( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです
- 2: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 20:55:36.29 ID:pSzuOyHY0
- 夢の中にいた。
僕はその中で誰よりも幸せ。
失くしてしまった筈の両親、信頼のおける仲間、緑溢れる町並み。
欲しいもの全てがあったから、忘れてしまっていた本当の自分を取り戻す事ができた。
でも、唐突にその幸せは音を立てて崩れ落ちていく。
壊したのは僕かもしれないし、彼女かもしれない。
いや、罪を擦り付け合うのは止めよう。
きっと、それは2人の罪だった。
だから、僕らは罰を与えられた。
それで終わるはずだったけど、彼女は罰を与えられた事に気付かなかった。
神様は彼女にもう一度、罰を請けろと怒り狂う。
でも、そんな事はさせない。
僕が彼女の分まで罰を請けようじゃないか。
許されるまで、何度でも何度でも。
それが僕のすべき事。
世界にではなく、彼女への罪滅ぼし。
- 4: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 20:56:45.17 ID:pSzuOyHY0
「ブーン!あなた!二人とも起きて!」
夢を終わらせた誰かの一声。
目を開けても、視界がぼんやりとしていて、いまいち把握できない。
( ^ω^)「んあ〜、ここはどこだお〜?」
('、`*川「何寝ぼけてるのよ。あなたの家でしょ、まったくもう。」
目の前の女性は呆れるようにそう言った。
見覚えがあるような、無いような人。
('、`*川「ほら、あなたも起きなさいよ。もう、ご飯よ。」
( ゚∀゚)「ん?ああ、おはようございました。」
隣で寝ていた男も、どうやら半分夢見心地のようで、なんだか気の抜けているような顔をしている。
そして、言ってはいけないと思われる言葉を発した。
(;゚∀゚)「……あんたら、誰だっけ?」
- 6: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 20:58:05.43 ID:pSzuOyHY0
女性の顔が般若のように歪む。
ゆっくりと男に近づき、そのままサブミショッンを決めた!
('、`*川「あんたねぇ!最愛の妻と息子の顔を忘れるとは見上げた根性してんじゃないか!」
(;゚∀゚)「いたたたた!違うんだよ、ちょっと寝ぼけてただけなんだ。許してくれよマイハニー!」
もちろん、女は手を休める事なく様々な技を繰り出す。
今後一切、歯向かってはいけないと僕の脳が指令を出していた。
だが、今の問答で情報を会得できた。
どうやら、この人たちとは家族の仲であるらしい。
僕の本当の両親は死んでしまったが、この雛見沢の仮親ということなのだろう。
神様のサービスなのか、何かの都合なのか……。
それにしてもこの二人、どう見て20歳後半ぐらいにしか見えない。
……間違ってんじゃないかな、この設定。
- 7: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 20:59:40.71 ID:pSzuOyHY0
- ('、`*川「ブーン、手を洗ってきなさい。すぐにご飯だから。」
(;^ω^)「は、はい、わかりました。お母さん。」
矛先が自分に向いたのかと思って、敬語になってしまった。
怯えたっていいじゃない、人間だもの。
( ゚∀゚)「よし、ブーン。俺も行くぞ、それ行くぞ!」
(;^ω^)「べ、別に付いて来る様なことじゃないお?」
( ゚∀゚)「……空気嫁。」
父さんがぼそっと漏らした後ろでは、母さんが物足りない様子で立っていた。
どうやら、技をもう少し試したかったようだ。おっかねぇ。
- 10: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:02:12.79 ID:pSzuOyHY0
パシャパシャと手を洗っていると横で父さんが顔をしかめていた。
悩みでもあるのか、どこか暗い表情。
( ^ω^)「どうしたんだお?」
( ゚∀゚)「ん?ああ、えっとなぁ……。」
何かを誤魔化すかのように、一呼吸置いてから、話を続ける。
( ゚∀゚)「……お母さんに関節技決められて思ったんだがな、あいつ胸小さいなぁ。」
(;^ω^)「はぁ?」
( ゚∀゚)「うん、あれはBカップだな。間違いない、そして物足りない。」
(;^ω^)「そんな事、結婚する前に気付くもんじゃないかお?」
( ゚∀゚)「ん?それもそうだな。でも、これだけは覚えておけ!」
( ゚∀゚)「このジョルジュ長岡……じゃねぇや、内藤ジョルジュが愛すものはおっぱいのみ!
