( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです
- 2: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:15:45.85 ID:0Y4HF4B00
夏休みの宿題ってさ、なんだかんだ理由をつけてやるのが遅れるんだ
幸い、頭は悪くない方なので、なんとか期限には間に合うんだけどさ。
『来年の夏休みの宿題は7月中に終わらせる!』
なんて意気込んだところで、1年経てばその気持ちも薄れる訳で。
結局は、また8月の終わり頃に徹夜でレポートまとめる事になるんだよ。
それはもう何度も何度も。
無限ループって怖くね?
この永久に続く負の連鎖を止められるのは自分自身しかいないのは分かってるつもり。
でも、どうにもならない事もある。
助けて先生!……期限を少しでいいからのばしてくれませんか?
助けて友達!……僕達は親友だろ?そのレポート写さして。
助けて神様!……次こそはちゃんとやるんで、夏休み初日にタイムリープ!
うん、全部ダメだってさ。
現実程、リアルタイムで鬱展開を味あわせてくれる物はないよね。
徹夜で宿題やってる時、ふと思うんだ。
ゲームの世界の主人公は宿題とか気にしないのかなぁ?って。
この考えその物が現実逃避だと気付くのは、太陽がおはようございますしてから……ね。
- 8: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:30:43.34 ID:0Y4HF4B00
ほら、よく言うじゃないか。
楽しい時間は早く過ぎるものだって。
それは好きな人といる時だったり、旅行している時だったり、友達と遊んでいる時だったり。
その中に夏休みという一例があったとしても違和感は全く無い。
むしろ、かなり自然だと思う。
だが、楽しい時間にも終わりは来るもの。
それを認めたくないから……僕達は現実から目を背け、開き直る。
『嫌な事は後回しで、好きな事を優先』
多くの人はこの言葉を聞いて、何と情けない奴だと冷たい目を向けるだろう。
しかし、僕は違う。
いや、実際はほとんどの人間が思っているが、口に出せないだけなんだ。
あえて、僕はここで叫ぼうじゃないか。
好きな事だけやって何が悪い!!……と。
こんなの当たり前の事が後ろ指さされる社会には絶望した。
楽をしようとしたっていいじゃない。人間だもの。
- 9: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:32:16.03 ID:0Y4HF4B00
時を忘れて遊ぶ事は決して悪い事ではない。
そう、これが結論なのだ。
後悔をする必要はない。
必死で生きた人生にそんな言葉は似合わないのだから。
今の現状では、僕の選択は正しかった……と心に言い聞かせる他ないのだ。
そう、僕がこんな風に長々と考えている理由はアレだ。
えーと………綿流しのお祭りまで残り1週間になっちゃいました\(^o^)/
- 10: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:34:21.08 ID:0Y4HF4B00
- 昭和58年6月15日
昭和の夏は早かった。
6月もまだ中旬だが、太陽は燃え盛り、蝉がうるさいくらいに鳴き続ける。
見上げれば、どこまでも広がる青。
白い鳥は、踊るかのごとく翼を自由に羽ばたかせる。
あの場所へ行けたら、どんなに気持ちいいことだろうか。
本当に欲しいものは、手を伸ばせば届くような距離にあるんじゃないかと最近は思う。
この大空も、きっと同じように。
目を閉じて、精一杯背伸びをして、思いっきり手を上に。
……当然だけど、その手に掴める物は何も無い。
けど、風を体全体で感じていると本当に空にいるような、そんな気分になれた。
(;^ω^)「それにしても、あっついお……。」
とはいえ、いくら気持ちが良くても、それとこれとは話は別。
容赦なく照りつける太陽には、愚痴を溢さずにはいられない。
- 13: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:36:09.21 ID:0Y4HF4B00
今、僕がいるのは古手神社の敷地内で皆のお気に入りの場所。
雛見沢の様子が一望できるその眺めは、思わず言葉を失うほどに美しい。
こんな風景を独り占めだなんて、贅沢な事この上なかった。
もちろん、それだけの為にこの場所に来た訳ではない。
ある人との待ち合わせ場所として、この場所を選んだのだ。
……だが、待ち合わせの時間からは大幅に遅れている。
