( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです
- 555: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:03:27.02 ID:ZKsPX9dI0
- 第二十三話 『進化する最強』
そこは白と黒の支配する場だった。
上を向けば黒。
下を向けば白。
黒とは夜空。
白とは床上。
リトガーは、そんな場所に一人立っていた。
ここは『世界に矛盾を発する塔』最上階――屋上部だ。
彼はその淵で下方を見ている。
下で展開されていた戦闘は、ほぼ終了していた。
黒い残骸が山を作り、白い兵士が歓喜の声を上げている。
巨大な生物が血まみれで横たわり、巨大な機械は火花と共に黒い煙を上げている。
塔の根元では金髪の戦闘人形が回収されている。
そんな状況を、リトガーは静かに眺めていた。
(-_-)「愚かなことを……」
小さな呟き。
- 557: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:06:25.34 ID:ZKsPX9dI0
- 『世界交差』の時は近い。
彼女が行動を開始する前にハインリッヒを完成させておきたいというのに
あの者達は、どうしても己の邪魔をする。
己の代わりに世界を背負うとでも言うのだろうか。
馬鹿な。
背負えるものなら背負ってみろ。
ハインリッヒが倒されるようなことがあれば――
(-_-)「君達が世界の責任を負うことになるのだぞ……」
呟きは風に乗り、何処かへと消えていく。
今、何が決着しようとしているのか彼らは一つも解っていないだろう。
兄者が唯一知っている可能性があったが、当時の彼はまだ幼少だった。
日記を読んだことにより何か記憶が蘇ることも考えられるが、心配は無用だろう。
つまり何が決められるのか解らずに彼らは進軍しているのだ。
馬鹿らしい。
そもそもこの戦いに意味などあるのだろうか。
否。
くだらない、そしてまったくの無駄な戦いだ。
- 559: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:09:42.07 ID:ZKsPX9dI0
- (-_-)「無駄、か……」
全てを知るのは己と彼女だけだ。
クルト博士でさえ、おそらくは知らないまま死んだのだろう。
生きていれば。
彼が生きていれば――
(-_-)(もし、の話は無駄だな……)
思考を改める。
まずは指輪の回収だ。
クルト博士の最後の狂気によってバラ撒かれた指輪が、今ここに集合しようとしている。
自分が悪を演じれば来るとは思っていたが、まさか全てが揃うとは。
こんなチャンスはこれ以降は無いと思っていいだろう。
クルト博士の遺したハインリッヒを利用するのは少々心が痛む。
しかし、やらねばならないのが事実。
完成させねば、この世界に未来は無い。
- 561: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:12:15.81 ID:ZKsPX9dI0
- (-_-)「――そのためならば幾らでも罪を被ろう」
もはや迷いは無い。
それによって己が殺されても仕方ない。
しかし、この世界だけは――
くだらない愛界心。
しかしやれるのは自分だけだ。
他の人間に任せるわけにもいかない。
くだらない、本当にくだらない方向へ捻じ曲がってしまった人生。
恨むべき人も、恨むべき事象も無い。
ただ曲がるべくして曲がってしまった人生。
まるで、そうなることが決められていたかのような――
ガコン、と音が背後から響いた。
(-_-)「…………」
音源の方向を無言で振り向く。
そこには――
- 564: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:14:54.52 ID:ZKsPX9dI0
- 巨大床式エレベーターを動かして数分。
皆がその激しい振動と音に慣れ始めた頃。
突如、轟音がしたかと思えば、天井が開いていく光景が目に入る。
( ゚∀゚)「おっ、もうすぐ着くみてぇだな」
声と共に最上階へ到着する。
ガコン、という音が響き、遂にエレベーターは停止した。
風の音。
そして風の感覚。
屋上だ。
見上げれば満天の星、そして空虚な夜空が広がっている。
( ・∀・)「いい眺めだ……こんな場所で戦えることを幸運に思わねばね」
( ,,゚Д゚)「……いるぞ」
ギコの声と共に全員がある方向を向く。
(-_-)「来たか」
リトガー。
クルト博士の元・助手にして、彼の遺した『完成品』を何かに使おうとしている男。
そしてギコ達が持っている指輪を欲している男。
- 569: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:17:47.91 ID:ZKsPX9dI0
- ( ・∀・)「やぁ、こんばんは。 ずっと待っていてくれたのかね?
風邪でもひいたら大変だろうに」
(-_-)「そんなものは、もはや関係ない」
冷たく言い放たれる言葉。
モララーはその言葉から、一つの事実を確認する。
( ・∀・)(思ったとおり……彼はその後のことを視野に入れていない。
やはりここで死ぬつもりか……?)
