度120%は硬い
私は風がこちらに来ていることを感じ取った

梨花「それで北条鉄平の方は?」

大石「それがですね…」

大石「北条鉄平。こちらは…普通に興宮で暮らしていますね」

戦慄する

梨花「え…?」



231: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:15:28.18 ID:s1J4wEtl0
梨花「そんな馬鹿な…間宮律子の交際相手…でしょ?」

大石「間宮の交際相手は大体わかっています。でも、それは北条鉄平じゃない、そして
   行方不明はその間宮の交際相手の…浦川といった男です」

梨花「馬鹿な…」

大石「これが馬鹿じゃないんです。本当なんですよ。しかしだからといって私があなたを疑うって訳じゃ…」

ガチャン

大石「(ツー、ツー)梨花さん!梨花さん!?」

7時6分…

梨花「…、嘘…」



235: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:18:18.91 ID:s1J4wEtl0
そんな馬鹿な!そんな、前回もう打ち破ったじゃないか!
吉良に加えて…まさかこの男…

私の走り、沙都子の前の家まで戻る

予感通り…。この生活感…、馬鹿な…北条鉄平…

梨花「そんな…」

鉄平「何見とるんじゃ」

梨花「…」

鉄平「何見とるんじゃ、って言っとるんじゃ!おい!」



238: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:21:37.36 ID:s1J4wEtl0
梨花「この手は、一体何回沙都子をぶった手なの?」

鉄平「……」

バチン!
鋭い感覚が右の頬から左の頬へ抜ける

鉄平「ワシは沙都子と団欒仲良しじゃ、変な推測はやめい…」

梨花「(…もう怖くないんだ。前は…圭一がこれを打ち破った…
   沙都子も多分、前の記憶が残ってる…直ぐに…SOSをくれる…
   私の今の激情は…単に沙都子への虐待を酷くするだけ…)」

梨花「ごめんなさい」

鉄平「直ぐに認めるんなら俺につっかかるなや!クソガキ!」



241: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:24:40.91 ID:s1J4wEtl0
お願い…耐えて…
明日になれば私は児童福祉委員を呼ぶわ…今回は私達の手に、沙都子、あなた自らが手を伸ばしてくれるんでしょう?

梨花「……」

私はトボトボと帰路につく、帰り道までの道のりは、覚えていない

―午後8時

プルルルルル、プルルルルル

梨花「もしもし…僕なのです」

富竹「あ、梨花ちゃん?こちらも、かなり監視を強化してるよ」

梨花「…それは、ありがとうなのです」



245: ◆0y9Us4tj3E :2008/02/17(日) 20:29:34.35 ID:s1J4wEtl0
富竹「本当に安心していいよ。山狗も協力してくれてる。番犬と山狗の夢のスーパータッグさ」

梨花「本当に頼もしいのです」

富竹「特に助かるのは、小此木君がスタンド使いだったってこと」

梨花「小此木…が?」

富竹「そうさ、彼は数100メートル先から敵の動きを監視するんだ、
   彼と彼の部下だけで、吉良の動きは手に取るようにわかるといっていいよ。電話だってもう盗聴してる」

梨花「(吉良は電話は使わないけど…)本当に感謝感謝なのです。富竹はエラいのです」



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