時計を持ち合わせていないので、正確に分からないのが悔やまれるところだ。
(;^ω^)「むはー、もう限界だお。」
日光に耐え切れなくなり、木陰に隠れ、木に背中を預けて腰かけた。
先程と変わりなく、風は吹き続ける。
葉がざわめき、雲は流れ、夏の匂いが辺りにまき散る。
そして、僕の体を包みこんだそれは、汗ばんだ体に染み込んでいくかのようだった。
こういった暑さ対策が自然に出来るのは、貴重な事だと思う。
元の世界では、冷房のある部屋に篭りっきりになるのがオチだったから。
- 15: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:37:27.22 ID:0Y4HF4B00
しばらくの間、そこで憩いの時を過ごしていると、こちらに人が向かってくるのが見えた。
やっときたかと腰を上げたが……待ち合わせた人ではないようだった。
( ^ω^)「こんにちはだお、沙都子。でも一体どうしたんだお?」
沙都子「こんにちはですわ、ブーンさん。梨花から伝言を頼まれて来たんですの。」
( ^ω^)「伝言?」
沙都子「ええ、何でもちょっと用事があって待ち合わせに遅れるらしいですわ。
……でも、一体何で2人で会うんですの?」
( ^ω^)「ん、ちょっと大事なお話があるんだお。」
何故だか、沙都子の顔が青ざめる。
と思ったら赤くなったり、またまた青くなったり。
見てる分には面白いけど、これは何か勘違いをしてるのではないか?
- 17: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:38:55.70 ID:0Y4HF4B00
沙都子「え、えと、ブーンさん。愛に年の差は関係ないとは思いますが、梨花とブーンさんの年齢でそれはさすがに……。
そ、それに一体いつのまにそんな感情を!?」
(;^ω^)「ちょ、おま、落ち着くお!そういった意味の大事なお話ではないんだお!」
沙都子「……では、どういう意味のお話なんですの?」
( ^ω^)「今は詳しくは言えないけど……僕と梨花ちゃんの将来に関係のあるお話なんだお!」
沙都子が完全に固まった。
ぽかんと開けた口が、全てを物語っている。
どうやら、またしても僕の発言をあらん方向に受け取っているらしい。
- 19: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:39:52.23 ID:0Y4HF4B00
沙都子「……もう、そこまで話が進んでいたとは知りませんでしたわ。
心からご祝福を申し上げます。」
深々とお辞儀をする沙都子。
ここまでくると妄想が止まらないようだ。
(;^ω^)「だから、違うって言ってるお!
僕と梨花ちゃんは唯の友達で、それ以上でも以下でもないお!
それに、どうせなら僕は沙都子と……。」
言ってから、今の自分の発言のマズさに気付き、慌てて自分の口を塞ぐ。
その仕草が逆に今の発言が僕の本気さを表すように思われたかもしれない。
案の定、沙都子の顔が赤く染まった。
- 21: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:41:07.25 ID:0Y4HF4B00
- 沙都子「ふ、ふえ? ど、どういう意味でして。」
(;^ω^)「どういう意味と言われても……そういう意味としか……。」
沈黙。
そして、二人の間に流れる微妙な空気。
昔、某ハンバーガーショップ店員にスマイルを注文した時以来の気まずさ。
あの時の、店員の「は?何いってるんだこいつ」みたいな顔は一生忘れない。
なんて、考えていても事態は良くならない訳だ。
沙都子はぶつぶつと何かを呟き、下を向きながらもじもじとしていた。
年の差が……とか、着物よりドレスが……とか、聞こえるのは僕の気のせいだろうか。
正直たまらない。
- 22: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:42:45.92 ID:0Y4HF4B00
- まぁ、いつまでもこの調子じゃ何かと都合が悪いので方向転換。
あくまで自然に、クールになれ内籐ホライゾン。
( ^ω^)「ほら、沙都子は料理の練習をしてるって言ってたじゃないかお。
そういう将来性に期待して、良いお嫁さんになるんじゃないかなーと思ったんだお。」
沙都子「……でも、梨花の方が料理は得意ですわよ?」
( ^ω^)「今はそうでも、きっといつかは努力が報われる日がくるんだお!」
沙都子「そう……ですかしら。うん、頑張りますわ!」
手をグッと握りながら、輝かしい笑顔を僕に向ける沙都子。
さっきまでの変な流れは、終わったようだ。
ナイスハンドル!僕GJ!