おっぱいがこの俺の全てであり、俺こそがおっぱいなんだぁああああ!!!」
意味不明な言葉を、家中に轟くようにそう叫んだ……『ジョルジュ』。
もちろん、その声を聞きつけた母さんに関節技を決められたのは言うまでもないだろう。
- 11: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:03:59.96 ID:pSzuOyHY0
食卓に並ぶ、具沢山のカレーと、色鮮やかなサラダ。
部屋中を包み込むカレーの匂いに食欲をそそられる。
('、`*川「明日から学校なんだから、たっぷり食べて精力つけておきなさいよ。」
( ゚∀゚)「ペニサス、俺たちも夜の為に精力を……。」
( ^ω^)「明日からが学校かお?」
('、`*川「そうよ。引越して来て初めての学校なんだから張り切って行きなさいね!」
ジョルジュの発言を華麗にスルーして『ペニサス』が話を進める。
('、`*川「そういえば、前原君だったかな?ブーンと一緒に転校してくるらしいから、仲良くなれるかもね。」
( ^ω^)「お!もちろん仲良くなるお!」
圭一か。僕の友達になりたい候補No.1だ。
頭脳明晰でユーモアもあり、なにより人を思いやることが出来る。
以前、モデルガンで児童襲撃事件を起こしてしまったという過去もあるが……ここ雛見沢では関係の無い事。
きっと、大切な仲間になれる。
- 13: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:05:27.56 ID:pSzuOyHY0
ご飯を食べ終えた僕は、お風呂に入り、自室へ向かう。
明日は早い。今日はゆっくりと休む事にしよう。
カレンダーに目をやると、×印がついていて今日の日付を確認する事が出来た。
昭和58年5月22日か……綿流しまで丁度1ヶ月。
時間には割と余裕があるか。
夢にまで見た雛見沢での生活だ。
きっと、楽しい日々が送れるだろう。
でも、忘れるな。
僕は元の世界でも充分に幸せであり、それを投げ捨てでも、やり遂げなければいけない何かがあるんだという事を。
そして、世界を救わなければいけないという事を。
全ては生きていることが前提の話だ。
転生が出来るといっても、あの神様が確実にそれを成してくれるとは思わない。
……行動は確実性をもって慎重に行おう。
時間は流れ、夜の闇が僕を包んでいく。
それが限界に達した頃、僕の思考も深い闇の中へと……。
- 14: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:06:26.53 ID:pSzuOyHY0
閉じた目蓋の上に光を感じた。
どうやら目覚まし時計よりも、早く朝を迎えたようだ。
新しい生活の始まりには良いスタートである。
階段を降りてリビングへ向かうと、朝食が既に用意されていた。
和食であった事が悔やまれるが、自分で作らなくて良いことに少しばかりの感動を覚える。
いただきます、ごちそうさま。
当たり前の言葉だけど、家族とそれを共に出来るのは僕にとって、贅沢にすら感じた。
朝食を食べ終えた僕はペニサスに急かされて、少し早めに学校へ向かうことにした。
僕の感覚ではなので、実際はそこまで早く着く訳でもないのだが。
制服類は、この世界に来たときに着ていた物をそのまま着用する。
鼻歌を口ずさみながら靴を履き替え、玄関のドアを開く。
( ^ω^)「いってきますだお!」
雛見沢での生活の始まりだ!
- 15: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:08:08.00 ID:pSzuOyHY0
と、意気ごんだは良いものの、ここはどこなんだろう?
とりあえず、家を出て右にまっすぐ大通りを突き進む。
幸い、曲がり角はたんぼに行くための道ばかりなので間違ってはいないと思う。
……それにしても、空気が美味しくてたまらない。
遠足で山登りをした時以来の感覚だ。
空気の淀んだ都会から来た僕にとって、ここは楽園とも思える場所だった。
大きく深呼吸を繰り返す。何度も何度も繰り返す……。
(;^ω^)「って学校行くんだったお!」
遅刻の理由が、空気が美味しかったからだなんて、冗談じゃない!