解らぬが警戒は薄めない。
屋上へ到着した九人は、慎重にリトガーの元へと近付いていく。
いつでもウェポンを解放出来る心構えだ。
ジリジリと近寄る彼らを見て
(-_-)「随分と警戒されているね……安心したまえ、私は何もするつもりはない」
( ,,゚Д゚)「信じられんな」
(-_-)「ならば信用させよう」
動きは同時。
側にあるコンソールに手を掛け、何かのスイッチを押す。
- 572: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:20:08.76 ID:ZKsPX9dI0
- (´<_`;)「何をした!?」
(-_-)「そう慌てるな……君達の相手を用意するだけだよ」
瞬間、リトガーのすぐ傍らの床が小さく左右に割れた。
中からは――
(*゚ー゚)「カプセル……?」
培養液が満たされた緑色のカプセルがせり上がってくる。
( ´_ゝ`)「あのカプセルに『完成品』が入っている、か」
(´・ω・`)「ここは話の通りだね……」
ミ,,"Д゚彡「彼の言葉からすると、私達はこれからアレと戦うことに……?」
( ・∀・)「完成していない『完成品』を戦わせるわけかね。
ははは、ジョークしては面白くないし……どうやら本気のようだ」
せり上がる動きが止まった。
鎮座したカプセルは明らかに異質な空気を放っている。
その空気を一番近くで浴びながら、リトガーは更にコンソールを操作する。
途端、ガボガボと音を立てながらカプセル内部の培養液が抜けていった。
( ´_ゝ`)「……アレが『完成品』か」
見る。
カプセルのガラス色に紛れて見辛いが、確かに人型の何かが入っているのを。
- 576: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:22:24.17 ID:ZKsPX9dI0
- (-_-)「――解放」
言葉と同時、カプセルのガラス部が遂に開く。
そこから出てきたのは――
(∵)「…………」
宇宙人。
グレイ。
そんなイメージを受ける顔と胴体を持った生物。
目は何を見ているのか解らず
下半身は妙に短く
両腕は妙に長く
宇宙人、と言えば大体の人が想像するような形が、目の前に現われた。
(;´・ω・`)「……どう見ても『完成品』じゃないよね」
ミ;,,"Д゚彡「いえ、見た目で判断しては――」
(*´_ゝ`)「……可愛いかも」
ボソボソと輪を作って話を始める九人。
それが終わるまで律儀に待つリトガーと『完成品』。
- 583: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:25:18.50 ID:ZKsPX9dI0
- ( ・∀・)「一つ聞くが……それがまさか『完成品』かね?」
(-_-)「あぁ、間違いなくそうだ。
それと『完成品』などという呼び方はやめてもらおうか」
(´<_`;)「名前でもあるのか?」
(-_-)「『ハインリッヒ』という」
少々の沈黙が流れる。
(;゚∀゚)「それって完全に名前負けしてねぇか? っつか、名前の意味もわかんねぇし」
(-_-)「知る必要はあるまい……名は体を表すのだから」
( ゚∀゚)「んー……意味は『貧弱』とか?」
(-_-)「勝手に思っていろ」
ふと、右腕がポケットへと入る。
それを見たギコ、モララー、ショボン、弟者が一斉に構えた。
(-_-)「何回言えば解る……相手をするのは私ではない」
取り出したのは――
- 588: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:28:23.30 ID:ZKsPX9dI0
- (;*゚ー゚)「指輪……?」
彼の右手に指輪が握られていた。
その色は何とも表現しにくい色である。
虹色――が蠢いているという表現が一番近いか。
様々な色が一定の場所に留まることなく、指輪を這い回っているような光景。
(;'A`)「気持ち悪っ!!」
ドクオが心底気持ち悪そうに言う。
(;,,゚Д゚)「指輪、だと……? それは何だ!?」
(-_-)「私が『ハインリッヒ』用に、クルト博士の遺した研究資料から私が作り出したウェポンだ。
裏のウェポンとも言えるその名は15th−W『ラークレイング』」
( ・∀・)「自分で指輪が作れるのかね……ならば我々の指輪を狙う必要もないように思えるが?」
(-_-)「生憎『ルイル』が一つしか残っていなかったのでね。
だが、これで『ハインリッヒ』は更に力を向上させることが出来る」
(´<_` )「『ルイル』……?」
( ´_ゝ`)(やはりか……!)
- 592: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:31:08.68 ID:ZKsPX9dI0
- (´・ω・`)「これ以上武器を増やしてどうするつもりだい?