- 24: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:43:48.86 ID:0Y4HF4B00
( ^ω^)「それで、料理の腕の方はどうなんだお?」
沙都子「まぁまぁでしてよ。目標を叶える為に頑張りますわ!」
( ^ω^)「目標ってなんだお?」
沙都子「え、えーと、皆に美味しいって言ってもらうことですわ。」
( ^ω^)「……なんでそこで赤くなるんだお?」
沙都子「だって、実はブーンさんに食べて貰いたいなんて言える訳がないでしょう!」
( ^ω^)「え。」
沙都子「あ。」
- 25: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:44:19.55 ID:0Y4HF4B00
再び沈黙。
そして、二人の間に流れる甘酸っぱい空気。
小学校の時のバレンタインデーにチョコを貰った時以来の感覚。
この年齢の頃は、皆の前で喜ぶ訳にもいかず、「義理でもサンキューな!」と言ってから後悔した事は忘れない。
後で「本命だったんだよ」と照れながら言ってくれたあの子の可愛さも忘れない。
そんな事を思っていても、この空気は変わらない訳で。
というか、誰か僕のこの緩んだほっぺをどうにかしてください。
- 26: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:45:12.37 ID:0Y4HF4B00
沙都子「うう……もう認めますわ!
私が美味しいお料理を作るのを楽しみに待っていることですわ!」
(;^ω^)「わ、わかったお。楽しみにしてるお。」
沙都子「とりあえず今度のお休みにでも、お弁当を作って差し上げますから、ピクニックにで
行きますわよ!
異議はありませんわね!」
(;^ω^)「沙都子が良いなら、僕は全然構わないお。」
沙都子「よし!それじゃあ私は帰りますわ。ごめんあそばせ!」
物凄いスピードで走り去っていく沙都子。
あ、木にぶつかった……大丈夫か?
にしても、さりげなくデートに誘われたよな。
とうとう僕もフラグマスターになる日がきたか。
……でも。
- 28: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:47:06.93 ID:0Y4HF4B00
幸せそうな顔の沙都子を見て言えるはずがなかった。
今度のお休みは綿流しのお祭りだという事を。
普通のお祭りなら、特に問題は無い。
更に次のお休みにでも約束を延ばせばいいのだから。
だが、今回の綿流しは普通ではない事を僕は知っている。
富竹ジロウがその日中に殺され、鷹野三四の偽装死体が発見される。
つまり……鷹野の終末作戦がスタートする日になるのだ。
そうなったら、もう悠長な事なんて言っていられない。
梨花ちゃんも、近いうちに殺されてしまうからだ。
……だから、今まで過ごした楽しい雛見沢でも生活は今日で終わり。
今日、ここに梨花ちゃんを呼んだのはその為。
古手梨花が抜け出せない、昭和58年の袋小路を破る力に僕はならなくてはいけない。
生きていなければ、僕が誰かに伝えなければならない言葉も儚く消え去ってしまう。
- 29: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:49:17.99 ID:0Y4HF4B00
もう一度、木に背中を預けて腰掛ける。
改めて今日話すことを考えると、梨花ちゃんが来るまでの時間がもどかしく感じられるようになった。
後悔なんてしてもしょうがない事は分かってる。
でも、どうしてもっと早く行動に移さなかったと思うと、胸の奥がムカムカしてくる。
こんな風にのんびりしていて、本当に鷹野を止められるのだろうか?
僕一人の力で運命を変える事なんて出来るのだろうか?
梨花ちゃんは僕の話を信じてくれるのだろうか?