登校初日からメンヘラ確定だけは勘弁。
遅れた分だけでもと思い、走りだす。
- 16: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:09:38.18 ID:pSzuOyHY0
しばらく走っていると、緩やかに上へと続く階段を見かけ、立ち止まる。
ひょっとして……古手神社?
?「あら、見かけない方でございますわね?」
見上げた階段から、小さな女の子が駆け降りてきた。
さらさらの金髪の髪が風に揺られ、太陽に負けじと光り輝いている。
彼女の周りには薔薇の花が咲き乱れ、まるで茨姫のようだった。
もちろん、僕の妄想である。
( ^ω^)「……ひょっとして沙都子かお?」
沙都子「そうですけど、どうして私の名前を知っているんでして?」
いけない、あまりの興奮に忘れていた。
僕と彼女は初対面なんだった。
- 17: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:11:30.44 ID:pSzuOyHY0
(;^ω^)「え、えーと、いかにも沙都子って感じの子だなと思って。」
沙都子「言い訳の嘘にすら、なってませんわよ。」
(;^ω^)「じゃあ、見間違いだお。昔の知り合いに似てたんだお。」
沙都子「じゃあってなんですの?ますます怪しく見えてきましたわ。」
これは非常にまずい。
結局メンヘラ扱いになってしまうじゃないか。
(;^ω^)「僕は決して怪しい者じゃないんだお!」
沙都子「それは怪しい人が言う代名詞ですわ。」
……ごもっともだ。
- 19: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:14:40.94 ID:pSzuOyHY0
?「みー、沙都子もブロッコリーとカリフラワーを間違えるので、おあいこおあいこなのですよ。」
沙都子「わ、私はそれぐらい分かるようになりましたわ!
えーと、緑がブロッコリーで白もブロッコリーで……あれ?」
いつの間にか、僕の後ろにもう一人、沙都子と同い年くらいの女の子が立っていた。
艶やかに黒く輝く長髪、人懐っこそうな笑顔を浮かべている。
沙都子とは正反対に、おしとやかそうな女の子。
もちろん誰かはわかっている。
だけど、同じ失敗は繰り返さない。
( ^ω^)「僕の名前は内藤ホライゾン、ブーンって呼んで欲しいお。君の名前は?」
?「ブーン……?」
あれ、駄目だったのか?
変な事を言ったつもりは無いんだけど……。
- 20 名前: # 投稿日: 2007/07/13(金) 21:17:15.27 ID:pSzuOyHY0
- 梨花「……な、なんでもないのです。どうして、ブーンなのかと思っただけなのです。
僕の名前は古手梨花。よろしくなのですよ、にぱー。」
( ^ω^)「よろしくだお、梨花ちゃん!」
梨花「ブーンはひょっとして、噂の転校生ですか?」
( ^ω^)「そうだお。今日からあの学校でお世話になるお。」
沙都子「そうだったんですの……って、学校!」
梨花・( ^ω^)「……あ!」
沙都子「今なら走れば間に合いましてよ!行きますわ!」
( ´ω`)「まーた、走るのかお……。」
梨花「ブーン、ファイトおーなのですよ。」
文句を零しながらも結局、走る僕であった……。
- 22: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:18:14.52 ID:pSzuOyHY0
梨花「じゃあ、ブーン。僕達は教室に行きますが、また後で会いましょうです。」
沙都子「素敵なトラップを用意して差し上げますわ!」
(;^ω^)「それはちょっと、勘弁して欲しいお……。」
僕は先に職員室に行かなくてはならない為、梨花ちゃんと沙都子とは一旦お別れになった。
朝から疲れたけど、あの二人と早く仲良くなれたから、結果オーライだな。
学年混同なので、僕の通っていた高校のような落ち着いた雰囲気は無い。
けど、子供達の笑い声が絶えないなんて素晴らしいじゃないか。
また、少し古びた校舎は時代を感じさせる。
元々、学校で無かったせいか、いたるところに傷が見られた。
それがまた風情を醸しだして、おつなものだなぁとジジ臭くも思うのであった。
- 23: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:19:25.74 ID:pSzuOyHY0
?「わ!」
( ^ω^)「お!」
よそ見をしながら歩いていたので、人とぶつかってしまった。
相手は自分と同い年ぐらいの男の子みたいだ。
(;^ω^)「ごめんだお。ちょっと、ぼーとしてたみたいだお。」
?「いや、俺の方こそ悪い。ちょっと職員室を探してて前をちゃんと見てなかったんだ。」
職員室?