操作する身体は一つだろうに……まさかジェイルにみたいに腕を増やすとか?」
(-_-)「アレは機械知能でないと同時処理が出来ないという欠点がある。
だからね、増やすのは腕でも武器でもないのだよ」
そう言いつつ、彼は自然な動きで指輪をはめる。
瞬間。
ゴキリ、という生々しい音と共に両肩の関節が外れたかのように落ちた。
(;*゚ー゚)「!?」
(-_-)「さて、ここまでわざわざ御苦労だった……後は『ハインリッヒ』に全てを託すことにするよ」
( ,,゚Д゚)「どういうことだ!?」
(-_-)「所詮、貴様らは何も知らない。
『ハインリッヒ』に全てを任せ、ここで消え行くが良い」
- 596: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:32:40.40 ID:ZKsPX9dI0
- 次の瞬間。
いつの間にかリトガーの背後に居た『ハインリッヒ』が
(;'A`)「う、うわぁ!?」
大口を開けた。
もはや己の身体さえ凌駕する大きさの口内は、血のように赤々としている。
そのままリトガーを――
(;・∀・)「待ちたまえ!!」
(-_-)「時は満ちたのだよ……君達が来たことによってね。
世界は『ハインリッヒ』が背負うのだ」
バクン、という音と同時にリトガーの身体が飲まれて消えた。
(;´・ω・`)「……!!」
(;´_ゝ`)「食すとは、そのままの意味か……!」
『ハインリッヒ』の口内から骨が砕けるような音が響く。
モゴモゴと動かしたかと思えば、ゴクリとその塊を飲み込んだ。
- 599: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:35:10.17 ID:ZKsPX9dI0
- (∵)「…………」
(;,,゚Д゚)「化け物め――!」
ミ;,,"Д゚彡「ま、待って下さい! まだ変化が!」
見る。
『ハインリッヒ』の身体から、強烈な光が漏れ始め――
(;'A`)「何だ!? 何が起きてるんだ!?」
( ・∀・)「おそらくは食すことによって得たのだよ。
リトガーの脳内情報と、11th−W『ミシュガルド』――
そして15th−W『ラークレイング』とかいう指輪の使い方をね」
( ´_ゝ`)「新たな情報を得れば、身体がそれに適応する……!
常に進化する生物が『ハインリッヒ』の完成品たる所以の一つだ!」
(´<_`;)「兄者……何を知っているんだ?」
(;゚∀゚)「み、見ろ! 光が消えてくぞ!」
『ハインリッヒ』から出ていた、もはや目を開けておくのも難しい光が消えていく。
その中には、先ほどとは違う人影が確認出来た。
(;´・ω・`)「あ、あれは……」
( ,,゚Д゚)「……!!」
- 604: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:37:07.88 ID:ZKsPX9dI0
从 ゚∀从「――――」
そこにいたのは、先ほどまでの宇宙人ではなかった。
白いロングコート、白長髪、雪のように真っ白な皮膚。
その瞳は血のように赤く、ギコ達の方をジッと見つめている。
まるで――
(;゚∀゚)「し、失敗作……?」
そう、まるで彼女の真逆とも言える格好と雰囲気。
それが『奴』の身体から滲み出ていた。
(;'A`)「え……? さっきの奴はどこに行ったんだ?」
( ・∀・)「アレが今の『ハインリッヒ』だ。
おそらくはリトガーの遺志を継いだ、化け物だよ」
从 ゚∀从「…………」
ハインリッヒが一歩こちらに踏み出す。
対して、全員がウェポンを解放しながら構えた。
- 609: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:39:37.05 ID:ZKsPX9dI0
- (;゚∀゚)「15th−Wとかいう指輪の能力もロクに解っちゃいねぇ……油断してっと殺されるぞ!」
( ,,゚Д゚)「解っている……!」
从 ゚∀从「……ヒ」
声。
女のようで、しかし違うような……中性的な声だ。
それは突如として激変した。
从 ゚∀从「――ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」
瞬間。
妙な生々しい音と共に、前方へ突き出した腕から――
(´<_`;)「指!?」
十本の指。
それらが同時に放射線状に、高速で『発射』された。
一本一本が的確にギコ達を狙っている軌道だ。
(;゚∀゚)「うぉ!?」
連続した金属音が響く。
- 612: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:41:39.73 ID:ZKsPX9dI0
- (;'A`)「な、何が……!?」
ガロンの銃身を盾にして攻撃を防いだドクオが呟く。
ふと周囲を見渡せば、全員が各々の武器を盾にして構えていた。
その武器に突き刺さっているのは指。
赤い爪を鋭く光らせた、鋭利な槍を連想させる指だ。
十本の白槍ともいえるそれを束ねるのは二本の腕。
そしてその両腕を統括するのは――