一人で悩んでいると、そんなことばかり考えてしまう。
出来れば、前の世界の記憶を取り戻して起きたい。
失敗例だったとしても、参考にしておく点はあるかもしれない。
- 30: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:51:54.67 ID:0Y4HF4B00
だが、どうやら普通に生活していても記憶は戻らないらしい。
ここまでの生活で、何度か記憶が甦る時があった。
そのトリガーとなるのは、前の世界と同じ行動をする事だと推測している。
前の世界で体験したと思われる事があると、何か妙な違和感を覚える。
そうすると、自分の未来がおぼろげながら見えてきて、どう行動を起こせばいいのかが分かった。
それはまるで、バズルのよう。
一つのピースが合わさると、他のピースも自然と当てはまっていく。
前回の行動で失敗した事を、今回は成功させる事が出来る。
今のところは、部活ぐらいしか役に立ってはいないけど……。
ここからが本当の正念場となるので、より一層この記憶を大事にしなければならない。
……それにしても、前の世界の僕は、どこで失敗したんだろう。
鷹野と対決する場面まで行けたのだろうか?
それとも、もっと早くどこかでミスを犯したのだろうか?
- 31: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:54:00.13 ID:0Y4HF4B00
目を閉じて、更に思考に集中する。
蝉の鳴き声が、妨害するかのようで煩わしかった。
そういえば、何故僕には記憶が残っていないのだろうか。
ゲームの中で梨花ちゃんの記憶もはっきりとまではいかないが、大事な事は覚えていた。
でも、僕の記憶は鮮明には残っていない。
梨花ちゃんも、僕と会った事があるように言っていたが、曖昧な様子だった。
パズルのように記憶が甦るのは分かっている。
しかし、自発的に思い出そうとすると、チクチクと胸が痛んでくる。
それはまるで、思い出すなと、そう体が命令しているようで。
一体、何が前の世界で起きたのだろうか。
僕は何をしてしまったのだろうか。
- 32: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:55:06.03 ID:0Y4HF4B00
( ^ω^)「……それにしても、梨花ちゃん遅いお。」
用事があると言っても、こんなに遅くなると想定外だ。
僕がここに来てから、ゆうに2時間は過ぎている。
既に、日が少しずつ傾き始めていた。
閉じた目蓋を開くのも億劫になってきている。
( ^ω^)「まぁ、少しぐらい寝ても構わないお……。」
大きく欠伸をして背伸びをすると、背中がポキッと音を鳴らす。
今は気持ちいいけど腰に悪そうだなー、なんてくだらない事を考えていた。
頬を撫ぜる風が心地いい。
うるさい筈の蝉の鳴き声も、今では子守唄のように聞こえていた。
……梨花ちゃんが来る頃。
ひぐらしは鳴き始めているのだろうか。
- 35: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 20:57:10.40 ID:0Y4HF4B00
- ―――――――――。
ブーンが私を呼び出した。
これは予感だけど……。
いや、きっと間違いなくそうだ。
ブーンはクラスメイトの梨花ちゃんとして、私を呼び出したのではない。
百年を生きる魔女、古手梨花として呼び出したのだ。
ここ何週間の生活で少しずつ記憶は甦ってきていた。
間違いなく、私は彼と会った事がある。
でも、不思議な事にすごく曖昧な記憶なのだ。
他の世界の事なら、鮮明に覚えている。
圭一が疑心暗鬼に捕らわれてしまった世界。
詩音が愛する想いの思いのあまり、暴走してしまった世界。
北条鉄平が帰ってくる、どうする事も出来ない最低の世界。
忘れる事は出来ないが……正直、忘れてしまいたいような記憶。
- 38: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 21:00:41.32 ID:0Y4HF4B00
こういった記憶を元に、私は何度もこの昭和58年の袋小路に挑戦している。
でも、彼の存在がどうしてもわからない。
本当につまらないような出来事の記憶なら取り戻す事が出来る。
だが、何か重要な事を思い出しそうになると、激しい頭痛が私を襲う。
今だってそう、彼に呼び出されて約束の場所へ向かおうとするだけで、こんなにも辛い。
沙都子に伝言を頼んで、少し遅れるようにしたけど……。
痛みは一向におさまる気配をみせない。
むしろ、時間が経つにつれ、酷くなっているような印象を受ける。