ああ、じゃあこの人が……。
( ^ω^)「僕も丁度、職員室に行くとこだったんだお!」
?「え、じゃあひょっとして、もう一人の転校生か?」
( ^ω^)「そうだお!僕の名前は内藤ホライゾン、ブーンって呼んで欲しいお!」
圭一「俺の名前は前原圭一。よろしくな、ブーン!」
- 24: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:21:31.50 ID:pSzuOyHY0
圭一「でさ、ブーンは職員室の場所わかるか?」
( ^ω^)「さっき、梨花ちゃんと沙都子に聞いたからわかるお。」
圭一「……その梨花ちゃんと沙都子っていう子達はこの学校の人か?」
( ^ω^)「そうだお。朝知り合ったばっかりだけど、良い子達だお。」
圭一「そっか……。」
少し言葉を詰まらせる圭一。
なんだか微妙な表情を浮かべていた。
( ^ω^)「どうかしたのかお?」
圭一「いやさ、ブーンはすごいなと思って。」
( ^ω^)「僕がすごい?」
- 25: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:23:48.92 ID:pSzuOyHY0
圭一「ああ、もう友達が出来たなんて尊敬するよ。」
( ^ω^)「僕と圭一だって、もう友達だお?」
少し驚いた表情を見せる圭一。
でも、どことなく嬉しそうに見えたのも間違いではないだろう。
圭一「……そっか。でも、やっぱり転校初日っていうのは、不安なんだよなぁ。」
( ^ω^)「圭一ならきっと……いや必ず、皆とすぐに打ち解けられるお。」
そう、『必ず』だ。
お世辞でもなんでもない。確定した運命。
圭一「なんか、色々とありがとな。ブーンだって、今日初めてで大変なのにさ。」
( ^ω^)「全然だお!お互い頑張るお!」
圭一「ああ!目指せ友達百人ってやつだ!」
(;^ω^)「この学校の生徒、百人もいないお……。」
- 28: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:26:09.80 ID:pSzuOyHY0
- ?「あら、前原君と内藤君。お揃いのようですね。」
職員室に着くと、女の人が待ち構えていた。
ところで、カレーの匂いがするのは僕の気のせいだろうか、そう信じたい。
圭一「……えーと、どちら様ですか?」
知恵「あら、失礼しました。私の名前は知恵留美子といいます。
今日から、貴方たちの担任になるので、宜しくお願いしますね。」
圭一「あ、そうだったんですか。お若いので生徒かと思いましたよ。」
知恵「も、もう前原君ったら……」
ぽっと頬を赤らめる知恵先生。
ぶっちゃけ、まんざらでもなさそうだ。
天然すけこましの圭一は平然としているが。。
(;^ω^)「えと、僕は内藤ホライゾンだお。出来ればブーンって呼んでくれるとありがたいお。」
知恵「え、あ、ちょっと取り乱してしまいました……改めてよろしくお願いしますね。ブーン君。」
- 29: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:28:04.24 ID:pSzuOyHY0
知恵「早速ですが、教室に行きましょうか。皆、良い子ばかりなので、すぐに仲良くなれると思いますよ。」
( ^ω^)「おっお!楽しみだお!」
圭一「俺はちょっと不安だな……都会の学校とは全然違うんだもんなぁ。」
圭一は弱音を言い続けていた。
これが少しした後、メイドで道を歩き回ると思うと、あまりのギャップに噴出しそうになる。
教室に近づくにつれ、圭一が挙動不審になっていく。
僕にまで緊張が移りそうなので、正直止めて欲しい。
(;^ω^)「だ、大丈夫かお?」
圭一「あ、ああ、全然へっちゃらほいだぜ!1500秒あれば何でもやってやるよ!」
バットのスイングを真似る仕草を見せる。
どんどん壊れていくな……。
- 30: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:29:17.74 ID:pSzuOyHY0
知恵「じゃあ、私が呼んだら教室に入ってきてくださいね。」
そう言い残して僕達は廊下に置いていかれた。
圭一の暴走は止まらない。
圭一「俺の名前は前原圭一、KOOLでHOTな男の子……。
俺の名前は前原圭一、SEXYでBIGな男の子……。」
(;^ω^)「これはもう、ダメかもわからんね。」
圭一の安否を心配しながら、僕も自分の自己紹介を考えでおく。
といっても、言う事なんて決まってるから再確認程度だが。
知恵「それでは、転校生のお二人、入ってきてください。」
圭一「は、はいっ!」
( ^ω^)「はいだお!」
圭一が扉を開き、教室に入る。
手足が同時にでているんだが……テンパりすぎだろ。
- 33: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:30:51.36 ID:pSzuOyHY0
知恵「では、自己紹介をどうぞ。」
笑顔を見せる知恵先生。
反して、教室内は物珍しげな表情で僕らを見つめる生徒ばかりだった。
都会から来た事と、上級生の男の子というので、恐らくあちら側も緊張しているのだろう。
圭一「えと、僕の名前は前原圭一と言います。宜しくお願いします。」
……それだけ?