从 ゚∀从「……ヒヒ」
ハインリッヒ――完成品。
(;,,゚Д゚)「な、何だ、この攻撃方法は――」
グラニードを盾代わりに突き立てたギコが疑問を口にする。
( ・∀・)「15th−Wとやらに関係がありそうだね。
体力が高いだけでは説明出来ない能力だ」
(;´・ω・`)「武器じゃ、ない……?」
言葉と同時。
ズルリ、と十の指が音を立てながら元の位置へ戻っていく。
从 ゚∀从「…………」
戻った手を開き、閉じる。
まるで己の腕の感触を確かめるかのような行為だ。
- 616: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:43:40.40 ID:ZKsPX9dI0
- ( ゚∀゚)「おいテメェ、その能力は何なんだよ?」
ミ;,,"Д゚彡「素直に言ってくれるとは思えませんが……」
( ゚∀゚)「馬ッ鹿、聞くに越したこたぁねぇだろ。
ここで情報得られりゃ、儲けモンだぜ」
(´<_`;)「お前はその『楽観的思考』っていう情報を封鎖しておけ」
(#゚∀゚)「あんだとぉ!?」
ジョルジュの怒号。
そして声が聞こえたのはその次の瞬間だった。
从 ゚∀从「……ノーリョク?」
ミ;,,"Д゚彡「え?」
从 ゚∀从「テメェ? ナンダヨ?」
まるで問いかけのような発言。
その妙な声を聞いていたモララーが、何かに気付いたような表情で
( ・∀・)「まさか……まだ情報が着床していないのか?」
(;'A`)「ど、どういうことッスか?」
- 620: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:45:41.38 ID:ZKsPX9dI0
- ( ・∀・)「リトガーを食したことにより、彼の知識や情報
そして付けられていた指輪の経験がハインリッヒの中に入ったと思っていたが……。
もしかすると、その情報は未だ脳内に根付いていないのかもしれない」
( ,,゚Д゚)「まだ奴は『本能』だけで存在していると?」
( ´_ゝ`)「だろうな……。
時間が経てば経つほど、得た情報がハインリッヒに浸透していくだろうが」
( ゚∀゚)「何かよく解らねぇが、さっさとぶっ殺した方がいいってことだよな?」
(´<_` )「その『馬鹿』という情報も封鎖しておけ……だが、同意だ」
ミ,,"Д゚彡「行きましょう!」
各々のウェポンを構えた九人が一斉に走り出す。
向かう先は、赤ん坊のような状態であるハインリッヒ。
情報と経験が完全に根付く前ならば、倒せるかもしれない。
全員がそれを思っていた。
『倒せるかもしれない』と。
その逆意は――
从 ゚∀从「アァァァァァ!!」
叫び声とも雄叫びともとれる、鼓膜を劈く甲高い声。
- 624: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:47:34.24 ID:ZKsPX9dI0
- その白い両腕を振りかぶり――
( ,,゚Д゚)「来るぞ!!」
ズドン、という轟音が聞こえてきそうな錯覚と共に両腕が発射された。
まさに二本の白槍。
片方は
(*゚ー゚)「!?」
片方は
( ,,゚Д゚)「ッ!」
それらは二人を狙う。
高速で向かってくる鋭い腕を、空中にいたしぃは羽ばたき一つで回避。
ギリギリで自分のいた空間を白槍が貫いていった。
強烈な勢いに空気がかき乱され、一瞬バランスを崩しかけるが耐える。
そのまま一気に突撃しようとした瞬間。
(;'A`)「しぃさん、後ろ!!」
(;*゚ー゚)「え!?」
見れば、伸びきったはずの腕がこちらに向かってUターンしてきている。
明らかに関節を無視した軌道だ。
その手のひらは開かれており、今にもしぃの体を握り潰さんと迫って――
- 627: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:49:50.10 ID:ZKsPX9dI0
- (;*゚ー゚)「そんな……!?」
咄嗟の判断。
身を側転するようにロールさせ、白槍から逃れようとする。
しかし、風を穿つ音と共に橙色の光で構成された翼を貫かれた。
片方の翼を穿たれたことにより一瞬だけ落下動作に入るが
(;*゚ー゚)「ッ!」
精神力さえあれば幾らでも息を吹き返す翼が、意思通りに身を具現化する。
( ,,゚Д゚)「ふぅ……」
空中で姿勢を戻した彼女を見つつ、ギコは巨剣を盾にしたまま安堵の息を吐いた。
(;,,゚Д゚)「しかし何なんだ、この攻撃は――」
地に突き立てたグラニードの刀身には、やはり白い槍ともいえる腕が突き刺さっていた。
生身の腕ならば一瞬で砕かれるはずだというのに
未だ腕はその形を保ちつつ、そしてウェポンに傷さえ入れている状態だ。
武器とは言えない、しかし武器と同等かそれ以上の存在。
- 629: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:52:21.30 ID:ZKsPX9dI0
- ( ,,゚Д゚)(これが15th−Wの能力、なのか……?)