一体、何が前の世界で起きたのだろうか。
私は何をしてしまったのだろうか。
- 40: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 21:02:19.98 ID:0Y4HF4B00
約束の場所へ重たい足を運ぶ。
頭痛はおさまらなかったけど、真実を手に入れるために私は行かなくてはならない。
彼はきっと何かを知っている。
私でも知らないような何かを。
神社の階段を一歩一歩上がっていく。
普段から登っている階段が、今は永遠に続いているようにすら思えた。
……もしかしたら、前にも同じような事があったかもしれない。
彼に呼び出されて、そして……。
そして……。
これ以上は思い出せない。
ただ、何か良くない事があった気がする。
- 43: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 21:03:40.59 ID:0Y4HF4B00
待ち合わせていた、私のとっておきの場所に向かう。
雛見沢の景色を一望できる、その場所はいつ見ても美しいと思えた。
木陰に、木に寄りかかって寝ている少年を発見する。
時折、凄く大人びて見えるその顔は、今はあどけなさを残す少年のようにしか見えなかった。
風に吹かれて揺れる、彼の黒髪。
端整な顔立ちとまではいかないけど、見ようによっては2枚目なんだろうな。
……沙都子には意外とお似合いかもしれない。
大人っぽさと、子供っぽさの2つを併せ持つ彼は、どことなく悟史の面影を感じさせた。
大きく息を吸い込んで深呼吸。
彼を起こすだけなのに、妙に緊張してしまう。
変なこと考えたせいかな……。
- 46: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 21:05:39.40 ID:0Y4HF4B00
ブーンの顔を覗き込むように、私の顔を近づける。
吐息がかかるような距離……なんて考えてる場合じゃないわね。
梨花「みー、ブーン起きるのですよ。」
ゆさゆさと彼の体を揺らす。
程なくして、彼の目が薄っすらと開かれる。
( ^ω^)「……おー?梨花ちゃん、やっと来たのかお。」
梨花「ごめんなさいなのです。ようやく自由な時間がとれたのですよ。」
( ^ω^)「僕は全然大丈夫だお!……君がここに来てくれたのなら。」
ブーンのまなざしに真剣さが灯る。
覚悟を決めた人の目。
強い想いを秘めた目。
- 47: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 21:08:47.50 ID:0Y4HF4B00
梨花「……ブーンが僕にお話なんて珍しいのです。」
( ^ω^)「とっても、大事なお話なんだお。」
梨花「ごめんなさい。僕とブーンの年はちょっと離れすぎているのです。」
(;^ω^)「そういう意味じゃないお!って今日2回目だお!
大体、愛に年の差は関係無いと僕は思うお!」
梨花「わかっているのです。沙都子を宜しく頼みますですよ、にぱー。」
(;^ω^)「もちろんだお!……じゃなかったお。
梨花ちゃん、ちょっとからかいすぎだお。」
梨花「ブーンが面白いから、仕方ないのですよ〜。」
本当はずっと、こんな会話を続けられたらと思ったいた。
でも、彼の目はやっぱり変わらないまま。
心に強い気持ちがある人のペースは乱れない。
彼は私に合わせて、ふざけているようにしているだけ。
- 50: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 21:12:27.05 ID:0Y4HF4B00
- ( ^ω^)「それじゃあ、そろそろ本題に入っていいかお?」
梨花「……その前に、僕から質問があるのですが、いいですか?」
質問?
とっさに自分の口から出た言葉に疑問を覚える。
( ^ω^)「ん、別に構わないお。」
梨花「わかったのです。それじゃあ、遠慮なく聞かせてもらうのです。」
思いとは裏腹に、私の口から言葉がこぼれだす。
私の記憶が、体が、心が、勝手に動いている。
もう止まらない。
いつの間にかに頭痛は消えていた。
- 53: ◆9d9cVF02x2 :2007/07/27(金) 21:13:59.05 ID:0Y4HF4B00
( ^ω^)「それで、一体なんだお?」
梨花「……ブーンは前の世界で私を殺しましたですか?
そして、今回も私を殺そうとするつもりですか……?」
かなかなかなかな……。
かなかなかなかな……。
時刻は丁度、夕暮れ時。
ひぐらし達が一斉に鳴き始めた。
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