在校生の皆も、少し戸惑い気味である。
もうちょっと、何か言っとけばいいのに……趣味は覗きとか、スク水観賞とか。
とはいえ、僕にだって特別面白い事を言う訳じゃない。
おまけに教室内の空気は重い。
こんな状態で一発芸をしたところで、空気がより一層冷たくなるだけだろうな。
どうしようか……。
- 35: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:33:00.06 ID:pSzuOyHY0
知恵「ブーン君も自己紹介をどうぞ。」
(;^ω^)「あ、分かりましたお……。」
教室内の視線に僕に集まる。
ある意味、快感と言えなくもないが、今はそんな事考えてる場合じゃない
( ^ω^)「えと、僕の名前は内藤ホライゾンだお。出来れば、ブーンって呼んでほしいお。
この雛見沢には来たばかりで分からない事ばかりなので、どうか宜しくだお。」
今、自分に出来る最高の笑顔を見せて言ったつもりだ。
でも、内容は大して圭一と変わらないか……。
知恵「じゃあ、二人に何か質問がある人はいませんか?」
知恵先生の言葉が無かったかのように動きをみせない教室。
漫画なら間違いなくシーンという言葉が書かれてるだろうな、と僕は現実逃避に向かう。
そんな時、一人の男の子が手を挙げた。
- 36 名前: # 投稿日: 2007/07/13(金) 21:35:28.40 ID:pSzuOyHY0
知恵「あら。どうぞ、言ってくれて構いませんよ。」
男の子A「ええと、ブーン君に質問なんですけど、その喋り方はわざとなんですか……?」
(;^ω^)「ええ、いやこれは抗えない設定の力というか……。癖みたいなもんだお。」
一人の子が手を挙げると、違う子も便乗して手を挙げる。
小さな子供たちなんてそんなもんだ。
男の子B「はいはーい!ブーン君の趣味はなんですかー?」
( ^ω^)「野鳥の観察……じゃなくて、オーソドックスに読書ってとこかお。」
女の子「ぶーんってなんなんですか?」
( ^ω^)「ブーンって言うのはこういう事だお!