見れば、攻撃をされなかったモララー達が一斉に攻撃を仕掛けるところであった。
ミ,,"Д゚彡「ッ!!」
大鎌を振りかぶり、ハインリッヒの首を両断せんという勢いで振る。
金属音。
ミ;,,"Д゚彡「なっ……!?」
从 ゚∀从「ヒュヒュヒュ!」
漆黒の大鎌は首を切り裂くことは無かった。
代わりにハインリッヒの歯が刃に立てられている。
そのまま笑い声を発するので、空気が抜けるような間抜けな音が混ざる。
ミ;,,"Д゚彡(――う、動かない!?)
大鎌を引き、そして押すが動かない。
まるで不動が当然とだいわんばかりに、ガッチリと両歯は大鎌の刃を固定している。
( ゚∀゚)「何やってんだよ、馬鹿が!!」
ジョルジュの声が背後から響く。
次の瞬間、フサギコの足元の真横を灰色の鎖が高速で這っていった。
それはハインリッヒの左足にしっかりと絡まる。
- 635: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:54:23.03 ID:ZKsPX9dI0
- ( ゚∀゚)「ひゃっは! これでぶっコケ――」
グン、と鎖が一気に引かれる。
ミ,,"Д゚彡「……え?」
だがハインリッヒは微動だにしない。
妙に思い、背後のジョルジュを見る。
(;゚∀゚)「ぬ、ぬがぁぁ! 何だコイツ!? 地面に根ェ張ってんのか!?」
伸び切った鎖が震えるがハインリッヒに影響は無い。
( ・∀・)「何をしているのかね、この馬鹿は」
声と同時。
モララーの2nd−W『ロステック』が横薙ぎにハインリッヒの顔面を捉えた。
硬質な音が激震としてその場に響く。
しかし、骨が砕ける生々しい音は聞こえない。
( ・∀・)「――!?」
気付く。
粉砕力の強化を受けた鉄槌がハインリッヒの顔面を砕けなかったこともだが
その衝撃が、彼女(彼?)の立ち位置さえ動かさなかったことを。
- 640: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:56:14.64 ID:ZKsPX9dI0
- ( ・∀・)「まさか、本当に地に根を張って――」
有り得ない仮定が口から漏れ出た瞬間。
从 ゚∀从「ヒッ!!」
轟音。
地に根を張ってはいなかった両足が白い床を蹴り飛ばし、真上へと跳躍した。
いや、もはや跳躍というレベルではない。
一気にしぃがいる空域さえも突き抜ける。
ミ;,,"Д゚彡「う、うわぁぁぁ!?」
(;゚∀゚)「おぉぉぉぉぉ!?」
無論、くっついていた二人も道連れにされる。
その様子を少し離れた場所で見ていた兄者が
( ´_ゝ`)「絶対に武器を放すな! 喰われるぞ!」
ミ;,,"Д゚彡「そ、そんなこと言われましてもぉぉぉ!?」
高く舞い上がった声がみるみる落ちてくる。
少し遅れてジョルジュの悲鳴。
- 644: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 21:58:28.62 ID:ZKsPX9dI0
- 从 ゚∀从「ヒハァァァァ!!」
叫声と共に白い床にハインリッヒが墜落――否、激突する。
撃音と激しい振動が地を襲った。
その際に生まれた衝撃波が地上に残った者達に襲い掛かる。
(;'A`)「な、何だよ、今のは……!?」
(;´・ω・`)「フ、フサギコさんとジョルジュは――」
砂煙の中。
そこから出てきたのは――
( ・∀・)「やれやれ……男を抱く趣味はないのだがね」
(´<_` )「まったくの同意だ」
モララーがフサギコを、弟者がジョルジュの身体を抱きかかえるように捕獲していた。
ジョルジュがユストーンを標的から外しながら
(;゚∀゚)「ヒュ〜、あっぶねぇ……危うくミンチになるとこだったぜ」
慌てて退く。
衝撃によって外れた大鎌を持って、フサギコも同じくその場から退避する。
ミ;,,"Д゚彡「正直、死んだかと思いました……」
( ・∀・)「ではその拾った命、存分に使いたまえよ」
- 648: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:00:34.70 ID:ZKsPX9dI0
- 皆、その奇抜な攻撃方法と異常な頑丈さ、そして卓越した運動能力に戸惑っていた。
その様子を見た兄者とモララーは、一つのアイコンタクトをとる。
内容は簡潔だ。
『時間を稼げ。 その間に皆を落ち着かせる』
頷いたのは兄者だ。
桃色の書物を片手に、ハインリッヒの元へと歩き出す。
(;'A`)「え、兄者さん?」
( ・∀・)「皆、少しの間……私の話に耳を傾けてほしい」
兄者の歩く姿を遮るようにモララーが両手を広げた。
( ,,゚Д゚)「おい、どういう――」
( ・∀・)「時間が無い」
威圧感。
その普段の彼が出し得ない気を感じ取り、ギコは素直に黙る。
( ・∀・)「いいかね? 状況と情報、そして経験からの判断だが――
15th−W『ラークレイング』の能力内容が解った」
ミ,,"Д゚彡「一見すると武器ではないようですが……」
( ・∀・)「そう、武器ではないのだよ。 その能力内容は――」
- 655: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:02:57.20 ID:ZKsPX9dI0
- (;^ω^)「リミッター解除?」
轟音を奏でながら上を目指す巨大エレベーター内。
その空間内で、ブーンはクーの話に耳を傾けていた。
川 ゚ -゚)「そう、リトガーが作った15th−W『ラークレイング』の能力は
人体のリミッターを解除することを可能とするウェポンなんだ」
何故、彼女がそんな事を知っているのか。
理由は簡単だった。
彼女はしばらくの期間、リトガーと共にいたことにより、いつでも研究内容を覗こうと思えば覗けたのだ。
そして彼女は、偶然生まれた興味本位で15th−Wの内容を知ることとなる。
川 ゚ -゚)「生物というのは、元々その身体にリミッターが掛けられているんだ。
人間なら、本来は500kgの物くらいは持ち上げられるほどの筋力を持ち合わせている」
( ^ω^)「…………」
川 ゚ -゚)「だが、それは故意にやろうと思っても出来ない。
何故か解るか?」
(;^ω^)「えーっと……ちょっと解んないお」
川 ゚ -゚)「筋繊維が大量に切れ、筋肉の組織自体を破壊してしまうため
力の指令を出す脳にリミッターが掛かり、全ての力を出せないように制御されているからだ」
(;^ω^)「おっおっ?」
突然難しい話になり、少しついていけない様子なブーン。
そんな彼を咎めることなく、クーは淡々と語っていく。
- 660: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:05:42.20 ID:ZKsPX9dI0
- 川 ゚ -゚)「つまり15th−W『ラークレイング』とは
そのリミッターを解除し、生物の基礎能力自体を底上げする、というわけだ」
要は火事場の馬鹿力を自在に発揮出来ることなのだ、とブーンは解釈する。
しかし疑問がそこで浮かんだ。
(;^ω^)「で、でも……そんなことすれば身体が耐えられないんじゃないのかお?」
つい先ほどの説明。
リミッターを解除すれば筋繊維が断ち切れ、筋肉の組織自体が破壊されてしまう。
その疑問に対し、クーは一つの答えを用いた。
川 ゚ -゚)「15th−Wの能力はリミッターを解除するだけではないんだ。
使用者の細胞や組織、骨を変質・変化・強化し
そのリミッター解除状態に耐えられる身体を作り出す……」
つまり
川 ゚ -゚)「あのウェポンは『身体を武器化する』という意味に近い。
そして正確な能力を言葉にするならば……『人体の限界突破』、だ――」
- 663: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:07:53.39 ID:ZKsPX9dI0
- ( ´_ゝ`)「やれやれ……俺がこんな化け物と戦う羽目になるとは」
頭をガシガシを掻きながら、ハインリッヒに近付いていく。
その異常といえる威圧感を身に受けながら、しかし彼は足を止めない。
説明をモララーに任せた理由は簡単だ。
自分では説得力が無いから。
ただ、それだけだ。
そして説明をするには時間が必要。
その時間を確保するのが己の役目。
从 ゚∀从「ヒヒ……ヒャヒヒ!」
首を捻じ曲げながら奇声を上げる完成品。
その凄惨な状態を見つつ
( ´_ゝ`)「クルト博士……アンタも、こんなモノは作りたくなかったろうに」
彼はただ、最強の生物を作りたかっただけなのだ。
子供のような幻想を本気で追い求めただけなのだ。
それを汚すような行為をしたのはリトガー。
許せない。
許すわけにはいかない。
- 671: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:10:01.51 ID:ZKsPX9dI0
- 兄者は心の中で怒りの炎を燃やす。
しかしその怒りをぶつける相手は、もはやこの世にいない。
目の前の化け物と同化してしまっているからだ。
だから兄者は思う。
せめてコイツだけは消滅させる、と。
( ´_ゝ`)「悪いな、ハインリッヒ……お前は俺から見れば不良品だよ」
从 ゚∀从「フリョーヒン?」
( ´_ゝ`)「そ。 お前は在っては駄目なんだ」
言葉と共に書物を開く。