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン 」
腕を広げて教室を走る僕を見て小さな子供達が笑いだす。
どうやら、うまくいったみたいだな。
- 37: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:37:07.98 ID:pSzuOyHY0
知恵「くすくす、では二人とも空いている席に座ってくださいね。」
質問コーナーを手短に済ませ、先生が授業の支度を始める。
ふと、圭一の方を見ると浮かない顔をしていた。
どうしたのかと尋ねようかと思ったのだが、ある予感が頭をかすめる。
……今、思ってのだが圭一への質問の数が少なかった気がする。
それに、圭一も緊張して質問の答えを満足に話せていなかった。
恐らくは、クラスに馴染めないんじゃないかという不安が拭いきれないんだろう。
どうにかしてやりたいのだが、僕も同じ立場である以上、出来る事は少ない。
何か無いものかな……。
- 39: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:41:00.06 ID:pSzuOyHY0
頭を悩ませながら僕の座席の方を見る。
すると、通路の途中に紐のようなものが薄っすらと見えた。
その紐の出ている方を手繰っていくと案の定、沙都子の席に続いていた。
僕を転ばせようとしていたのか……後で仕返しだな。
……そこで僕にあるアイデアが浮かんだ。
内容は酷いものだが、今の彼には必要だろう。
それに、沙都子への仕返しになるだろう。
思い直すつもりは無い。どうせ自業自得だしね。
- 41: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:42:46.55 ID:pSzuOyHY0
( ^ω^)「圭一、そこの席に座って欲しいお。僕はそっちの席が座りたいから。」
圭一「そうか?別にいいけど、違いなんてあるのか……?」
疑問を浮かべながらも、圭一は席に近づいていく。
沙都子が一瞬、マズイという表情をしたのも僕は見逃さなかった。
圭一「のわっ!!」
ビダン!と大きな音を立てて派手に転ぶ圭一。
顔面からもろに落ちたせいか、通路でうずくまっている。
圭一「いたたたた……!何だよこの紐!!」
( ^ω^)「圭一!それはそこの緑の服を着た女の子の仕業だお!」
沙都子が恨めしそうに僕を睨む。
でも、事実なんだから取り返しがつかないだろ。
沙都子の事だから、きっと開き直るに違いない。
- 43 名前: ↑修正 ◆9d9cVF02x2 投稿日: 2007/07/13(金) 21:44:05.43 ID:pSzuOyHY0
( ^ω^)「圭一、そこの席に座って欲しいお。僕はそっちの席が座りたいから。」
圭一「そうか?別にいいけど、違いなんてあるのか……?」
疑問を浮かべながらも、圭一は席に近づいていく。
沙都子が一瞬、マズイという表情をしたのも僕は見逃さなかった。
圭一「のわっ!!」
ビダン!と大きな音を立てて派手に転ぶ圭一。
顔面からもろに落ちたせいか、通路でうずくまっている。
圭一「いたたたた……!何だよこの紐!!」
( ^ω^)「圭一!それはそこの緑の服を着た女の子の仕業だお!」
沙都子が恨めしそうに僕を睨む。
でも、事実なんだからしょうがないだろ。
まぁ沙都子の事だから、きっと開き直るに違いない。
- 44: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:45:16.42 ID:pSzuOyHY0
沙都子「……おーほっほっ!都会から来た転校生というのも大したことはありませんわね!
この北条沙都子の手にかかればお子様同然ですわ!」
圭一「……な、なんだと!この生意気なガキンチョめ!この圭一様が成敗してくれるわっ!
ほら、ね。
どちらも、少し弄れば爆発する風船みたいなもんだ。
きっかけさえあれば、すぐに仲良くなれる事は目に見えていた。
どんちゃん騒ぎをする二人を見て、生徒達の様子も自然と変わっていく。
顔がほころび始め、最後には全員で大爆笑。
先ほどまでの、重い空気が嘘のようだった。
……うん、これでいい。これが最高だ。
せっかく、雛見沢にこれたんだ。
皆で楽しめなければ意味がない。
- 46: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:48:18.48 ID:pSzuOyHY0
沙都子「転校生さんは、レディーに対するしつけがなってませんわね……?」
圭一「俺の目には、レディーなんて映ってないんだけどな……幻でも見てんのか?」
お互いの頬を引っ張り合いながらいがみ合いを続ける二人。
後ろから影が忍び寄っていく……。
知恵「お二人とも楽しそうですねぇ……ちょっと私とお出かけしましょうか。」
沙都子・圭一「ちょっ、ちょっと待って……いやぁああああああ!!」
沙都子と圭一は鬼モードと化した先生に引きずられていってしまった。
……まぁ、この展開もご愛嬌ってやつだよな、うん。
- 48: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/13(金) 21:51:35.03 ID:pSzuOyHY0
教室に残された生徒達は面白い人が来たと話しあっていた。
それは僕の満足する結果、笑顔の溢れるクラスメイト。
窓の外では相も変わらず、青空が広がり続けていた。
僕の未来も、こんな風に曇りないものになって欲しいと強く願う。
そして、祝福してくれる世界に感謝を告げて、僕は思った。
……本当の意味で僕の新しい生活が始まった、と。
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