瞬時にページ内容を選択し、時間を稼ぐに相応しい術を選ぶ。
( ´_ゝ`)「これで動きを止めれるか解らんが――」
ページを一枚破る。
放り投げた途端、その場に緑色の魔方陣が生成された。
緑光と風。
- 676: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:11:49.40 ID:ZKsPX9dI0
- ( ´_ゝ`)「喰らっとけ」
瞬間。
魔方陣から緑色の槍が四本、上空へ向かって撃ち出される。
それは一旦空中で静止したかと思えば――
从 ゚∀从「!」
ガラスが砕けるような音と共にハインリッヒに突き刺さった。
それは止まることなく身体を貫通し、遂には地面に打ち付けられる。
( ´_ゝ`)「ま、しばらくこれで黙っててくれや」
やる気なさげに片手を振りながら言う。
対してハインリッヒは――
从 ゚∀从「ヒャヒヒヒヒ!!」
激音。
一瞬ハインリッヒの筋肉が隆起したかと思った瞬間、拘束していた緑の槍が砕かれた。
(;´_ゝ`)「あー、やっぱなぁ……そうなるよなぁ」
15th−Wをリトガーが作ったというのならば、その力を他のウェポンより弱くするわけがない。
しかし、このくらいは予想済みだ。
- 683: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:13:40.04 ID:ZKsPX9dI0
- ( ´_ゝ`)「でもなぁ……あー仕方ない、戦るしかないわけか」
両足を肩幅に広げ、片手で書物を開きつつ構える。
正直、先制攻撃を仕掛ける気にはならない。
兄者の魔法攻撃は高威力・広範囲故に敵を見失い易いのだ。
対多数戦ならば兄者の独壇場だが、一対一となると途端にその弱点を露呈する。
十五のウェポンの内、最も使う場所・状況が限定されるのが4th−W『アーウィン』であった。
そして今。
その最も苦手とする戦場で、兄者は最強生物と相対している。
仲間のため、そして己の尊敬する人のために。
从 ゚∀从「ヒャヒャ!」
来る。
ここにきて、初めてハインリッヒ自らが足を踏み出してきた。
近接か――
そう判断した兄者は、バックステップの動きで距離をとる。
- 691: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:15:40.42 ID:ZKsPX9dI0
- ( ´_ゝ`)「!」
その動きをすることを、まるで解っていたかのようにハインリッヒの右腕が動いた。
突き出す。
そこから発せられるのは腕という名の槍だ。
発射は一瞬、速度は高速。
相対距離十メートル以上はあるというのに、その差は刹那の間に埋まった。
(;´_ゝ`)「くっ……!」
右肩を左前に出す動き。
その空間を白槍と化した腕が突き抜けていった。
右肩甲骨辺りに鋭い痛みが走る。
(;´_ゝ`)(避け損なった……最近の運動不足が祟ったか)
出血の確認をせずに、すぐさま反撃に移る。
書物のページを破り――魔方陣が展開。
青色の魔方陣から発せられたのは『風』だ。
風の形の名は『短剣』。
小さなナイフともいえる風の刃が、兄者の周囲に次々と現われる。
その数は無数。
( ´_ゝ`)「切り刻めよ、青の暴風!」
合図と共に風が動いた。
轟、という重々しい音と、風を切る細かい音が重なる。
- 700: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:18:00.03 ID:ZKsPX9dI0
- それらは躊躇することなくハインリッヒに牙を剥いた。
刺突音が連続で――
響かなかった。
(;´_ゝ`)「!?」
無数の風のナイフが突き刺さった空間に、ハインリッヒがいない。
そのことから兄者は一つの可能性を感じた。
(;´_ゝ`)(ミシュガルドの幻術!?)
まずい。
奴はもう11th−Wの使い方を憶えている。
では、本体は――
从 ゚∀从「――ヒヒ」
背後から声。
背筋に異常な悪寒が這い登った。
慌てて振り向こうとした途端、身体を押される。
振り向こうとしていた身体の回転は止められ、バランスが崩れた。
何とか体勢を保とうと出した足を――
(;´_ゝ`)「おっ……」
引っ掛けるかのように掬われる。
半ば仰向けになりながら、兄者の身は地面に倒れていった。
- 706: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:20:02.81 ID:ZKsPX9dI0
- そして気付く。
いつの間にか上空から、先ほど攻撃してきた白い腕が自分目掛けて真っ逆さまに向かってくるのを。
(;´_ゝ`)(このまま串刺しにするつもりか――!!)
身を動かす。
駄目だ。
地面に倒れた反動で自由に動いてくれない。
鈍い音が己の腹の目の前で響いた。
从 ゚∀从「……ヒ?」
(;´_ゝ`)「ぐっ……!」
未だ兄者は無傷であった。
咄嗟に、盾のようにして桃色の書物を腹の上に持ってきたのだ。
その書物の半分以上を貫いて白い腕が突き刺さっている。
力が拮抗するが、やはりハインリッヒの方が強かった。
ギリギリと耳障りな音と共に書物が貫かれていく。
このままではいずれ穿たれ、きっと己の腹に穴が開くことだろう。
从 ゚∀从「ヒヒ、ヒヒヒヒヒ!!」
奴もそれに気付いたようだ。
ますます力を入れ、兄者の腹をぶち抜こうとする。
- 711: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:22:54.00 ID:ZKsPX9dI0
- 一枚、また一枚と書物のページが貫かれていき――
(;´_ゝ`)(ここまでか……!!)
心に諦めの精神が宿りかけた瞬間。
(´<_`#)「兄者!!」
突如、ハインリッヒが真横に吹き飛んだ。
つられるように、桃色の書物を穿っていた腕が抜ける。
(´<_` )「兄者、無事か!」
斥力を放ち、少々の煙を上げるジゴミルを構えた弟者が駆け寄ってくる。
(;´_ゝ`)「ぶっちゃけ、もう駄目かと思った」
( ・∀・)「ははは、馬鹿約一名がなかなか理解してくれなくてね」
(;゚∀゚)「うっせぇよ、馬鹿」
救出されながらその場を退避する。
その先で作ったのは弟者が先頭の陣形だ。
少し遠い場所で起き上がりながら笑っているハインリッヒを見ながら
( ´_ゝ`)「……で、俺が時間を稼いでいる間に打開策は出たのか?」
( ・∀・)「奴が経験で進化していくのならば、更に圧倒的の力をぶつければいい」
( ´_ゝ`)「やはりその結論しか無いみたいだな」
- 716: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:25:22.33 ID:ZKsPX9dI0
- ミ,,"Д゚彡「しかし、そんな力をすぐに用意できるのなら苦労はありませんよ」
( ,,゚Д゚)「結局のところ、地道にダメージを積みかねるしか手段は無い、か。
非効率的な手段だ……」
(´・ω・`)「非効率的だろうと、方法がそれだけならやるのみだね。
嘆いてたって仕方ないよ」
( ・∀・)「諦めるにはまだ時期も尚早……やれるだけやってみるしかあるまいか」
('A`)「……全員同時限界突破なんてどうッスか?」
( ・∀・)「その『全員』が揃っていない状況で、それはしたくないね。
やるとするならば、内藤君とクー君を待つのが正解だ」
(*゚ー゚)「となると……今の私たちがやるべきことは
内藤君とクーさんが来るまで、出来るだけハインリッヒの力を削っておくことね」
( ´_ゝ`)「一見攻撃が効いてないように見えるが、実はしっかりとダメージは積み重なっているはずだ。
奴とて生物……その範疇からはどうやっても逃れられない」
( ,,゚Д゚)「その情報はありがたい……皆、行くぞ」
全員が、それぞれの武器を構える。
- 723: ◆BYUt189CYA :2006/12/01(金) 22:27:35.13 ID:ZKsPX9dI0
- それを見たハインリッヒが笑い声を止めた。
从 ゚∀从「コウゲキ……? ウェポン……?」
そして
从 ゚∀从「セカイ……?」
その呟きともいえる声を耳に入れたモララーが答えた。
( ・∀・)「君が何を知っているのか解らないが――
ある意味、この戦いは世界の行く末を決めるのかもしれないね」
( ,,゚Д゚)「それは大層なことだ……だとすれば、勝てば俺達は世界の救世主だな」
( ´_ゝ`)「あまり柄に合わんのだがな」
その場にいる全員が、兄者の言葉に少し笑みをこぼした。
( ,,゚Д゚)「――いくぞ!」
ギコの鋭い声と共に戦闘が再開される。
しかし彼らは知らない。
この戦いは単なる矛盾との戦いではないことを。
この戦いに勝った側が――世界を背負うことになるということを。
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